Chance Des Infinitude〜ムゲンの可能性〜










































小説トップ
Chapitre Neuf De Cot 〜挑龍の儀〜
Soixante et onze もう一つのジム戦
  Sideコット



 「…そういえばコット? 」
 「ん、なに? 」
 「ここのジムで何か所目だっけ? 」
 「ええっと…、突破したら六ヶ所じゃないかな? 」
 最初がキキョウで、次がヒワダ。その後がコガネとエンジュで、今朝がチョウジだから…、そうなるかな? あれから暫く時間が経ったから順番に説明すると、半ば強引な流れで仲間になったサナギラス。彼はオークス、って言う名前で、あの辺では少し名前が通っていたんだとか、悪い意味で、だけど…。手当たり次第にバトルを挑んで、食料とかを取り立てたり、寝床を横取りしたりしてたんだとか…。さっきイグリーに挑んだのもその流れらしく、トレーナー就きだからって事で、持ってる木の実とかを盗むつもりだったらしい。だけどその途中に進化したから、冗談交じりにああいったらこうなったんだとか。だから、本当は仲間になる気は無かったらしい。…だけど、こうなった以上は、男だから曲げるつもりは無い、とも言ってた。…見た感じでは悪そうな感じだけど、案外芯はしっかりしってるのかもしれないね。
 ええっと次に、僕達は氷の抜け道、っていう所を通って山を越えた。普通の洞窟かと思ったけど、中は物凄く寒くて氷が一面に張ってた。だから飛行タイプのイグリーと、地面タイプのオークスがダウン…。入った途端、すぐに僕伝いでボールの中に退避してた。僕は何とか我慢は出来たけど、イグリー達とは真逆でネージュとヘクトは平気そうだった。特にネージュは氷タイプって事もあって、もの凄く楽しそうに滑ってた。…ヘクトは、自分の体温で氷が解けて、ちょっと煩わしそうにしてたけど。
 そんな感じで、多分一時間半、ぐらいかな? それぐらいかけて、氷の抜け道を抜けた。抜けた先がもう次の目的地、フスベシティだったから、すぐにセンターに向かった。まだ昼だから、してもらったのは回復だけ。終わったらすぐに出て、今に至る、って感じかな?
 「えっ、もうそんなに終わってたっけ? 」
 「うん。僕もあまり実感ないけど…」
 正直言って、色んな事があり過ぎて、そんな気がしないね。暖かい風を硬毛で感じていると、カナがいまいちパッとしない表情で僕に訊いてくる。頭の中で一つづつ数えてから教えてあげると、カナは意外そうに声をあげていた。センターを出たばかりだから僕しかいないけどのどかな町だから…。
 『あら? コット君、もうフスベまで来てたのね? 』
 『時間的に考えると、飛んで来たんじゃないかな? 』
 ん、この声って…。カナと他愛無い話をしていると、太陽の位置からすると西の方角の空から、二つの声が僕に話しかけてくる。その声の主が誰かはすぐに分かったけど、いきなりだったから驚きで声をあげてしまった。気を取り直してその方を見上げると、そこには予想通りのふたり…。
 「フィフさん、それからフライさん! ふたりもフスベに来たんですね? 」
 『うん。コット君、コガネで会って以来だね。どう、ジム巡りは順調? 』
 「はい! さっき着いたばかりなんですけど、これから挑戦するつもりなんです」
 『そうなのね? …って事は、まだライト達も着いてないかもしれないわね』
 ライトさん? …って事は、ティル達も向かってるって事だよね? 僕は従兄弟でエーフィのフィフさんと、その仲間でフライゴンのフライさんに、分かりきってはいたけどこう尋ねる。するとフライさんがすぐに答えて、続けて気さくに質問してくれた。まさか聞かれるとは思わなかったけど、ジム巡りしてることを覚えてくれていたことが凄く嬉しかった。だから自然と、僕の声も溌剌とし、暖かな空気で響き渡る。フィフさんも、それなりに興味ありそうに訊き返してくれた。
 「ええっと、コット? 仲良さそうに話してるけど、このポケモンも知り合い? 」
 「えっ、あっ、そっか。フライさんと会った時は、カナはいなかったね。うん! フライゴン、っていう種族みたいなんだけど、フライさんもフィフさんの仲間なんだよ」
 「って事は、ユウキさんの、なんだ…」
 『ちょっ、ちょっと待って! コット君、まさかとは思うけど、コット君のトレーナーって、伝説の当事者、じゃないよね? 』
 よく考えたら、カナってフライさんとは会った事無かったんだよね? カナにとっては見知らぬひとと僕が話していたから、その事について訊かれた。すぐにフライさんの事を教えてあげたけど、この事が逆に、フライさんに不思議がられてしまう。カナがユウキさんのメンバーなんだね、そう言おうとしてたんだと思うけど、その途中で思わず言葉を遮ってしまう。僕はフィフさんから聴いてその事は知ってたけど…。
 「ううん、カナは普通のトレーナー。だから僕達、ポケモンの言葉は分からないよ」

  その、はずよね…? っていう事は、もしかして…。

 「うん。わたしは何ともないんだけど、コットが人の言葉で喋れるようになったんだよ」
 『こっ、コット君が? こんな事って、あるの? 』
 「何かそうみたいなんだよ。もの凄く少ないんだけど、これまでに何にんかが喋れるようになった、って報告されてるらしいんです」
 その時は僕も信じてなかったから、喋れるようになった時は本当に嬉しかったね。…カナに教えてもらうまで、喋れてるっていう実感が無かったけど…。
 「うん! 本当は昨日の夜に会った時に言いたかったんだけど、時間が無かったから」
 ん? もしかしてカナ、フィフさんと何か喋ってた? 僕がフライさんと話している間に、カナもフィフさんと何かを話し込んでいたらしい。途中で僕の話題になってたみたいだけど、キリが悪かったらしく、無理やりな感じで締めていた。…やっぱり僕関連だと思うけど、この感じだと、昨日の事かもしれないね。
 
  なるほどね。…なら、仕方なかったかもしれないわね。…あっ、そうそう。コット君とカナさん、今からジムに挑戦する、って言ってたわね?

 「えっ、うん」
 「まだ着いたばかりだから、ちょうど向かってたところなんです」
 そのつもりだけど、ワカバみたいな感じの町だから、すぐ挑戦できるよね? やっぱりフィフさんは、カナとはテレパシーで話をしていた。最後の方は僕にも伝えてきたから、これで一段落したんだと思う。本当にそうだったらしく、フィフさんはそのまま、別の話題に切り替える。フライさんもこれに反応していたから、ここにいる僕達、全員に語りかけているんだと思う。急に話をふられたから変な声を出しちゃったけど、カナすぐに頷くことが出来ていた。その間に僕も気持ちを切り替えれたから、これから行こうとしてた、って事を伝える事にした。

  なら丁度良かったわ。昨日の事も一段落したから、私達も見学しようと思ってたのよ。

 『一応エクワイルとして予備試験を見届ける、って事になってるけど、親友とコット君達のジムだからね、ボクらの私用って言った方が正しいかな』
 「エクワイルって、確か…、フィフさん達が入ってる組織の事ですよね? 確かティルさんも同じだ、って言ってたような…」

  そう、その治安組織内での、昇格試験のための準備段階。最終的に本試験では私達と戦うことになるんだけど、ティル君…、ライト達が挑戦しているわ。

 「ライトさんが? 」
 『うん』
 そういえば、コガネで会った時ジム戦に挑戦してたけど、あれも試験だったのかな? コガネで会った時に仲良さそうだったから、僕はティルさんとフライさんが友達、って事は知っている。だから何となく、ここに来たのは、そのためなんじゃないかな、僕はこう思っていた。やっぱりそうだったらしく、フライさんは楽しみ、って言った感じで僕達…、じゃなくて僕に教えてくれる。その中で聞いた単語をどこかで聴いたような気がしたから、その確認の意味を込めて、僕はふたりに訊いてみる。確認というよりは、カナに思い出してもらうため、だけど、これにすぐ、白衣を羽織ったフィフさんがテレパシーで答えてくれた。
 『フスベだと、ボクと同じドラゴンタイプ相手、それと基本の形式は変わらないんだけど、そこに追加ルールが付けられんだよ』
 「追加で、ですか? 」

  ええ。フスベの試験は、コット君達が挑戦する事になる陸無しのバトルに加えて、濡れたら即失格、って事になってるわ。そうなると、コット君達は泳げる種族のひとでも挑戦できるんだけど、試験だと、更に制約が厳しくなるわね。

 『そうだね。ユウキの時はボクが挑戦したんだけど、技にも水タイプがあったから、本当に難しかったよ』
 へぇー、そんなルールもあったんだ。フライさんは僕だけに、だけど、ふたりともそのルールについて教えてくれた。その説明のため、だと思うけど、ついでに僕達が挑むことになるジム戦の形式も伝えてくれる。これだけでも十分に有難かったけど、それ以上に、僕は別のルールがあった事にビックリしてしまう。ただでさえビックリしたけんだけど、それ以上に、あのフィフさんの仲間のフライさんでも苦戦した、って言ってたから、それに対して言葉を失ってしまった。


  Continue……

Lien ( 2017/02/26(日) 22:41 )