Chance Des Infinitude〜ムゲンの可能性〜










































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Chapitre Huit Des Light 〜湖畔の任務〜
Cinquante et huit 任務開始
  Sideライト



 『ええっと、確か北のゲートの前で合流する予定やんね? 』
 『そうだった、かな、確か』
 コガネを出る前に、シルクがそう言ってたね。あれから結構時間が経つから順番に話すと、アーシアちゃんの活躍でエンジュの試験を突破出来てからは、すぐに目的地の怒りの湖…、へ行きたかったんだけどそうはいかなかった。何故なら、試験が終わった直後に、伝え忘れた事があったらしく、ハートさんがそこで待っていたから…。その時についでにウィルさんの事をわたしは教えたんだけど、ハートさんはプライズの情報を言ってくれた。ハートさんが言うには、詳しくは知らないみたいだけど、プライズの代表はかなりの手練れらしい。道を踏み外す前は、トレーナーとしてジムを巡ってた事があるんだとか…。何か所のリーグを突破したのかまでは分からないけど、手練れって事は、少なくともわたし達と同じか、それ以上。わたし達はプライズを追ってるから、いつか必ず交戦する、そんな気がする…。みんなも心構えができると思うから、その情報がもの凄くありがたかった。
 で、その後は、任務があるからすぐにエンジュを後にした。怒りの湖はチョウジタウンっていう町の近くにあるみたいだから、まずはそこへ向かう事にした。…だけど思った以上距離があって、予定以上の時間がかかってしまった。大きな川を越えないといけなかったから、わたし自身も姿を元に戻して、一気に飛び越した。
 そんな感じで町に着いたのが、太陽が西に傾き始めた夕方の五時ごろ。時間も時間だったから、任務後のことを考えて、先に今晩の部屋を確保しておいた。バトルはほとんどしてないから問題無かったけど、もし挑まれていたらもっとかかっていたかもしれない。スーナとリーフとの合流予定の六時が迫ってたから、急いでそっちへ向かう。あまり余裕が無いから、走りながら予定の確認を行っていた。
 「その通りだよ。詳しくは合流してからって言ってたけど、スーナとリーフも合わせて、二組に分けてから始める、って言ってたよ」
 だからまずは、ふたりと合流しないとね! 確認作業の途中でフルロ、それからテトラが訊いてきたから、わたしは大きく頷きながらそう答える。スーナとはキキョウの近くで会ってるけど、リーフにはまだ会えてない。こんな時に思う事じゃないけど、心のどこかでは、早くみんなに会いたい、そう思っている。だけど慌ててその考えを頭の奥の方に追いやって、シルクから直接聞いた事をもう一度みんなに話してあげた。
 『リーフ次第で何とも言えないが、おそらく片方はアジトの調査、もう片方は外部の敵の殲滅だな。日中でなく夜を選んだのも、そのためだろうな』
 『その方が相手から見つかりにくいしね。…っていう事は、相性的に考えると俺とライト、ラグナとシアさん、それからテトラとラフはそれぞれ離れた方が良いかもしれないね』
 『そうですね。わたしとラグナさんが離れたら、暗い中でも捜せますし、組み合わせ次第では弱点を補いあえますからねっ』
 確かにそうだね。悪タイプのラグナとアーシアちゃんなら、暗い場所でも目が利くし、テトラとラフは守りが硬い。実力のバランス的にも、同じぐらいになりそうだしね。待ち合わせ場所のゲートが見えてきたタイミングで、気付くとわたし達の中では任務についての予測が始まっていた。本当にどうなるかは分からないけど、みんなと話している内容なら、多分うまくいくと思う。わたし、ティル、テトラ、ラグナ、ラフの五にんはホウエンでこう言う事はよくあったし、アーシアちゃんも、向こうの世界で経験済みです、って言ってた。フルロは初めてだけど、きっと大丈夫だよね?
 『それなら、私はテト姉ととは別れた方が良いよね? メガ進化したら同じフェアリー…。あっ、ライ姉、あれってお兄ちゃん達じゃない? 』
 「ええっと、うん、そうだね! スーナ、お待たせ! リーフも久しぶりだね! 」
 あれは…、うん、絶対にそうだよ! だってスーナ達の種族は、ジョウトにはいないもんね! 少し高い位置で羽ばたいてるラフは、わたしから見て右側から、みんなに一通り目を向ける。フルロ、ティル、アーシアちゃんの順に流していき、テトラのところでそれを止める。ラフがメガ進化するためにはわたしがいないといけないから、もし編成でそれも考慮されているなら、わたしもテトラとは別になることになる。こんな事を考えながら聴いていると、話している途中でラフは、何かに気付いたらしい。今わたし達が向かっている先に目を向け、すぐにわたしに確認してきた。
 辺りが薄暗くなってきたせいで見にくかったけど、それでも何とか、待ち合わせ場所のゲートの前に二つの影を確認する事ができた。シルエットだけしか分からなかったけど、わたしにはそれだけで誰なのか、すぐに分かった。だからわたしは、その彼らに向けて、手を振りながらこう呼びかけた。
 『ライト、待ってたよ♪ 』
 『うん、久しぶりだね。フルロ君、フライから聴いたよ。ライト達のチームに入ったんだよね? 』
 『そうなんよ! ラフちゃんに誘ってもらったんよ! それとリーフさん、ヘクトもトレーナー就きになったんやで! 』
 『へぇー、ヘクト君も? もしそのトレーナーもジム巡りをしてるなら、どこかでまた会えるかもしれないね』
 あれ? もしかしてフルロ、リーフの事、知ってるのかな? ちゃんと姿まで見えるようになったタイミングで、スーナ達はわたし達に気がついてくれた。スワンナの彼女は右の翼を高くあげ、軽く会釈。ジャローダの彼も、目でわたし達に答えてくれた。
 その最中にリーフは、何の前触れもなくフルロに話しかける。意外な組み合わせにちょっとビックリしたけど、わたしとは違い、フルロとリーフは親し気に近況報告みたいな事をしていた。その途中で誰かの名前が出てたけど、これは確か、カナちゃんのメンバーのデルビルのだったと思う。
 『ええとテトちゃん? この人達が、待ち合わせしている人です? 』
 『あっ、そっか。シアちゃんは初めてだったよね? うん、そうだよ。紹介するね、スワンナのスーナさんで、ジャローダのこの人がリーフさん』
 『シルクと同じチームの仲間、って言えば分かるかな? 』
 『シルクさんの? 』
 『そうだ。…俺自身は少し複雑だが…、ライトはティルと出逢う前、共に旅していた仲だ』
 確かに、初めてシルクと会った時、偶然ラグナも一緒だったけど、ラグナは敵側だったもんね。スーナ達と初対面のアーシアちゃんは、こくりと首を傾げながらテトラに尋ねる。わたしもうっかりしてたけど、訊かれてテトラもその事を思い出したらしい。首元のリボンで順番に指しながら、それぞれを紹介。された側も、同じタイミングで軽く翼で答えたりしていた。
 ティル、ラグナもそこに加わり、テトラの紹介に補足を加えていく。ラグナは言葉を濁していたけど、何事も無くホウエンでの事を教えてあげていた。
 『ラグナさんはその時からウチらは知ってたけど…、その事は後でも話せるかな♪ アーシアちゃん、シルクから聴いてるよ、よろしくね♪ 』
 『あっ、はい。よろしくお願いしますです』
 『よろしく。…そうだ、ライト、編成と任務の内容を言う前に一つ伝えないといけない事があるんだけど…』
 「伝えたい、こと? 」
 何だろう、伝えたい事って…。紹介されたスーナは、にっこりと笑顔を浮かべながらアーシアちゃんに話しかける。スーナは右の翼で、アーシアちゃんは二足で立ち上がり、空いた右の前足で握手を交わす。リーフは首元から蔓を伸ばし、軽く二、三回ぐらい上下に振っていた。
 とりあえず紹介は済んだからって事で、リーフはわたし達の前に出て、こう話し始める。語尾が少し小さな声になりかけてたけど、それでも彼は言い切っていた。
 『うん。ニ十分ぐらい前、かな。フライから無線で連絡が入ったんだけど、シルクとフライ、別件でこれからの任務から離脱することになったんだよ』
 『えっ、フライ君達が? 』
 『ウチらも詳しくは聴けてないんだけど、プライズと交戦してていたホウオウを保護したらしいんだよ♪ それまで庇って戦ってくれてた子が大怪我を負ちゃったから、今晩中は予断を許さない状態らしくて…。他にも伝えたい事が山ほどあるけど、今すぐに関係する事は、これだけかな…』
 嘘…。…っていう事は、プライズはエンテイだけじゃなくて、ホウオウまで狙い…? その戦ってくれてたっていう人も心配だけど…。
 『あのクズ共、エンテイだけで飽き足らずに、ホウオウまで? 』
 『らっ、ラフちゃん、もう少し言い方を…』
 「とにかく、状況はあまり良くない、っていう事だね? 」
 『うん。…だから今回の任務の目的は、今のうちにプライズの戦力を削いで、少しでも多く情報を仕入れる事の二つ。シルクとフライが抜けた分予定が変わるけど、暗闇に紛れて遂行するよ』
 …リーフ、話の転換、ちょっと無理やりすぎない?
 『暗闇で、か。…となると、やはり俺とアーシアは別の班になるな? 』
 『はい♪ シルクからある程度みんなの実力は聴いてるから、それの通りに、目的に応じた編成を言っていくね♪ 片方は、この場をかく乱して注意を引きつつ、プライズの戦力を減らす班。仮に(アタック)班ってしておくね♪ こっちには、ティル君』
 『俺? 』
 『ラグナさん』
 『ああ』
 『フルロ君』
 『僕も? 』
 『それからウチを合わせた四にんで担当するよ。必然的に戦闘になるから、この組み合わせなら弱点を補いあえるかな♪ 』
 『そうだな。ティルの炎、スーナの水、フルロの草で三竦み(さんすくみ)が成立するという訳だ。…となると、俺は威張ると影分身を利用したかく乱要因だな? 』
 『そうなるね。それで情報収集、同じように(サーチ)班ってすると、テトラちゃん』
 『うん』
 『ラフちゃん』
 『リーフお兄ちゃんと一緒だね? 』
 『アーシアちゃん』
 『はいっ』
 『それとライトと僕が受け持つよ』
 「わたしも? 」
 『うん。S班は守りが強い三にんに集まってもらったよ。それとライトには、ステルスで姿を消して、テレパシーで周りの状況を伝えてもらうよ』
 …っていう事は、わたしはちょっとした司令塔、みたいな感じなのかな? スーナとリーフは、順番に目を合わせながら、ひとりずつ指名していく。テトラとラフが同じ班だったのは意外だったけど、この組み合わせなら万が一に事があっても何とかなりそう。わたしが見た感じだと、もし戦闘になったら、守りが硬いラフと、臨機応変に対応できるリーフが前衛、中衛でアーシアちゃんが自身を強化しながら隙を伺って、後衛のテトラがギガインパクトで一気に決着を着ける。その時反動でテトラが動けなくなるから、リーフが牽制しつつラフがコットンガードで盾になって、アーシアちゃんが第二撃を仕掛ける…、こんな感じだと思う。
 『それじゃあ、いこっか♪ 』
 …兎に角、組み合わせが決まったから、先に告知していたスーナがこう声をあげる。それにわたし達は、それぞれにかけ声で答えた。


 作戦開始、だね。


  Continue……

Lien ( 2017/01/26(木) 00:47 )