Chance Des Infinitude〜ムゲンの可能性〜










































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Chapitre Huit De Cot 〜連鎖する闘争〜
Soixante et six 利害一致
  Sideコット



 「…とりあえず、逃げ切れたのかな? 」
 あれから姿も見えないから…、そうなのかな? カナが隠れ場所を見つけてくれてからも、僕達は交戦を続けていた。スカイバトル…、ってヤライさんが言ってたかな? 空中でのバトルだったから、戦った言相手は飛行タイプとか虫タイプが殆ど…。それが幸いして、僕達の方が有利に戦えていた。少し前みたいにヤライさんが攻撃を食らうといけないから、向かってきたときは目覚めるパワーとかで打ち消して、急接近してきたら、僕の見切りでかわしてもらって、ヤライさんがナイトバーストで返り討ちにする。こんな感じで、相手のメンバーをトレーナーを乗せているひとりにまで減らすことができた。その頃には気がつくと、陽が沈んで真っ暗に…。結構時間が経ったからもう目が慣れたけど、ヤライさんだけしかろくに前が見えていない状態だった。
 そんな感じだったけど、何とか僕達はカナが見つけてくれた湖まで逃げ切る事ができた。カナが地面に降りたタイミングで、僕も跳び下りる。ヤライさんも息を切らせながらイリュージョンを解いていると、カナは空を見上げながらこう呟く。カナに言われて初めて気づいたけど、僕達を追って降りてくる影は何一つなかった。
 『そのようね。…コット、あんたのお蔭で助かったわ』
 「こちらこそ。僕も多分、ヤライさんじゃなかったらここまで戦えなかったと思うよ」
 「わたしからも、ありがとね」
 イグリーの時とは勝手が違ったけど、これはこれでいい経験になったね。見上げるカナに続き、元のゾロアークの姿に戻ったヤライさんもホッと一息つく。相当疲労が溜まったらしく、彼女は腕を回したり揉み解したり…。腕の緊張を思い思いの方法で解いていた。そうしながら彼女は視線を下ろし、僕に声をかけてくる。こう感謝されると少し照れるけど、僕も彼女に対して同じ事を思ってる…。似たような感じで言ってから僕は腰を下ろし、お互いの健闘を称え合うように固く握手を交わした。
 『あんたもね。…ふぅ、こりゃあ明日は確実に筋肉痛…』
 「はぁ…、やはり、頼るしかないのか…」
 「ん…? あっ! 」
 あの人は…! でも何で、よりによってこんな時に! 腕のストレッチをしているヤライさんは多分、確実に筋肉痛ね、そう言おうとしていたんだと思う。だけどその途中に、予想外の人物が僕達の近くを通りかかる。その人は相当思いつめた様子で、何かを呟いている…。聴こうと思えば聞けたけど、僕はその人に対する驚きのせいで、六に聴きとることが出来なかった。その人物とは…。
 「またプライズ? しかも何で幹部が…」
 「っ? 」
 「かっ、幹部? コット! 」
 「そうだよ! カナ達がラフさん達といる時、僕達が戦ってた相手だよ! 」
 コガネでティルさんとユウキさん、ヘクトと一緒にいる時に戦った、プライズ幹部のベータ。ただでさえ追われた直後で疲れているのに、幹部と鉢合わせになるなんて…。おまけにこの人は、あのティルさんでも全く歯が立たなかったヘルガーがメンバーにいるほどの実力者…。ダメージはあまりくらってないとはいえ完全な状態じゃないから、僕は出来れば会いたくなかった。率直に言うと、泣きっ面にスピアー、この諺がふさわしいかもしれない。
 『また密猟者? あんたらは、どんだけアタイらに執着すれば気が済むのよ…』
 「さっ、サンダースがしゃ…」
 「ほう、ベータ、久しぶりだな。俺達が奇襲をかけたというのに一人油を売るとは、ナメた事してくれるよなぁ! 」
 「えっ、今度は何? 」
 驚きも治まりきらないうちに、また別の一団がこの場に割り込んできた。ここまでくるともう何が何だか分からなくなってきたけど、その人はプライズの幹部にこう呼びかける。どうやら知り合いらしく、その人はあからさまにベータを挑発する。人数で勝っているからかもしれないけど、凄く強気でこう言い放っていた。
 「ただでさえ時間が無いと言うのに…、デルタか」
 「まさかお前ほどの奴が、俺達プロテージの奇襲…」
 「あっ! 思い出した! 何か見た事あるなーって思ったら、繋がりの洞窟の…! 」
 繋がりの、洞窟…? 新手の代表? とは対照的に、プライズ側は何故か意気消沈、といった様子。言い返す声には覇気が全くなく、どこが逃げ腰といった感じ…。傍から見ている僕には、そう見えた気がした。
 一方のカナは、何かに気付いたらしく、急に声をあげる。珍しく何かを覚えていたらしく、その事をすぐに口にしていた。
 「繋がりの…、お前は俺達の捕獲対象のラプラスを横取りしたガキか! 」
 「横取りなんて…、無理やり捕まえようとした密猟者とわたし達を一緒にしないでください! 」
 そうだ、やっと思い出したよ! あの時、ネージュを集団で捕まえようとした別の組織だよ! カナとその人の発言で、僕の頭の中を電流にも似た何かが駆け抜けた。今思い出したけど、よく見たらコスチューム? ユニフォーム? どっちでもいいけど、服のデザインが同じような気がする。向こう側も僕達の事を思い出したらしく、ベータに対して以上の感情を向けてきた。流石にカナも頭にきたらしく、言い放つ声に怒りが添加されていた。
 「ふっ…、ゼータの奴からプライズに抗う娘がいるとは聴いてはいたが、お前だったとはな…。それも、プロテージにまで…」
 「お前らもこの小娘には邪魔されているようだな。いい気味だ! …まぁいい。折角の機会だ、ベータ、お前もろとも葬ってやる! 」
 「えっ、ええっ? 」
 たっ、確かに、気に障る事をしたかもしれないけど…!
 「お前、戦えるな? 」
 「…うっ、うん。僕とヤラ…、ゾロアーク、は、無理そうだね…。僕しかいないけど…」
 あの様子だと、ヤライさんは無理そうだね…、多分。どんな地位なのかは知らないけど、プロテージ側の彼は、ついでって言う感じで声を荒らげる。プロテージの反感を買った事に心当たりは、確かにある。ベータは何をして…、あっ、敵対する組織、なのかな? どっちも密猟組織だから…。プロテージ側の彼は、引き連れている部下の一人に指示を出し、同じく手にボールを握っていた。
 これに対しプライズ側の彼は、カナ対してかなり驚いている様子。僕達とプロテージの間に会った事を聴くと、彼は小さく笑い声をあげる。それから何かを悟ったらしく、彼はトレーナーのカナじゃなくて、サンダースの僕にこう訊いてきた。僕はやろうと思えば戦えるけど…、こう思いながらヤライさんに目を向ける。すぐに気付いてくれたけど、彼女は首を縦に、じゃなくて横にふる。この行動だけで、僕は彼女は戦えない、そう伝えてきたような気がした。
 「だっ、だけど、密猟者なんかと…」
 「カナ、今はそう言ってる場合じゃないよ! 」
 「カナ、か。…まさかな。お前のサンダースの言う通りだ。お前はデルタに狙われていて、俺も敵対組織として目を付けられている。それに対して相手は四人。ここは単独で戦うより、手を組む方が得策だ」
 「けど…」
 「カナっ! この人の言う通りだよ! …僕もあまり気は乗らないけど、そうしないと切り抜けられないよ! 」 
 「だけど…」
 「…わかった、僕が闘うから、カナはヤライさんの事を看てて。カナの指示が無くても戦えるから! 」
 こうなったら、カナは無視してでも戦わないと、どうにもならない! 何しろ、流石にもう目が覚めてると思うけど、イグリーとネージュ、ヘクトも戦える状態じゃないし、ヤライさんも、慣れてないのにずっと乗せて飛んでくれたから、疲労で動けない…。そんな状態だから、今戦えるのは、僕しかいない!
 これだけ説得しても、カナは頷いてはくれなかった。気持ちはよく分かるけど、この状況ではそうも言ってられない。だから僕は、カナの返事は関係なしに、プライズの幹部の提案に乗ることにした。


  Continue……

Lien ( 2017/01/31(火) 22:08 )