Chance Des Infinitude〜ムゲンの可能性〜










































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Chapitre Sept Des Light 〜平穏な一日〜
Cinquante et six 師
  Sideライト



 『ふぅ…。とりあえず、エンジュには着いたね』
 『一時はどうなるかと思ったけどね』
 『だけどフルロ君、流石にあの時は戦うべきじゃなかったかと…』
 確かに、そうだよね。…自然公園の入り口でヒイラギ、それからウィルさんと再会したわたし達は、自分たちの事を情報交換してから、ひとまず別れることにした。出逢いが最悪だったからウィルさんはヒイラギの事をあまり良くは思ってないみたいだけど、ヒイラギの方はそうでもないらしい。パートナーのカソードちゃんが言うには、ウィルさんは時々先走って周りが見えなくなることがあるらしい。
 それからのわたし達は、公共の施設の自然公園通ってエンジュの街を目指していた。噂には聞いていたけど、平日の昼間にもかかわらず結構沢山のトレーナーがしのぎを削りあっていた。任務の事があるからすぐに抜けたかったけど、現実はその真逆…。アーシアちゃんと、交代でみんなが常に外にいたから、矢継ぎ早にバトルを挑まれてしまっていた。本音を言うとバトルをする時間はあまりなかったけど、挑まれたバトルは請けるのが礼儀…。気はあまり乗らなかったけど、やっぱりわたしもバトルが好きなんだね…。みんながが闘ってるのを見ると、わたしも戦いたくなったよ。
 …で、話を元に戻すと、何度も戦ってから、わたし達はようやく任務の中継地、エンジュシティに辿りついた。その頃には太陽は頂点から少し逸れていて、気温もそれなりに高くなってきている。高いと言っても春だから、カラッとしてて心地いいぐらい…。バトルの疲れを若干残しながらも、ティル、テトラ、アーシアちゃんは、それぞれに一息ついていた。
 『んやけど、結果的に勝てたんやから、ええやろ? 今頃ヘクトも戦っとるはずやし…』
 『ヘクト…、昨日ティルと一緒にいたっていう、デルビルの事か』
 『そういえばそんな事言ってたね。確かネージュちゃん達のチームに入ったんだよね? 』
 「そのはずだよ。カナちゃん達の方が先にコガネを出てるから、早ければジム戦の最中なんじゃなかな? 」
 エンジュのジムはゴーストタイプだってシルクが言ってたから、その子が闘ってるかもしれないね。ティルは面識があるみたいだけど、フルロはそのヘクトっていう子の事をかなり意識しているらしい。コガネのジムでわたしがシルク達と話してる時、フルロとティル、それからアーシアちゃんもそっちで話していた。何を話していたのかまではきてないけど、そっちはそっちで盛り上がっていたらしかった。今の話題もその子の事になったから、予想を交えながらわたしはこう話を続けた。
 『ダブルバトルみたいだから、イグ…、あれ? あれって…』
 『ラフちゃん、どうかしました? 』
 『あれって、もしかして…』
 ん? ラフ、何か見つけたのかな? 話の最中、翼をたたんで話していたラフが、何かに気付いたらしい。思った事を言ってる途中だったけど、彼女は首をあげ、遠くの方に目を向けていた。それに気づいたアーシアちゃんが、こくりと首を傾げながら彼女に問いかけていた。それにつられて、わたし、たぶんみんなも、つられるようにそっちの方に目を向ける。
 『ハートさんとルクスさんじゃないかな? 』
 その先にいたのは、誰かと話しているらしい二つの影…。話し相手は誰か分からないけど、わたしよりも背が高い彼女は、キャリーバッグを片手に何かを離している。その彼女の傍で控えているデンリュウは、買い物の直後だったらしくいくつもの荷物を抱えていた。
 『ええっとその人って、ライトちゃんの知り合いなのです? 』
 「うーん、知り合いっていうより、師匠、かな? 」
 『ライ姉だけじゃなくて、ティル兄もだよね? 』
 『まあな。…俺は苦手だが…』
 やっぱり何年経っても、ラグナは苦手なんだね…。ジョウトでの旅以前からのメンバーのみんなは、あの後ろ姿とパートナーだけですぐに分かったらしい。ラグナはメンバーになる前は追われる立場だったから、その時の癖が完全には抜けきってないみたいだけど…。だけどラグナとフルロ、それからアーシアちゃん以外はそうじゃないから、みんなそれぞれに違う反応を示す。ティルは黙ってるからテレパシーで話しかけていると思うけど、わたしとラフはアーシアちゃんに、テトラはフルロに、それぞれ彼女たちの事を説明し…。
 『…ティル君、久しぶりやね! ハート! 』
 「どういたしまし…、ルクス、どう…、ライト? ライトも来てたのね? 」
 「はい! ええっとハートさん達は、休暇中ですか? 」
 制服着てないって事は、そうなのかな? 本当にティルが語りかけてくれていたらしく、控えていたルクスさんがすぐに気付いてくれた。振り向きながら右手で会釈し、活気に満ちた声で返してくれる。そのままルクスさんはハートさんの腰の辺りを軽く叩き、わたし達がいる事を気付かせてくれていた。
 「そうよ。シンオウでの任務が一段落したから、有休をもらったのよ。折角の休みだから、久しぶりにルクスの故郷に帰ってきたって感じかしら」
 『そういえばルクスさんって、キキョウの出身だって言ってたよね』
 『里帰りですね? …でも師匠? 師匠達って、カントーが管轄でしたよね。シンオウって事は…』
 それにハートさんにとっても、ジョウトはゆかりの地だもんね。わたしが知ってることと少し矛盾してたけど、ハートさん達は久々の? 休みに心を躍らせているらしい。彼女の声のトーンは、いつもより少しだけ高くなってるような気がする…。よく考えてみたら、ルクスさんの故郷っていう事もそうだけど、ふたりにとっては思い出の地でもある…。何年前かは忘れたけど、ハートさんはルクスさんだけでジョウトのジムとリーグを制覇したことで有名…。カントーの伝説のトレーナー程じゃないけど、トレーナーとして旅をしたことがある人なら一度は聴いた事があるはず…。種族としてもそうだけど、わたしの憧れ…。
 「いいえ、転勤はしてないわ。…むしろ昇格、って言った方が正しいわね」
 『昇格…、部長や署長に…』
 『その上、やね』
 えっ、上? わたしもハートさんに質問しようと思ってたけど、代わりにティルが彼女達に訊いてくれた。ハートさんはほんの一瞬だけ考えてたけど、すぐにわたしたちの方に視線を落とす。何か含みを持たせた言い方だったけど、階級が上がったって事だけは分かった気がした。
 『うえ…? 』
 『そう。ウチら、半年ぐらい前に国際警察に配属が決まってね』
 「国際警察にですか? って事は、リラさんも知ってますか? 」
 「ええ。…リラ先輩を知ってるのと、そのバッチを着けてるって事は…、エクワイルね? ブロンズって事は、キュリーブね? 」
 『うん! ライ姉は今はそうだけど、丁度昇格試験中だから』
 『もちろん、任務と兼ねてです』
 って事は、ユウキ君だけじゃなくて、ハートさんもわたし達も上司、って事になるのかな?
 「任務…。任務って事は、プロテージ関係かしら? 」
 「はい。ええっと、わたし達はプライズを追ってるんですけど…」
 国際警察、って聞いてビックリしたけど、ハートさんならあり得なくもない気がする。ハートさんはトレーナーとしてもそうだけど、武術の腕もかなりのもの…。ハートさん自身のバトルの実力は覚えてないけど、武術は全国レベルで賞を取るほど…。これはわたしの勝手な想像でしかないけど、これだけの経歴と実力があるから、採用されたんだと思う。今のハートさんの事が分かったから、わたしは現状の報告も兼ねて、彼女に一つずつ話し始めた。


――――


  Side???


 「…アルファ、エンジュになんか来て何をするつもりだ? 」
 「…うるっさいわね…。決まってるじゃない、・・・・を捕獲するのよ」
 「・・・・を? 」
 「そうよ」
 「だけど、・・・・を捕獲するとは当初の…」
 「ベータ、今のトップはこの私よ! ・・・・とエンテイがあれば…。…ベータ、その足掛かりとして――――の準備を…」
 「アルファ、いくらな何でもそれはないだろう! そもそも、昔からの掟で幹部の出身地には手を…」
 「ベータ、この私に刃向かう気? 」
 「当たり前だ! ・・・は俺の故郷だ。お前はそれを知っていて…」
 「当然じゃない! あんなクソ田舎、あっても意味ないじゃない。それならこの私が、わざわざ利用してやるのよ! むしろ感謝してほし…」
 「ふざけるな! おま…」
 「それは私のセリフよ! …もういいわ、エンテイ、やってしまなさい! 」
 「グルルルゥ……」
 「っ! オニドリル! 」
 「…チッ…」


  Continue……

Lien ( 2017/01/03(火) 17:02 )