Chance Des Infinitude〜ムゲンの可能性〜










































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Chapitre Cinq Des Light 〜親友の拠点〜
Quarante et cinq 幹部との遭遇
  Sideテトラ



 『ライトさん、もし向こうで出くわしたら、戦ってええって事やんね? 』
 『そうなるけどフルロ君、守るのも大事だけど、無理だと思ったら逃げてくださいね! 』
 『ライ姉、あれお願い! ムーンフォース! 』
 「うん」
 カナちゃん達と行動を共にしていた私達は、何事も無くコガネシティに到着した。だけど何もなかったのはここまでで、街の奥の方から何人ものプライズが姿を現す。走ってきてるから戦闘になるのも時間の問題なのに、ライトとカナちゃんは言い争いをしてしまっている。その近くでフルロ君は今にも闘いだしそうな感じだったけど、シアちゃんが何とか説得してくれた。みんながそれぞれに動き出したから、私も何かをしないと、そう思ったけど、ラフに先を越されてしまう。ようやく人混みを抜けた相手に向けて、薄桃色の球体を解き放ってくれた。
 『私達がここで足止めするから、その間にイグリー君達も逃げて! ラフには案内を頼まない方が良いと思うけど、バトルの実力は私が保証するから』
 『はっ、はい! 』
 この様子だとメガ進化するみたいだから、とりあえずは大丈夫かな。紺と薄桃色の光に包まれたラフを見た私は、ライトの考えを察してこう声をあげる。ライトが何も言ってないのにカナちゃんが頷いていたから、テレパシーで伝えているんだと思う。だから私は、姿を変えたラフをチラッと見てから、イグリー君達にこう言う。メガ進化というものを初めて見たらしく、ふたりとも唖然としていた。けど、ネージュちゃんだけは辛うじて頷いてくれた。
 「ラフ、頼んだよ! 」
 『任せて!
 「はい! ネージュ、一端戻って」
 向こうが安全とは限らないけど、ラフがいるなら、とりあえずはね…。メガ進化を終えたラフに、ライトは短く声をあげる。こういう時はいつもそうだから、今回も相手に聴かれない様にテレパシーで指示を出しているはず。本当にそうだったらしく、ラフはすぐに頷き、一番脇道に近いカナちゃんの方に飛んでいく。その彼女も大きな声で返事し、この中では一番大きなネージュちゃんだけをボールに戻していた。
 「逃がすかぁっ! アメモース、電光石火で追いかけろ」
 『はいはーい、いつものねー。電光石火』
 電光石火かぁ…、この状況で追いつかれるのは、厄介だよね…。カナちゃん達が走り始めたタイミングで、戦闘位らしい団員がこう声をあげる。どうせ反射的に出した指示だと思うけど、敵ながら良い選択だとは思う。だけど私達だって、逃げるカナちゃんたちのために、ここを通す訳にはいかない。だから…。
 『あんた達の相手は私達だよ! シアちゃん! 』
 『うん! 守る』
 『フラッシュ』
 全力で止めさせてもらうよ! こんな風に相手に宣戦布告してから、私は隣にいるシアちゃんに目で合図を送る。すぐに気づいてくれた彼女は、ぴょんと私の目の前に躍り出る。軽く真上に跳んだところに、私の腕代わりとも言える触手を滑り込ませる。シアちゃんの後ろ足を掴んでから、すぐに真上に振り上げた。
 私のアシストで大きく跳び上がったシアちゃんは、虎視眈々とカナちゃん達を狙うアメモースの前に立ちはだかる。体勢が起きたままの状態だけど、そんな事は気にせずに技を発動させる。するとシアちゃんの周りに、緑色の壁みたいなものが出現。結果的に滑空する相手とぶつかり、進行を防ぐのに成功した。
 『スピードスターっ! 』
 『うっ…、連ぞ…』
 『ムーンフォース。どうせあんた達は、こうでもしないと止まらないんでしょ? 』
 下層団員は、大抵がそうだからね。シアちゃんのシールドと相手がぶつかったタイミングで、私は予め放っておいた光球を弾けさせた。味方とはいえシアちゃんの視界も遮ることになるけど、守るを使ってるから大丈夫なはず。私自身も目を瞑っているから分からないけど、聴いた感じでは何とかなっていると思う。目を開けると、シアちゃんは落下しながら手元にエネルギーを溜め、左から右に振りかざす事で七つの星を撃ちだしていた。
 シアちゃんは問題なく閃光をしのいでいたから、私自身も攻勢に移る。見上げていた位置から右に移動し、その途中から右の触手にエネルギーを溜め始める。五歩ぐらい駆けたところで相手に向き直り、狙いを定める。三つ目のシアちゃんの星がヒットしたところで、春色の弾丸を投擲した。
 『うしr…っ』
 『テトちゃん、ありがとう! 』
 『友達なんだから、サポートするのは当然でしょ? シアちゃんも、大丈夫だった? 』
 『うんっ』
 二対一になっちゃったけど、相手はプライズだから、いいよね…? 斜めに風を切る私の弾丸は、的確に相手のアメモースを捉える。七つ目の星と私のソレが同時に命中すると、相手は声をあげる間もなく地面に落ちる。スタッ、と前足か着地したシアちゃんは、こんな状況だけど明るくこう言ってくれる。だから私も同じように頷き、続いてフラッシュの時の事を尋ねた。守るとの兼ね合いは分からなかったから少し心配だったけど、この様子だと大丈夫そう。シアちゃんの焦点もあってたから、私の心配はすぐに解消されることになった。
 
  ふたりの連携、完璧だね。

 『街に着く前に、テトちゃんと練習できたからですっ』
 『その時にシアちゃんの戦法を知れたから、そのお陰だよ』
 流石に技を四つ以上使えるのには驚いたけど、そうじゃなくてもシアちゃんとは息が合いそうだよ。この間にライトは何をしていたのかは分からないけど、私達のバトルをこう評価してくれる。まだテレパシーに慣れていないシアちゃんは一瞬ビクッ、って反応してたけど、すぐに気持ちを切り替えて声をあげる。私もそう思ってたから、続けてライトにこう言う。その後私達は、ねっ、てお互いに目線をあわせ合った。
 「クソッ…、アノ…」
 「女一人にあっさりやられるなんて、あんたはそれでも男かぃ? 」
 シアちゃんとこんな風に話していると、また一人、別の人物が奥から姿を現す。その人は逃げ惑う通行人に構わず…、いや、あたり散らす、って言った方が良いのかな? 不良みたいな態度で、辺りを威圧していた。その女の人は次のメンバーを出そうとしている戦闘位の左腕を鷲掴みにし、力任せに引っ張る。通行人に対してもそうだったけど、その人の事なんか気にも留めずに、後ろに引き倒していた。
 「ぜっ、ゼータ様。もっ、もうし…」
 「言い訳する暇があるなら、さっさとこの場所を空けなさい。…フッ…、ブラッキーに色違いのニンフィア…。アタイの幹部としての初陣に最適じゃない。…だからあんたの事は、特別に大目に見てあげるわ」
 かっ、幹部? 引き倒した女の人は、振り返る事なくこう言い放つ。そのまま私達の事を見るなり、満足そうに独り言を呟く。しかもご丁寧に、自分の地位まで言ってくれる。性別が違うっていうのもあるけど、確かに彼女のユニフォームはその男の団員のものとは違う。私も見覚えのないデザイン…、しかもシミやしわ一つない新品に見えたから、あながち間違いじゃなさそうだった。
 「幹部…。誰が相手でもそうですけど、他人(ひと)のメンバーをつか…」
 「あら、所詮バロネス以下の小娘が大層な事を言ってくれるじゃない。マーショネスの爵位を持つアタイに勝てると思いで? 」
 『…テトちゃん、この人が言ってる事、わかる? 』
 『うーん…。よく分からないけど、どうせありもしない根拠で自己満足してるだけ、じゃないかな』
 ホウエンで追ってた組織もそうだったけど、どうしてこういう組織の幹部はみんなこうなんだろう。訳が分からない事を言う自称幹部の彼女は、話している最中のライトの言葉を遮る。その事に相当誇りを感じているらしく、いわゆるどや顔で、しかも見下すように言い放つ。私にとってこんな相手はもう慣れっこだから、正直言って相手の態度なんてどうでもいい。シアちゃんが首を傾げていたから、持論をふまえて私はこう呟いた。
 「それ以前に、エクワイルとして見逃せません! マー何とかが何なのか知らないけど、事件が起こる前に、ここで倒します! 」
 「エクワイル…、聞き捨てならないセリフね。わざわざあんた達の方から出向いてくれるのなら、アタイが特別に相手してあげるわ。フレア団時代の恨み、そして無礼なその態度の戒めとして、存分にいたぶってあげるわ。覚悟しなさい! 」

  テトラ、アーシアちゃん、くるよ!

 元々戦うつもりだったから、いつでもいけるよ! 逆恨みされる筋合いなんて、私達にはないんだけど。ライトがこう言った途端、相手は急に態度を変える。本当に身に覚えが無いけど、相手にとっては禁句だったらしい。青筋を立てた相手は、罵声にも近い声で騒ぎ立てる。鬼の形相の彼女は、腰にセットしているボールを二つ鷲掴みにし、感情のままに勝負を挑んできた。


  Continue……

Lien ( 2016/09/17(土) 18:01 )