電車内で
暫くして。二人を載せたバスは最寄り駅に到着し、切符を買って、改札口へ向かう。電車も意外と直ぐに来て、開いている席に二人は腰掛けた。
「ココまで来るの早かったわね」
「うん。今のところスムーズに乗り換え出来てるからかな?」
「きっとそうね。 こんなに早いなら、少し足を伸ばしてコッチでお昼食べちゃえば良かったと後悔しちゃうわ」
「でも、私はルテさんが作る料理の方が好き」
「そう? ありがと。そうだ、今日の夜は買った木の実で新たな創作してみるのもいいわねー」
「やったぁ!楽しみにしてるね? ところで、どこ駅まで行くの?」
「今が目黒駅だから、降りる駅はあと二つ先の原宿駅よ。 そうだ、原宿と言えばクレープよね。食べたい?」
「くれーぷ?」
「あ、もしかして知らない? じゃあ買いましょ。どんなのかは行ってからのお楽しみってことで」
「え、せめて簡単な説明を...」
「どーしよーかしらねー? とは言え、簡単にと言われると答えるのが難しいのよね意外と。だってほぼ答えだから」
ニアが心で『え、そんなに簡単なの?』と驚いたような、残念がるような声をルテは聞き取っていたが、敢えて突っ込まなかった。何故かと言うと、物を見せた時に反応がどうなるか見たいというちょっとした出来心である。が、それよりも気になるのが同じ号車に乗る周りのお客の声だった。まだ『あのチョロネコ可愛い...』や『あの年でしっかりしてるわね』はまだ良い。
それよりも『あの年でクレープも知らないのね』や『あの子隣にいる奴の親じゃなくね?』などのマイナスイメージを持っている人が居ること。
確かにルテはニアの本当の母でも無いし、親でもないし血も繋がっていない元は他人同士だった関係。けど、何にも知らないあなた達にそう言われる筋合いはない。
それともこの子の過去でも聞く?どんな悲しい思いをしていたか、どうやってココまで明るくする事が出来たとか、全部聞く?
...言わないけど。
〈ご利用ありがとうございます。次の到着駅は渋谷、渋谷です。 お忘れ物の無いようにお気を付け下さ...〉
当序として電車の音声案内が音楽と共に流れ、他の路線への長い案内をし始める。途中何度か噛みそうになってたけど、取り合えずば問題なく言えたみたいね。感じ的にまだ入り立ての新人研修員っといったところかしら。
「渋谷ってファッションの街だっけ?」
「ええ。渋谷は新宿、池袋と並ぶ3大副都心の一つで、山手線のターミナル駅を中心とした繁華街が形成されてるの。因みにファッションの街で間違ってはないけど、別名として若者の街として知られてて、西武百貨店、東急百貨店、パルコ、109などのデパートや専門店、飲食店などが立ちならんでるわ。 それと渋谷駅前には名物と言える忠犬ハチ公の銅像があって、そのすぐ向かいはスクランブル交差点って言う大きな横断歩道があって、この前はそこで年越しカウントダウンとかやってたわね」
「詳しい...。 昔住んでたりしたの?」
「してないわよ。前は行ってたから、それを話しただけよ」
「前って私と会う前って事だよね...?」
「そ、そうね」
まさか自分から昔の話をしてくるとは...ちょっと驚いた。ほんの前は少しでも触れると不安定になるほど弱かったのに...いつの間にか成長したって事ね。
「けど、コレと言って何かしてたわけじゃないのよね、渋谷。殆どウィンドウショッピングや雰囲気を味わってただけね。さっきも言ったけど若者の街だから、その若者達の活気あるパワーを感じて自分も元気になれる...みたいな? ほら、私はエスパータイプだから周りの空気や環境、人の溢れ出る感情でサイコパワーは上下するのよ」
「エスパータイプって...なんか大変そう。それなら私の横に居て大丈夫なの...?」
「ニアちゃんは別よ。それに、一人のマイナス感情で影響が出ることは無いわ」
コレは嘘。初めはニアちゃんのマイナスエネルギーが強すぎて何度体調を崩したか...けど、今はこんなに元気で、暗いこと言ってもマイナスエネルギーが莫大になる事はもう無くなった。
「そっか、良かった...」
「...ところで、何でいきなり心配し出したのの?」
「何となく...かな?」
「そうっ、まあ良いわ。 さてと、次が目的駅よ。結構着くの早かったわ」
電車内の電工掲示板でもう少しで着くことを指しているのを確認してから私は立ち上がった。それを聞いてニアちゃんも椅子から降りて私のとこに来るけど、揺れがあってうまく歩けてないわね...。私はサイコパワーで身体のバランスを維持してるけど、ニアちゃんは二本立ちで不安定な揺れの中を支え無しで歩いてるから、当然バランスは取れないわよね。とは言え、万が一の為に実は軽く支えていたりするけど。
「止まってから歩けばいいのに」
「そ、それだと背丈的に見失うから...」
「あ、そっか。けど大丈夫よ。 だって私が離れたと思ったら止まるか、引き返すかするから。それにテレポートも出来る事を忘れちゃダメよ?」
「でもそれってー...知っているところじゃないと駄目じゃなかったっけ?」
「その人を強く念じて、少し時間掛ければ行くことは出来るわよ。 ...ふう、まずは使わないとは思うけどね」
「よいしょっと。 やっぱりかなり疲れちゃうとかで?」
「んー、それもあるけど。 なんか使っちゃいけないような気がするのよね。よく分からないけど」
理由は何故なのかは全く分からない。けど本能で使うのは本当に緊急時や、使わないといけないと思った時しか使わない。過去に一度その事を思って使ったのは大地震の時に両親の安否を確認したかった事くらいしか人生で思って使った事しかない。
そして、使ったからと身体に異変が起きたわけでもなく、周りに何か影響が出たという事もない。無論サイコパワーにも。
けど、そんな事よりも
「...人がちょっと多いわね。 サイコキネシス使うわよ」
以外と人が多いこと。時間帯ずらしたから問題ないし、歩くのには支障はないとは思ってたけど何故か人が多い。何か今日あるのかしら?
「わわっ。 やっぱりこのふわっとした感じ慣れない...」
「少しだから我慢して。 流石に何故か人が多いから」
「うん...」
探り入れようかしら、何故多いか。コレだけ人が居れば数人くらい何か考えてるでしょ。
...ライブ?それに作品展...?どんな物があるか楽しみ...?ライブまで寝てよ...? なんか混ざっててよく分からないけど、何かはやるみたいね......ん、未来想像展?あ、新宿にある学校主催の学生が作った作品を企業やテレビが見に来るアレね。で、その終わりのゲストライブで有名なアニメ歌手がライブすると。
「成る程ね」
「なにが成る程なの?」
「人混みの理由よ。ま、それは食べながらゆっくりと。 じゃあ改札出たら下ろすから、もう少し待っててね」
ー後書きー
まさかの連続更新になりました。どうもなのです。
ルナ「どうもじゃないわよ...嬉しいっちゃ嬉しいけど。で、ディスペアとポケファンはどうしたのよ?」
ディスペアは同時執筆してましたよ。半分執筆終えました。ポケファンはプロット作る時間無くてですね...明日やりますけど。
ルナ「そう」
...はい。ルナ、なんか怖いんだけど(
ルナ「気のせいよ」
...はい、そう言うことにしておきます(苦笑い)