お母さん
「...よし、これで直ったわ。 にしても、どんな寝方したらそんな寝癖が付くのよ...」
「えへへ、スゴイでしょ?」
「...褒めてないからね? そう思えば、ニアちゃんと電車乗るのは初めて二日目だったか、それ以来ね。あの時は全然距離感掴めなくて、けど手はしっかり握ってくれてたわねー...懐かしい」
「あ、あの時はまだ慣れてなくて、話しかけるのもどうしようかと迷ってて...」
「あら?その割には初対面の時かなり積極的だと思ったけどー? 泣きながら抱き着いて、泣き疲れて寝ちゃって、離そうとすると強く抱きしめて...可愛かったわよー?」
「なっ!?///そ、それは忘れてよっ!!/// 私、あとから考えて凄く顔が
熱ってドキドキが止まらなかったから...」
頬を赤く染めて顔をそらしながら言うニアを、ルテは少々やり過ぎたかなと思って話題変更。その話題は今日の予定の事。
そのマイナーな木の実ショップ行った後、別に一度買った木の実を冷蔵庫の中に突っこんで、今度は電車などは使わずに近場で何かするか、木の実ショップがある最寄り駅近くで何かして帰ってくるか...今のところ二択をルテは考えていた。
「...ねえ。ニアちゃんだったら木の実を買ったあとすぐ帰って近場で何かするか、どうせ出たならあっちで何かするか、どっちが良い?」
「えと...後者かな?色々見たいかなって」
「分かったわ。 ...そうだ。そろそろニアちゃんの洋服買っても良いかもしれないわね。サイズ小さくなってきたでしょ?」
「まだ大丈夫」
「よそ行きの服装とか、とくに寝間着とか、前に欲しいって言ってたじゃない? 要らないの?」
「...い、要らないです」
「遠慮しなくて良いのよ。それにもうチョット甘えてくれても良いの...いや、甘えて欲しいが本音かしら?」
ルテはしゃがんでニアと同じ目線になって、目をじっと見て言う。するとニアの頬がだんだん赤くなって行き、最終的に一瞬だけ視線だけ外す。が、それをルテは見逃さずにキュッと抱き寄せる。
「だーかーら、まだ子供なんだから遠慮しなくていいのっ。 それと、私は心の声が分かるって何度言えば良いのかしら?」
「うぅ...ルテさんの意地悪...///」
「そう言うけど、これが出来たからこうしてニアちゃんが今ここに居るわけでしょ? 助けてとサインを出したのを受け止められた訳でしょ? ...っというか、今そんな話をしたい訳じゃないの。確かに両親を無くして、急に私がお母さんとなって、違和感があるのは分かる。けど、今は私がニアちゃんのお母さんなの。そして私もそう思ってるの。だから自然と甘えて欲しいと思っちゃう訳よ。 嫌なら別にいいわ。たまに見せてくれる無防備な甘えが見る事が出来るだけでも」
「うぅ...///」
「...さてと、そろそろ行きましょ! 時間は有限だから無駄せず使わないとね」
少し強めに抱きしめた後、立ち上がってリビングの方向へと歩く。それに続いてニアも付いて行って出されていた衣服を身に纏う。
服装は温かくするということで、防風設計の細みの白色ジーンズにし、ブラウンの上着を一枚羽織った簡単なコーデ。足首は少し閉まっているタイプなので、
ちなみに夏だったら何も着ないで外を歩き回ったりすることは出来るが、流石に冬場は着ないと身体の温度が下がりすぎて、最悪危険な状態まで達する事だってある。
草タイプ等は大変だ。たたでさえ寒いのが苦手なのに、特殊な体の子が多いのも特徴なので合う服があんまり無いのだ。
「...用意できた?」
「はいっ。ルテさんは?」
「ちゃんと買い物袋は持ったし、ガスの元栓もちゃんと閉まってるわ。 あ、先に出てて」
靴を履くのを待っているニアを見て、ルテは先に行ってと言うと「分かった」と言いながら頷いて玄関の扉を開けて外に出る。外は風は無いものの、やはり一瞬身震いするほど寒く、露出している両手をすり合わせたり息を吹きかけたりしてルテを待つ。
すると靴を履き終えたルテが買い物袋の他に違うものを持って現れた。それは薄いピンク色をした手袋だった。けどサイズ的にルテにはキツイのではないかと思っていると、
「はい、手袋。手、寒いんでしょ?」
「あ、ありがとっ。 ...あれ、ルテさんのは?」
「私は要らないわよ。サイコパワーの調整難しくなるし弱くなるしで、完全にデメリットしか無いから」
「そうですか...けど、寒くは無いの?」
「大丈夫よ。さて、戸締まりもOKだし、早速行きましょ」
「はい! ところで、どんな木の実が売ってるの?」
トコトコと歩いて、最寄り駅に向かいながら質問すると、カバンからチラシを取り出して渡されたので見てみた。
「チラシ上だと、普段中々見ることの出来ない木の実や販売数が少なくて出回るのが少ない高級物がメインみたいね」
「へー。 あ、一応見慣れてる木の実も売ってるん...安い......」
上からなぞるように見ていくと、見たことも無い形や色の木の実が乗っていて、その1/3の領域で見慣れた木の実が乗っていた。しかも見慣れた木の実はいつもスーパーで買う値段の半額より安いくらいの値段設定で、売られているものは週替りらしい。曜日も振ってあって、今日は月曜日なので『酸っぱい木の実』と『甘い木の実』らしい。
「そうね。どうやってるか知らないけど、確実にココは安いわ。 どうやら箱から出して並べないで、ダンボールのまま陳列してたり、無駄を徹底的に省いたりしてるから安いとかテレビで話してたわね」
「テレビでも紹介してたんだ...」
「そうよ、それで私も知ったんだから。 ...あ、ちょうどバスが来る時間ね。どうせだから乗っちゃいましょ」
チラッと腕時計を確認すると、あと二分で最寄り駅行きのバスが来るらしく、しばらく待つ事にした。すると珍しく時間ピッタリにバスが来て二人は乗車する。中は通勤ラッシュの時間帯から外れている為に空いていた。
そうして、座ったと同時くらいにバスは最寄り駅に向けてゆっくりと発進するのであった...
ー後書きー
ティアです。コチラではお久しぶりですね。
ルテ「そうね。 結構ほったらかしてくれたじゃない?」
うっ! い、忙しかったのですから仕方が無いじゃない!!
それにね、コッチはペース遅いと書いてあるじゃない!
ルテ「そうだけど...待たされる気持ち、分からないの?」
ニア「あ、ティアさんは待つこと慣れてるから...」
な、慣れてるって...
ルテ「へぇー? ふふ、まあ良いわ。今回は許してあげる。けど、ディスペアも更新止まってるんだから、そっちも時を動かしてあげなさいよね」
わ、分かってますよ...けど、先にポケファンです。
今はお知らせ通りプロットの修正と書き足しを行ってるのでしばらく待って下さいね?
ではではー。
ばいばーい? <- ニア