第一章
同調
 私達は今、町外れの人目に付かない場所...つまり外に居る。理由は私のせい。何故ならルナさんをお姉ちゃんと重ねちゃって飛びついて、周りの視線の多さに...なにやっちゃってるんだろわたし......。
 取りあえずルナさんに何度も謝って、笑ったような照れたような素振りで許してくれたとは思うけど...ホントに申し訳ないことしちゃったなぁ...。

 ...でも、改めてルナさんを見てみると...やっぱりお姉ちゃんに凄い似てる。けど、本人は否定してるし、私のことを知らなかったみたいだし、違うのは分かった。
 ...けど...けど......種族が一緒なのはよくある事として、滅多に居ない色違いまで揃うなんて...偶然にも有り得なさすぎる。ホントに...お姉ちゃんだったりするのかな...何かの影響で記憶が無くなってるならあり得なくは無いし......か、考えすぎかな...。


「...ふう、やっと胸のどきどきが収まった......。ここまで全力で走ったのは久し振りすぎて、息が中々整わなかったわ...。 フォルちゃんは大丈夫?」
「は、はい。大丈夫です。 ...そう思えば、いつの間に私のことをちゃん付けで呼ぶようになったのですね...」
「...あ、なんかその方が呼びやすくて...つい...ね? 嫌ならさん付けするけと」
「いえ、大丈夫です。 なんか、ホントにお姉ちゃんが呼んでる感じがして...」
「...ホントに好きだったのね。そのお姉ちゃんの事」
「はい...あっ、いけない! そろそろギルドに戻らないと施錠時間になる!」
「と、とにかく早く戻らなきゃならないのね!? 行くわよフォルちゃん! 電光石火っ!!」
「え、はい! 電光石火っ!!」
 は、はやい!どんどん距離が開いていく...そう思えばお姉ちゃんも凄く足が速かったよね......やっぱりお姉ちゃんにそっくり...。本当はお姉ちゃんでした......なんて言うオチとか無いかな...だったら意地悪すぎだけど、やっぱり嬉しいかも...。

「...あっ、ちょっと待って閉めないで!!」
「うわっ!? キミはルナさん!? って、フォルちゃんも!?」
「ま...まにあったぁ......」
「...事情は知らないですけど、次からは気をつけて下さいよ?」
 門の前に立ち、今まさに閉めようとしていたスウを止め、私達は中へ滑り込んだ。もうちょっと気が付くのが遅かったら締め出されるところだった...。

「すみません。次は気を付けます」
「はい、気を付けます...。 あの、ところでスウさんは毎回どこに行っているのです? なんか毎回どこかに行ってる気がして」
「あー、詳しくは言えないけど、言えるのはギルドの運営に関わることかな? さて、そんな事は良いから速く中に入って、お風呂入るなら入っちゃえば?」
「あっ、はい。 では、失礼します」
 私達はお辞儀をして中へ入るために扉を開ける。入った瞬間、美味しそうな良い香りが鼻を通り、お腹が鳴った。この匂いは多分...クリームシチューかな?

「ん、なんか凄く美味しそうな匂いするわね。 ...うーん、クリームシチューかしら?」
「あ、私もそう思います。 この、優しいミルクの香り...クリームシチューしか思い付かないです」
「美味しいわよね。 ガッつきたいけど、猫舌だから出来ないのよね...。あっ、ところでお風呂入るの?」
「...あの、さっきの話聞いてましたよね?///」
「あっ、ダメなんだっけ? じゃあご飯後に入りましょ。一緒に」
「えっ!? う、うん...///」
 よ、予測はしてたけど...やっぱりそうなんだ.....。

「なーに照れてんのよ、可愛いわね」
「なっ!?/// からかわないで下さいよ!!///」
「ふふ、反応もいちいち可愛いわね。 弄りがいがありそっ」
「まっ、それは私も同感だったりするわけだけど」
「ってぇ!? リーフさんいつからそこに!!?///」
「照れて、顔を隠した辺りかしら? まっ、ともかく2人がもうこんなに打ち解けてるのを見て安心したわっ。どうやら見かけは間違ってなかったみたいね♪ あとルナちゃんは案外、私と合うところがあるかもしれないわねー」
「あ、合うとことは?」
「なにかしらねー? 今のところは秘密と言っておこうかしら?」
「は、はぁ...秘密ですか......」
「まっ、こんな立ち話はしてても意味ないし、お風呂行くわよ。 スッキリしてからご飯食べたいじゃない?」
 ...このルートは...拒否できない......。入らなきゃダメかな...スウさんにも言われたし...。
 どうか、どうか男の子が居ませんように...。



〜〜〜〜〜☆〜〜〜〜〜



 ...っで、なんだかんだ私は初めての食事前のお風呂、混浴の時間帯に入ることになった。そして、肝心なお風呂場に男の子が居なければという願いだけど、神様に届いたのかお風呂場には誰も居なかった。どうやらスウさんが早めに男の人は全員最初に入ってと言ってたらしく、その話は後日に他のチームメンバーから聞いた。
 つまり今はそんな事を知っている訳も無く、ルナさん、リーフさんと私を含めた3人だけ...気まずくてしょうがない...。

「おー、久し振りに貸し切り状態ね。 男の子達は毎回ご飯のギリギリまで使ってたりするのに、ホントに何があったのかしら?」
「そうなのですか?」
「あっ、そうよね。ルナちゃんには分からないか。 毎回と言って良いほど男の子達は何かしてるよのね。何をしてるか全く知らないけど、たまーに変な匂いするからたまったもんじゃないわよ。 だからお風呂は基本分けてるの。私みたいに気にしない人は食事前は混浴で、気にする人は食事後ちょっと経ってからの男子禁制がねっ」
「なるほど...。 あっ、そう言えば何ですけ...」
「.........」
 話しに入れない...いや、別に入らないで速く洗って、浴槽に浸かって、速く出れば良いのかな......。
 ...にしても、2人ともスタイルか凄く良い......うらやましい......。私なんかまだ幼児体型だし、胸もあるわけでもないし、身体が引き締まってるわけでもないし...。

「...そうそう! だからそれを...あら? そんなに私達の身体見て、どうしたの?」
「へっ!? いや...その、話に入るタイミングが分からなくて......」
「タイミングが分からないなら、言ってくれれば良かったのに。たまには語り合いましょうよ? 初めて会った日含めて三日くらいは私とずっと話して、一緒にお風呂入って、私と一緒に寝てたのに。しかもこの子、抱きついてきたのよ? 可愛かったわぁー」
「そ、そこまで言わなくて良いですからっ!!///」
「なるほど。フォルちゃんって案外寂しがり屋だったりするんですか?」
「ちょっとルナさんまで何聞いてるんですかっ!?/// しかも凄く楽しそうに!!/// もういいです2人嫌いでつめたっ!?」
 何も考えずに座って蛇口を捻ると、シャワーから出たのは水......いや、恥ずかしくて火照った身体を冷やすのには丁度良いけど...。
 ...って、よく見たら調整中って書いてあるし...はぁ......。

「...これ、張り紙小さいし濡れて文字読みにくいけど、調整中って書いてあったのね。あとでやっとくわ。 さて...さっさと身体洗って、湯船に浸かって、しっかり疲労を癒して、ご飯食べて、今日は寝ますかー」
「あ、その事なんですが...私の寝るところって...」
「ん、なら貴方も私の家ね。実はフォルちゃんには私の家の空き部屋を使わせてるのよ。因みにココのギルド、人が増えることを想定していない古い建て方だから増築とか出来ないのよね。 っと言うことで、2人で一緒に寝て? それともフォルちゃんがまた私のとこ来る?」
「えっ!!?/// ...じゃ、じゃあ...ルナさんと...で......宜しくお願い致します...///」
「なーに照れてんのよ。言いに決まってるじゃい。 あ、リーフさんお世話になります」
「ええ。 ...ふふ、今日は楽しい夜になりそうねっ♪」
 なんか...リーフさんが凄く嬉しそう......。
 そして私はルナさんと...色々と大丈夫かな...?なんか明日の朝寝ぼけていつもやってたことやっちゃいそうで怖い...。

 ...いや、寝ぼけてて覚えてないってしちゃえば問題ないかも?



〜〜〜〜〜▽後書き▽〜〜〜〜〜

 ティアです。この小説を読んで下さってありがとうございます。

 さて、今回はちょっと質問があって後書きを設けたわけですが...ぶっちゃけ日常編ってあんまり要らなかったりします?
 この『幻覚』を執筆してて思ったのですが、リーフの家でのシーンはホントに居るのか、まず前提にお風呂のシーンを描かないで、言葉だけのシーンが必要だったのかと思っちゃってですね(
 それに、チーム結成をしてダンジョン突入させれば良かったのに、なんで夕方にしちゃったのかなとか、自分で自分に突っ込みたいこと振り返れば...ね(


 なので、この先こんな日常編が必要か必要無いか突っ込んでくれると嬉しいです。現在小説のストックは無いので、無駄にすることもないですし(

ティア ( 2015/10/15(木) 11:27 )