ポケモン不思議のダンジョン ディスペア - 第一章
代償
「ピカチュウさん...」
 ドアを壊すほどの勢いで開け放ったのは、私が謝罪したかった相手...ピカチュウさん。あの時よりゲッソリしてて、どこに目を当てて良いのか一瞬困ってしまった。

「あ、因みに名前はフォルよ。 ...さてと、私達は出た方が良いかしら?」
「いえ、私はこのままでも大丈夫ですが...フォルさんは...」
「...私も、大丈夫......」
 ...声が...弱々しい......ここまでなるということは、相当怖かったのね...。
 ...いけない、何かしゃべらなきゃ......

「...あの」「あの...あっ...そ、そちらからどうぞ...」
「...えっと...こ、このたびは私のせいで周りと、フォルさんに迷惑を掛けて...御免なさい......」
「い、いえ...私こそ......救助しに行ったのに助けられるなんて......頼りなく、ごめんなさい......」
「いいえ...私がモンスターハウスなんか迷い込んで逃げなければ、フォルさんの被害を抑えられたので...全ては私の問題......フォルさんは何もわ...」
 悪くない。そう言おうとした時にココの親方、リーフさんが制止した。私もフォルさんも疑問符を浮かべながらリーフさんを見ると...

「はぁ...お互い罪ありって事ね。じゃあ私に提案がある。 ...ルナさん、それにフォルちゃん、貴方たち二人でパーティーを組みなさい。そして色々なところに出向き、旅し、依頼をこなし、お互いを高め合いなさい。確かにあなた達は失うことの怖さ、失敗という恐怖に年齢的にも慣れていない。 そしていつか、リベンジしなさい。今度はパーティーとして、そしてお互いを分かち合うパートナーとして」
「な、何を言い出すと思ったら、リーフさん本気ですか!?」
「ええ、本気よスウ。 それに、自分しか守る気が無いなら今の発言通り、フォルちゃんを置いて逃げるっていうことになる。けど、そんな事せずに《鈍痛薬》と、高価な《怪力薬》までも使ってまでも敵を倒し、守った...。 ねえ、ルナさんもしかして察したんじゃない?この子は守らないといけないって、本能的に。違う?」
「...さ、流石は《記憶黙読者》ですね...。 貴方の能力、忘れていました...」
「あら、知ってたのね。 以外だわ」
 記憶黙読者...人が思ったこと、感じたことを、過去の記憶を読む能力......。噂では聞いてたけど、本当に読めるなんて...。

「まっ、ともかくその反応はそう思ったわけでしょ? 守らなきゃと」
「え、ええ。 私自身よく分からない感覚で、無くしてはダメ...そんな感じがしたんです」
「なら、決まりね。 さて、後はフォルちゃん次第。自分の力不足で、経験不足でこうなったというならばこの用件を飲むべきよ。二度と辛い思いをしない為にも」
「っ...ホントに、もう辛い思いはしない?」
「今回みたいな思いはしない。 だってパーティーを組む、仲間になるって事は辛さを分かち合い、楽しいことは更に楽しくすることが出来るのだから。 それに、貴方はこの事よりもっと辛いのを乗り切り、私に全部吐き出してくれたでしょう?」

 リーフさんはフォルさんを抱きしめながら、そう問いかけた。...なんだか、リーフさんがお母さんのように見えてきた。

「...私、組みます。ルナさんと共に、誰も傷付けないようにする為に!」
「それで良いのね? ルナさんも改めて、良い?この子を、頼んでも」
「...はい。私で良ければ」
「決定ね。 さてと、コノハちゃんだっけ。貴方はどうする?」
「わ、わたし...ですか?」
「フォルちゃんとルナちゃんは動けることは分かった。けど、私は貴方が何が出来るか、どんな人なのかを知らない。 何も分からない人をホイホイどうぞとは言えないわ。それとも、何か証明するかして貰うか?」
「...わたしは、入らない。普通の生活がしたいし、おばあちゃんの介護もあるから」
「分かったわ。 さて、まずルナちゃんはゆっくり休んで身体を回復させなさい。フォルちゃんは...その姿をどうにかしなくちゃならないわね。お風呂とご飯をしっかり取って、ぐっすり寝なさい」
「はい。 ...なんか、急にお腹空いてきちゃった......」

 ぐーっと、今の身体の様子からは反するような大きな音がフォルさんのお腹から聞こえて、ちょっとクスッと笑ってしまった。
 でも、笑われてる本人は何があったか分からなくてキョロキョロしていて、周りから指摘されてやっと気が付いてから恥ずかしがった。
 フォルさん...案外天然っ子なのかしら?



 そして、なんだかんだで三日流れ、私の怪我は完治。走り回って技を放てるほど回復した。
 どうやら回復を妨げていたのは私が使った薬。確かに強心剤と鈍痛薬は入ってる。けど、それ以外にも一つ、強力なのを混ぜていた。使い方によっては死を呼ぶ危険な薬草...でも、それは今は話すべきじゃない。

 この、現時点では...

ティア ( 2015/10/08(木) 10:20 )