ポケットモンスターズファンタジー 彼女の願いと一つの宝石











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Chapter 04
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Side フィリア


 ...良し、今日は待ちに待ったお隣の地方までの出張...上手くアピールが出来ればラスカへ正式に販売と運用が出来る様になる筈。シルクとウォルタ君が出版した本と、コッチのギルド協会とラスカのギルド連盟が提携を組み始めてる今がチャンス。今までは噂と知名度でラスカ地方にギアが流れてたけど、知らない人は知らないし、最近は偽物を横流しする馬鹿野郎も居るから、早く手を打ちたかったから良かったわ!
 おっとと、喜びに浸る前に用意を早く終わらせなきゃ。ほんとに、昔はリファルに対してギリギリに用意するなって言ってたのに、今となってはアタシがギリギリになってやってるなんて.........はぁ、一体、貴方は何処に居るのよ...。貴方が居なくなって既に三年は経とうとしてる。あの戦いでリファルは死んだ、そう思うのが普通だと思うけれど、やっぱり私は未だに信じられない。ひょんなことから出てくるんじゃないかって、思ってみたりもしてた。だけど、流石にそろそろ諦め時なのかしらね...それに今のアタシはZギアの開発副責任者であり、その良さを広める為に自主広報活動もしてる。
 その自主広報活動が実った結果が、今日のラスカ地方のギルド連盟へのアピール。そして叶った場合は電波塔とそれを維持する為のクリーン発電機や設備まで運び込む事になる。

「えーと、行く為の海上バスは...あったあった。チケット売り場は...あそこね」

 ポートタウンの船着き場に到着し、大きな看板でお目当ての船がある場所を探す。そして困らず目的の船を見つけて、近くのチケット売り場へ私は移動して最後尾に並ぶ。にしても最近になってポートタウンもだいぶ発展してきた。多分は船着き場がこの場所しか無い事が最大要因で、他の町で船着き場作成計画が急ピッチで進められているのだとか。
 それに先立って電波塔の増強もしなきゃならないし、現状でルデラに来ても、値段からZギアじゃなくて初期型のPギアを買う状況。しかもラスカではフル機能を使えない後けれど、今日のアピールが上手く行けば解決が出来ることになる。ルデラに関してはギアは支給しているから装備率が100%だけれど、ルデラに関して現状購入しているのは富裕層か、ランクが高い救助隊や探検隊が主で、主普及率はやっと2%に。コレでもあの一件で増えた方で、それが起きる前は普及率は1%も満たなかったし、見向きもされなかった。っで、何だかんだ月日が流れて、高い救助隊や探検隊が使い勝手を後輩の救助隊や探検隊にしてくれたお陰で2%まで普及率が上がった訳で...

『次の方、どうぞ』
「...あっ、はい。えーと、ラスカ諸島で水の大陸、アクトアタウン行きのチケットを頼むわ」
『はい、畏まりました。では800ポケになります』
「800ポケね。...意外とするのね」
『では確かに、頂きました。コチラが行き先のチケットとなります。乗車時にスタッフがチケットを拝見致しますので、スムーズなご案内の為に、チケットは仕舞わずで願い致します。では、素敵な船のお旅を』
「ええ、ありがと。さてと、行きますか」

 チケットを受け取り、地図で確認していた船の場所へと向かう。そこには大体は30人は乗れる少々大型の船が停泊していて、既に何人かは搭乗して出港を待っていた。大きいと言っても、身体が超大型とされる種族は基本テリトリーのボスとして居る為、公共の移動手段を使うことは無いし、人前にもあまりでない。それで確か、大型が龍型族や身体横幅が2メートル未満を例外もあるけど分類してた筈...だけど、そこのところは良く分からない。成長の過程で進化するのはしょうがないけれども、身体が大きくなるとそこの分類が変わってお金が掛かるのが面倒なところよ全く。

『お客様、チケットを拝見致します』
「はい」
『...確認しました。では出発まで船舶にてお待ちお願い致します』
「分かったわ。さて...何処かテーブルでも見つけて、スケジュールの確認と物の確認ね」

 手持ちしている小型のキャリーバックを身体の真横で引きながら、私は座れそうな場所か、そこそこ人目に付きにくいテーブルなどを探す。っと言ってもこの船はそんなに大きいわけじゃないし、多分無いとは思うけど...

「んー...やっぱり無さそうね。そうしてら何処か端っこで...ん、着信...リーフからだわ。 ...私よ、どうしたのよ?」
『あー、えっと、おはよう御座います。ちょっと申請したい事があって...』
「申請? あのさ、もしかして忘れてると思うけれど、今日はラスカに用事があるって言ってあった筈よね? まあ聞くけど、何?」
『用事...あっ!? ご、ごめんなさい忘れてました!』
「別に良いって。それで、申請って何? 事によっては直ぐにやらないと、水上バスが出て通話が出来なくなるわ」
『じゃ、じゃあ単刀直入に言いますと...ライトさんが在宅で仕事をしたいと』
「在宅で? あー、本人じゃなくてリーフに言わせるなら面倒な理由があるのね。後で本人に直接聞くとして、分かったわ。関係者に連絡を入れて置くけど、リーフは行くのよね?」
『はい、私は行きます』
「なら良いわ。あー、参考までに在宅勤務の理由を知ってれば聞いていい?」
『え、えっとぉ.........』
「...了解、帰ったら締めるって伝えといて頂戴。あっ、そろそろ出るから切るわよ。それと、プレゼンの結果が良くて許可を得られたのなら、多分テストで信号を飛ばすかもしれないから、その時になったら接続だけ頼むわ。やり方は覚えてるわよね?」
『はい、しっかりと覚えてますので問題無いです。そ、それとフィリアさん』
「...なに、まだ何かあるの?」
『い、いえ...その...今日のプレゼン、頑張って下さい。こちらで応援してますので...///』
「...ふふ、ありがと。ええ、頑張るわ。それじゃ、良い知らせを待ってて頂戴!」
『はい!』
「.........ふう、頑張って...か。そうね、頑張らなきゃ」

 出張を忘れられていたけど、頑張っての一言には励まされる言葉は無い。それに声だけじゃなくて、モニター越しで照れながら言われると、コチラとしても何だか照れる。それに少し誰かと話したかった気持ちも何処かにあったから、それも含めて良かったと思える。
 さて、取り敢えずあの研究オタクの件を片付けなきゃ。えーと、責任者の電話番号は.........

ーーーーー
Side フィリア


 だいたいルデラ諸島を出てからニ時間程の船旅。行く前にちょっと面倒な事があったけれど、キャリーバッグの中身確認と原稿、スケジュール確認は全く問題なく終わらせる事が出来た。遠くに薄っすらと見えるラスカ諸島、五つからなる大陸この諸島は、草の大陸、霧の大陸、風の大陸、砂の大陸、そして船の行き先である水の大陸。その首都と言えるアクトアタウンが今回の目的地で、首都と言ってもルデラ諸島のナルトシティのように近代発展化してる訳でもなく、言うならばポートタウンをもうちょっと発展させた交易都市と言ったところ。
 それにラスカ諸島は他の諸島と比べると自然豊かで、その分ダンジョンの数が多く、それ故に救助隊や探検隊の活動がかなり活発なのが特徴。それと昔に"終焉の戦"とか言われる影響で、文明や科学が復興するのに最も時間が掛かったともある。だから機械化や情報化があまり進んでいなくて、文通や人力での作業が主。町の名前もビレッジ、タウンのみで、シティは現在存在しなくて、ぶっちゃけルデラ諸島が発展し過ぎてると言えるかも。

『...大変長らくお待たせしました。暫くしますとこの高速水上バスは目的地のアクトアタウンに到着致します。荷物忘れなどが御座いませんよう、身の回りの持ち物を確認をお願い致します』

 ...これって高速水上バスだったのね...そりゃ高く取られるわ。にしても高速バスなんか使う予定が無かったから、早く到着しすぎるわね...まあ、その辺は観光でもして時間を潰そうかしら。流石に何か見たり、カフェくらいあるでしょ...って、あれ?
 あそこに居る人って、まさか...いや、だとしたら言ってくるだろうし、で、でもあそこまで似てるなんて事は...。いや、一応で声を掛けてみますか。違ったら謝れば良いだけだし。
 そう思いながら、私は荷物を持ちながらゆっくりとその人物に近づく。近づけば近づくほどあの人にそっくりだけれど、違和感も込み上げてくるのは何故...。そうこうしているうちに、私はその人物のところまで歩を進め、少し間を開けてから呼びかけた。

「あ、あのー...」
「...ん? 僕に何か用でもあるん?」
「へっ? あ...ごめんなさい。どうやら人違いだったようで...」
「人違い? もしかして、その人も僕と似とる服装と種族やったりする?」
「は、はい。あれ、知ってるの?」
「知っとるというか、知られたというか...まあ、何とも微妙な感じやな。因みに僕の名前はリアン」
「アタシはフィリアよ。にしてもイーブイの種族はあんまり出会わないと思ってたけれど、やっぱりイーブイ族は同じイーブイ僕を呼び寄せる力でも持ってるのかしらね」
「んー、科学的な根拠はあらへんけど、そんな感じはするよ。ところで君は...なんだか、なんだか旅人って感じはせんへんな。それを言ったら僕もやけど」
「えっ、なんで分かったのよ」
「理由は付けてるZギアと、その眼鏡で仕事人オーラがあったからやで。あとはこの時間に高速水上バスを使ってるあたり...やね」
「は、はぁ...あとは、エスパータイプの感ってやつよね? それで、貴方はまるで科学者みたいな服装だけど、出先でも着てるのそれ」
「んー、僕のトレードマークみたいなもんやからね。逆に着ないと気が入らないんや」
「なるほど。普段着であり、仕事着でもあるって事ね」
「やね」

 リアンさんを上から下を見て、率直な感想を私は述べた。確かにリアンさんはその服装が凄くしっくりしている。多分理由はシルクを見ているから...よね。
 そう思えばシルクも科学者でもあるって言ってたけど、何かすごい偶然ね。同じ種族が同じ職に付いて働いている。それもあんまり居ないといえるイーブイ族で。

『...あと十分程で目的地に到着へ致します。引き続きのご利用は出来ない事と、この船は他の諸島への高速バスになる為、お忘れ物は十分にお気をつけ下さい』
「お、あとちょっとで到着やな。そうだ、フィリアさんだっけ...ちょいと時間ある? ココで会ったのも何かの縁だし、何処かカフェで話さん?」
「...ナンパはお断りよ」
「ちゃうで。会議まで純粋に暇なんよ」
「会議? ...それって三時間後のギルド連盟の?」
「えっ? ま、まさか...君がルデラ諸島から来るZギアの副CEOさん?」
「えっ? ま、まさか...あなた出席者?」

 ...へえ、こんな事もあるのね。まあ、だとしたら信用は出来るわね。この人の誘いに乗って時間を潰そうかしらね。たぶん、色々と物知りそうだから会話は弾むと思うし?


ティア ( 2017/12/21(木) 20:29 )