証明
Side ライト
「...っという訳だから...って、聞いてる?」
「は、はい聞いてます。つまりは今日一日、この人が本当にアーシアさんなのか見極めるって事で良いのですよね?」
「そういう事だよリーフ。いや、今はソープか。確か名前を変えた理由って同種族で同名だったから変えたんだよね? けど、そんな事を言ったら僕なんて良くありそうな名前だけど」
「え、リーフさん名前を変えてたのですか? けど、ウォッズで会った時はリーフって...」
「その時には名前は変えてたのですけど、やっぱりリーフで呼ばれる方が慣れてるので、身内の間はリーフにしてあるんです。ウォッズの名簿は既にソープに変えてますけど、リーフって呼ばれてますね」
「成る程です...ですが、中には混乱をする方がいらっしゃるのでは?」
「確かに混乱する人は居るね。だけど僕らの部署に来るのは殆どレアケースだから仕方ないけどね。さて、お粗末さまでしたっと」
「ご馳走様でした」
「ライトさんご馳走様です。ふぅ...久しぶりにしっかりした物を食べれて、何だか生き返った気分です」
「...えーと、捕まってた時は何を食べてたの? ...あ、ご、ごめん! 思い出したくないなら良いよ!?」
余韻に浸るアーシアの顔を見て、僕はポロッと聞いてしまう。すぐに僕は謝って、少し焦りながら考えさせる事を否定する。けれど、アーシアは逆に驚いたような顔をしながら、問題ありませんよと言いたげに口を開いた。
「...えーと、一言で言えば残飯ですね。その中でも比較的問題なかったパンや、最終的には水だけでどうにかしてました。たまに...その、ちょっとした事をして頂いていたのもありますが」
「そ、そっか...。その、聞いてごめんね?」
「いえいえ、もう過ぎた事ですから。後は色んな意味で知識を叩き込まれたので。人を用意に安心するな、優しさの裏には影がある...と。一番それを思い知らされたのは捕らわれた場所より、スラム町ですが」
「ス、スラム町って...ま、まさか治安が最悪で、犯罪などが耐え絶えないあの場所じゃないよね? 確かあそこはナルトシティの発展に追い付けなくて隔離され、環境劣悪な場所って聞いてるけど...」
「私も聞いた事があります。ですがその場所に居たって事は...か、身体の方は大丈夫...でした?」
リーフの一言にアーシアの顔が一瞬だけ暗くなったを、僕は見逃さなかった。その後にすぐに何時もの顔に戻ったけれど、まだ顔が暗い。ともかく、この事に触れていない事は容易に理解が出来て、リーフもそれを感じ取ったのか、それ以上の追及もしなかったのが幸い。もし踏み込んで聞いて、今の顔が嘘じゃなくて本当の場合なら、状況を思い出してヒステリックを起こす可能性だってある。
けれど、逆にその傾向が見られれば本人だと言う事の証明が出来たかもしれない。なんだかんだ僕達は目の前に居る人物を完全にアーシアだと証明が出来るピースが無い。だからこうして、今日一日は監視目的で一日を共にするのだから。まぁ、でも...
「...えーと、今の質問は無し。リーフ、片付けを手伝ってもらっても良い? いや、手伝って」
「へっ? あ、はい、分かりました。 ライトさん、その...無理やりみたいな感じで一人にしてもいいのですか?」
「...あのさ、自分もその事が浮かんだけど聞いちゃ駄目だって。しかも濁して聞いたのに、ダイレクトで聞くなんて...」
「ご、ごめんなさい...」
「まあ、お陰でそこに居た事は確定しても良いかもね」
少々乱暴に食器を片付けながら、リーフの意見無しに片付けを手伝わせ、先程いた今から離れてから僕はキッチンに向かう廊下でリーフに溜息混じりに言う。その言葉に事を理解したリーフは少々目を逸らしながら謝っててきた。まあ、謝る相手が違うわけだし、聞いてくれたことによって、自分が言った通りスラム町に居た事は確定だと思う。
「まあ、問題は調べる方法だけど...あ、ごめん。そこの洗剤を取ってくれる?」
「コレですね」
「うん、ありがと。ねぇリーフ、スラム町ってネットワーク、主にカメラとかあるっけ?」
「えーと...調べないと流石に分からないです。ですが元々あの町もナルトシティの一部として、地下鉄も同様な高度ネットワークとライフラインは引く予定とルートプロジェクトに記載されていたので、途中までなら...もしかしたら」
「まぁ引かれてるとしたら、今は壁までだよね...しかも簡単に調べると旧ロジックだから突破するの面倒なんだよね」
「でも、普通に考えるなら...今のロジックと旧ロジックをトランスする為のインターフェイスがあると思うのですが」
「奇遇だね、僕も全く同じ事を考えてたよ。じゃあ出社次第色々調べて...あ、そうだった。あの娘どうしよう...」
「あー...確かに。そうしましたら...今日はコチラで仕事をすると申請を取らないといけませんね。フィリアさん...で、問題ないですか?」
「だね、もし文句がありそうなら僕に全て回してくれて良いよ。まあ、あるだろうけどね.........さて、洗い物は終わりっと。じゃあ僕はあの娘を監視しとくから頼んでも良い?」
「了解しました。 .........フィリアさん?」
さて、僕は戻ろう。さてあの娘は...あれ、寝てる。そう思えばアーシアは食べてからお昼寝するのが好きって言ってたな...それにしても嘘じゃなくて、本当に寝てるのかなコレ。寝てるなら身体を調べるには手っ取り早いんだけど...見た目は闇に飲まれし者だけど、一応は自我がある女の子だしなぁ.........うん、やめておこう。触らない代わりに体外からのスキャンくらいは良いよね。
僕はギアの対象物スキャンを起動して、アーシアと思わしき人物に当てる。一番はコレで本人なのかを判別が出来れば良いけれど、そんな機能なんか付けてない。スキャンで調査が出来るのは、例えば暗闇に光を当てて輪郭を確認する事と変わりない、断片的な情報と闇に飲まれているか飲まれていないかの判別だけ。欲しいのは前者の断片的な情報の中にアーシアに関連する事を抜き出せるかって、スキャン終わってた。
さて、何か情報は...ん?
コ、コレは.........