取り戻す為
Side ミウ
「...つまり、それを見つけてくれば良いのですね?」
『ああ。見つけるのに困難を極めるが...希望があるとしたらソレを使う事だ』
「で、ですが"創造"様...そのような物が本当に存在するのでしょうか? もし本当に存在するなら世界の、理が...」
『だから最初に言ったであろう。我が作り出した以外の世界の、更に私を生み出したであろう神が作ったものではないかと。で無ければ、我らがゲームとして存在し、仮想生物とされている世界が存在している事の説明が付かぬ。それか、その者達によって作られたのが、我達が生きている世界なのかもしれんな』
「ま、まさか...つまり私達はデータで、感情を植え付けられた者と...」
「えっと、ウィアさん。ウィアさんが言うと...なんと言うか、複雑な感じなのだけど.........」
「...あっ」
...まあ、うん。その身体に慣れてくれた証拠として受け取ろうかな。それよりも、全く笑わない"創造"様がさり気なく笑ってる...?
『ははっ、少しだけ漫才の様なやり取りに笑わせてもらったぞ。取り敢えずだ、それを探し出してくれれ...いや、既に持っていればすぐにでも私が気が付き、マコトをこちらに引っ張り込むだろう。だから、本当はこんな事をしてはいけないのだが...二人には時間を遡ってもらう。それもかなり危険な方法だ』
「き、危険な方法...?」
「まさか、あの方法を? ですがあれは...」
『ミュウが言いたい理由は分かる。だが、どちらにせよやらなきゃマコトは救えないだろう。いいか、遡った場合はお前達二人以外に接触を極力避ける事。セレビィーの時渡りと違う事は、その時間には自分も居る事だ。そして、もしその時間の自分と接触した場合...双方が消滅する事になる。それも、元から居なかった者としてな...』
「しょ、消滅...。ですが"創造"様、私は消えても良いとしましてもミウさんは...」
『ウィア、私は良い等と言うな。お主も立派な住人だ。それとこの件に関して、私は二人なら任せられるから言ったのだ。状況判断力が高く、何事にも冷静に判断可能なウィア。特性を活かして、様々な種族に変身して応対可能なミュウ。二人の良いところを見込んで、改めてお願いしたいのだ』
「そ、"創造"様!? 頭をお上げ下さい!!」
『お願いする者として、しかも危険な事に送るのだからこのくらいはさせてくれ。それよりも、やってくれるか? 約半年程は遡ってもらう事になるが...』
「はい、私もです。見つけて、マコト君を助けたいから...」
「私は構いません!」
ウィアさんの後に続いて、私も声を上げた。半年間という期間に、少し驚きと引っ掛かりを感じたけれど、そこは頭から流した。多分考えても思い出せないと思うから。
『よし、二人とも本当にすまない。じゃあ早速に飛ばすが...大丈夫か?』
「行けます」
「私も行けます"創造"様!」
『では...おっと、どんな物なのかを説明していなかったな。予測となるが、多分は何かしらの光石かと思われる。それとアーシアかホノンに関してだが、活動の記憶を消すならば協力者として連れても問題ない筈だ。間違い無く強力な力となってくれるだろう。では改めて、行くぞ.........』
そう言うと、"創造"様を囲うようなプレートが私とウィアさんを中心となって、まるで球体に沿うように回り始めた。そのプレート全てが、似ている色はあるけれども全部違う色で明暗を繰り返し、どんどんと加速をしていく。
それを静かに見ていると、私とウィアさんの身体がふわっと浮かび上がって"創造"様と同じ目線に。改めて思う身体の大きさに驚いていると、ゆっくりと手を握る感覚に少し身体が更にビクッとなった。握られた感覚がした方に顔を向けると、そこには不安な顔をしたウィアさんの顔があった。半年前に飛ぶ事、マコトさんの命が掛かっている事、そもそもに光石を見つけられるかと言う色々な不安が渦巻いているのは一目瞭然だった。
でもそれは私も同じ事。もし見つけられなかったらどうしよう。うっかり過去の自分と接触したらどうしよう...色々あるし、私だって怖い。だから、わたしは...
「ウィアさん、私達なら大丈夫。もしかしたら私も、今のウィアさんのように不安に押しつぶされそうになっちゃうかもだけど、頑張ろっ? だから...改めてよろしくね、ウィアちゃん!」
「...はいっ///」
私の言葉に少し照れながらも、最後はお互いに笑顔なれた。それを見てた"創造"様もあまり見せない笑顔を見せてくれた数秒後、私達の意識は静かにゆっくりと飛んで行った.........