行動開始
Side ホノン
「...っという事なの。みんな、何か良い案って無い?」
スイレンちゃんが回復した次の日、私はギルドに戻ってマコト君の現状話を持ち帰った。参加してくれたのは親方と最近に副親方になったリファルさんは勿論、戻ってきてるチーム全員が集まってくれた。そして集まってる場所は吹き抜けの談話室で、私を見るようにUの字にソファーが並べられて、私を挟むように親方と、リファルさんが座っていた。
「そう聞かれても、マコトって言う奴は凄く遠い場所に居るんだろ? しかも神でも確率が低いって来ちゃなぁ...」
「ホノンちゃん。私としても、ギルドとしてもどうにかしたいとは思ってるけど、今回は内容が内容だから、出来る事はかなり限られる。アーシアちゃんに関しては行動は出来ると思うけど」
「...うん、分かってる。分かってるけど...」
ーーーーー
『...ぐすっ、ぐすっ...アーちゃん...マコト.........』
『...スイレンちゃん?』
『ホ、ホノンちゃん...ぐすっ。ま、まだ寝てなかったぐすっ、の?』
『私も気になって寝れなくて...隣り、良い?』
『うん...』
私は自分の布団から出て、グシャグシャになって放り出された布団を回収してから背中合わせで隣に寝っ転がった。時々に、泣いてるから身体がビクッとしてるのが良くわかるし、声もなんだか篭ってる。
それにしても、横に来たは良いけどコノ後はどうしよう。思い付きで横に来ちゃったから何にも考えてない...
『.........ホノンちゃぐすっ、ありがとナノ。いろいろと気遣ってくれて』
『う、うん。スイレンちゃんが悲し苦しそうだったから。何か励ませられるかなと思ったけど、それらしい事できないや...』
『ううん、出来てるよ。今もこうして、近くに居てくれる。それだけでも嬉しい事だもん。アタシは一人じゃないんだって、気が付かせてくれるから。それにね、なんだかホノンちゃんと居ると、アーちゃんと一緒に居るみたいで落ち着けるの』
『アーシアさんと? だけど種族も違うし...』
『よく分からないけど、何故か重ねちゃうところがある。困ってる人を見つけたら、考えより行動が出ちゃうところとぐすっ...ところとかねっ?』
『んっ。ふふっ、そう言っても泣きたい気持ちが抑えられてないのは知ってるよ。それに泣いてもいいんだよ、アーシアちゃんは"想いの力"でこの世界に留まった。私やスイレンちゃんが二人に会いたいって、強く願えば...ぐすっ、おかしいなぁ...私まで涙が...』
背中に違う感覚が当たって、振り返るとそこにはスイレンちゃんの顔があった。だけど泣きそうな顔で、目は潤んで、目尻の涙は零れ落ちそうだった。それを見てたら、私まで...励ます人が泣いてどうするのと思ったけど、不思議と止められそうに無かった。
『ほんと、貰い泣きするとこまでアーちゃぐすっ、そっくりナノ...。 あのね、こんな事を言うのは変だけど...アタシを強く抱きしめて。そうじゃないとアタシ...ぐすっ、アタシが耐えられそうに無いから...』
『...良いよ、私の胸を使って。気が済むまで泣いても構わないから...』
『ありがぐすっ...と。 うぅ、うぅぁぁぁぁん.........』
ーーーーー
「.........つまりだ、一番のベストは二人を連れ帰る事には全員意義は無いな? それと、今の俺達が出来る事...それはアーシアだ。まさか本当に帰ってなかったとは改めて思ってなかったが、仮にも誘拐されていた場合は早く見つけ出さんとまずい。そろそろ一週間は超えてくるとなると、俺の情報上は過酷な環境や変化に押し込まれると、どんな事でも受け入れようとする。一言で言うなら現実逃避だ」
『師匠...じゃ無かった、つまりリファルさんは先に動けるアーシアさんを助けると言う事ですね?』
「ああそうだ。二人共が助かりませんでしたは何としてても避けたい。それとししょーで呼んでもいいのだぞルア」
『あ、いや...副親方になったから、師匠のままじゃなんか違うのかなって思いまして...』
「そんなので怒りなどしないぞ。まあともかくだ、俺の考えとしてはそんなところだが...ホノン、最後にお前が判断するんだ」
「わたし...が?」
「そうだ、お前の意見に俺らは付いていく。こんなことが起きてるだ。俺も身元を公開し、他ギルドと連携出来るようにセネルと共に連絡を取る」
「ええ。リファルがそう言わなくても、連携するつもりだし、出来る事は何でもするわ。このギルドは申請直後でナルトギルドと見ると圧倒的に依頼が少ない。だからこそ色々と動き回れるんだから、これを使わない手はないわ」
『アーシアさんやマコトさん、何より導かれし者達が来てくれたおかげで、僕達はこうして生きてられてる。僕達はその恩返しをしたいってずっと思ってたんだ!!』
『アタイだってそうだ! ホノンのお陰でココに居られてるんだ。ホノンと会えなきゃ、ずっとアタシはお尋ね者。恩返しをしたかったし、ホノンが助けたい人が居るなら、全力で支援する覚悟がある! だよねアンタ達!』
『『『おーっ!!!』』』
「みんな...ありがと。本当にありがとっ!! ...私から言う事は一つ。出来るならば二人共助けたいけど、今はアーシアちゃんを最優先で見つける事。そしてマコト君も助ける方法を見つけたなら助ける! みんな、それで良い?」
「ええ、異論無しよ! なら早速に居なくなった現場に向かう組と、情報収集組に分かれて。私は各所に連絡を入れるから、リファルは現場で指揮を頼むわ」
「いや、俺も連絡を...」
「今回は折れてちょうだい。もし現場で何かあった時にリファルのような人が居ないと、私が不安で何も出来ないわ。だから、頼りにしてるし頼んだわ」
「...分かった、そうしよう。じゃあホノンのチーム、それとカルダリウスの二人は現地検証。その他の三チームは情報収集にあたってくれ。もし何かあれば連絡を飛ばしてくれ。みんな...頼んだぞ」