ポケットモンスターズファンタジー 彼女の願いと一つの宝石
Chapter 04±01
Unknown05A
Side フラン


 ...とうとうこの時が来た。ちょっと怖いけれど、今までみたいな怖さは無い。だって今なら、皆んなが居るから。私は頑張って戦って、強くなって、心も強くなって、そんな姿を何処かで見てるお母さんとお父さんに見せるんだ。

「...フランちゃん? 行くわよ?」
「ん」

 いつの間に少し置いて行かれてて、私はユキメノコに変身したミウ呼ばれて駆け寄った。どうやらミウはユキメノコの姿に変身して居る事が多いみたい。自分でも何故なのか良く分かってないけど、一番しっくりしたのがユキメノコだったみたい。
 それにしても...今日はアーシアがあんまり話さない。朝が早いって事もあるかもしれないけど、一番の問題は昨日のお風呂での事...だからかな、私に顔を合わせようとして来ない。それに何だか話しにくい...話さなきゃってのは分かってる。分かってるけど...

「.........なので、最初はアイテム温存となるべく戦わないようにして五層まで到達。そこから先は行けるならば切り抜けて、不可能なら無理をしない程度の討伐。後の事があるので、なるべく温存をお願いします」
「分かったわ。特に私は周りに目を光らせなきゃね」
「...ん、分かった」
「.........はぁ、アーシア。朝からなんだか様子が変よ? それをダンジョン内でやられたら困るんだど?」
「...へっ!? あっ...ご、ごめんなさい...。なんだか不安で落ち着かなくて...」
「確かに、不安なのは分かります。私だって最初は不安でした。けれど今なら四人も居る。それにアーシアさんが危なくなっても、私かミウちゃん、フランちゃんが居る。しかも初突入時は私達二人だけだったんですよ? そして今、先潜入した時のデータがあるので、更に安全に進む事ができる。序盤は...ですが」
「.........そう、ですね。ごめんなさい。もう大丈夫。行きましょう、ダンジョンへ」

 ...不安もあるかもしれないけど...コレは今言うべきなのかな。多分アーシアは昨日の事を考えてると思う。考えてないなら良いけど...やっぱりそんな気がする。でもこの場で言うのも、せっかくの強くなる機会を逃しそうで...むむむ。

「あっ、言い忘れが一つありました。ギアにちょっとした調整を行っておきました。行った調整は、スキャンにて罠や時空亀裂を探知可能にしました。突貫でやったので証明性は少し低いですが...無いよりはマシかと」
「なるほどです。けど今までも罠は少しだけ探知できてた筈では?」
「はい、出来てました。ですがこの神殿、ダンジョンは探知されない罠も存在してます。少しだけだった、この件に関しましても改善したかと思います」
「流石はライトの妹でもあるわねー」
「いもっ...た、確かにライトさんの情報を引き継ぎなので、否定は出来ないかも。っというより、そうしようと言ったのはミウちゃんじゃないですかっ!」
「でも、最終的には自分がそうしたいって言ってたわよねー?」
「ぐぬぬ...」
「喧嘩、良くない」
「うん? いや、喧嘩じゃないわよ?」
「確かに喧嘩ではないですね。言うならば、じゃれ合いみたいな?」
「む? ならいい」

 んー、なんか不思議な関係なのかな。何かを言い合える仲...なんだか憧れる。そう思えば、ウィアとミウって年が近いのかな?
 確かアーシアはお風呂の中で17才って言ってたけど、私と5才も違うんだよね。なんだかそんな気がしない。ウィアとミウもアーシアと同い年くらいに感じるし、何だかみんな大人って思う。私もそのくらいになれば、そう思われるのかな?

「...さて、そろそろ侵入と行きましょう。そうそう、開くときに突風が吹くので、少しだけ堪えてください。ではミウちゃん、この不可思議なバリアに触れてもらっても?」
「分かった。それじゃ.........くっ!?」
「なっ!? す、吸い込み!? みなさ...!!」

 一瞬何が起きたか分からなかった。ミウが何かに触れた途端、何かが割れた音がした後に吸い込まれた。踏ん張ろうとした時には身体は浮いてて、何も出来ずに遺跡に吸い込まれた。それから少しの間は意識あったけど、身体の力が抜けるような感じで目の前が暗くなった.........

ーーーーー
Side ???


 「.........うう...痛たた...。吹き出すと思ったら、まさか吸い込まれるとは...」

 痛む身体を擦りながら、私はゆっくりと立ち上がる。ココは...テヌラ神殿の内部で間違いは無いみたい。幸いにも気を失ってる時に敵が来なかったのが幸いしたかも。天候も異常気象でも無い。まさかの吸い込まれるアクシデントがあったものの、その他に無くても良か...あれ!?

「二人とも居ない!? フランちゃん起きて!」

 なんだか違和感を感じて周りを見てみれば、近くに居たのはフランちゃんだけ...他の姿が見当たらなかった。私は気絶してるフランちゃんを慌てて揺り起こそうとする。だけど中々に起きず、次第に焦りだけが増していく。この間にも敵が近付いているのではないか、それとも集まり始めてるのではないかと。

「...お願い、起きてフランちゃん! フランちゃん!!」

 未だに揺らし続けて、声を掛けるけれど一向に目を覚ます気配がない。明らかに不味い、もしこの状態で敵など来たら一貫の終わり。私が一人で守れきれるとは思えない.........いや、ココはダンジョンでも神殿。もしかしたら崩れた瓦礫に隠れるか、ダンジョンの敵のように寝たフリなら凌げるかもしれない。声を殺し、息を殺し、微動だにせず、フランちゃんが自然に起きるまで待つ...。呼びかけて呼び寄せるよりはマシかもしれない。そうと決まれば...

「(.........あれで良いかな)」

 辺りを見渡して、私は良さげな瓦礫の山を見つける。その後は周りの音を聞きながら、フランちゃんをおんぶしてその瓦礫に向かう。この時に何かに見られてたら終わり...とても生きた心地がしない。考えてみれば呼びかけで大声を出してる。聞かれたら絶対に来られる。戦闘してるだけでも呼び寄せる場合は普通にある...そんな事を思いながら、私は急ぎ足で瓦礫へと向かう。それから暫くして。

「(.........ふぅ、なんとか着いた。あとは...)」

 目的の瓦礫に来ると、少しだけ尻尾で床を掃いてからフランちゃんを寝かした。私もその後に硬い床に寝転がると、今更に気が付いたギアを起動する。だけど、私は画面を見て絶句する事となった.........。

ーーーーー
Side ???


「まさかこんな事になるとは思っても居なかったです...。二人とも、無事だと良いですが.........」
「...一番の不安はフランちゃん。力が無くなってなきゃ良いけど、割とヤバイかもしれない。前にも話したかも知れないけど、遠かったり、何かしらで強制的に離れられると範疇を超えちゃう。今まさに、その範疇を超えてる...だから、フランちゃんの事も感じられてない」
「それって、かなりマズイのでは!? 二人の戦闘経験は浅いんですよ!?」
「そんなの分かってるわよ! ...それとミウちゃんの加護は、あくまでもキッカケを作っただけって話したでしょ?」
「そう話してましたが...えーと?」
「まだ分からない? 一言で言うならば"私の加護が無くても、自らの気が付きで使えるようになるかもしれない"と言うことよ。だけど、早く助けに行くに越した事は無いわ」
「でしたら早く二人に合流しないと。ギアが使えれば尚更良かったのですけど...」

 私はZギアの画面を見ながらそう呟いた。何時もなら画面をタッチするか、横の電源ボタンを押すとホーム画面になる。そこから色んなアプリにアクセスするのだけど、画面には"致命的エラー"の一文字。突入前までは使えたから、文字通り致命的な何かがギアに対して起こってる。

「そうね。そうしたら.........アーシアちゃん、私の背中に乗って」
「は、はい。にしてもポニータですか...タテガミって熱くないのです?」
「ええ。炎を身体から吹き出す種類としては稀なタイプよ。元々のタテガミはそうじゃなかったんだけど、そうなってると見た目が良いでしょ?」
「見た目って...」
「今ちょっと呆れた感じな目をしたわね? それとも、サイコキネシスで浮かばされて移動したかった?」
「あ、それは止めて頂けると...」
「冗談よ。ほら、早く乗って。手綱も付けたんだから」
「は、はい」

 私は言われるがまま、手綱を掴んでポニータ姿のミウちゃんに乗る。最初は炎を見て怯んだけど、近付いても熱くなくて、寧ろお風呂に入っているような心地良さだった。熱くない炎、なんだか凄い不思議。
 だけど気になる事があるとしたら、可愛い姿と性格が全くと言う程に似合ってない事かな...。

「よいしょ。ミウさんお願いぃぃっ!!? ミ、ミウさん一気にスピードを上げないで下さい!」
「...じゃああのまま攻撃されろっての!? 後ろ見てから物を言って欲しいわ!」
「えっ? ...うわ、敵が居る.........」
「そう言うこと! このまま駆け抜けて探すから、アーシアちゃんも周りを凝らして探して! 後は出来そうなら飛んできた技を相殺してくれると!」
「が、頑張ります!」

 急に引っ張られて危なかったけど、そう思えば一瞬締め付けられた気がするから、サイコキネシスで抑えてくれたんだと思う。そのお陰で早めに離脱が出来て、敵の攻撃を喰らわずに済む事が出来た。にしても...アレは何なの?
 明らかにポケモンの原型をして無いのと、してるのが混ざってる。いや、してるはしてるけど...歪と言うか、似た何か。睨まれるだけで凄い恐怖を感じる...ダンジョンに潜って、こんな気持になるなんてほぼ無い感覚。つまりそれだけ敵は強いし、侮れないし、気を抜けないって事.........


 ...ウィアさん、フラン...ちゃん.........


ティア ( 2018/07/06(金) 20:05 )