Chapter 04±01
Unknown04D
Side アーシア


 うーん、品揃えとか不安だったけど、ウィアさんが言ってた通りに物資量は多いらしい。それにこの島、パラドシスは町中であればサービスエリア内らしく、ギア全ての機能を使う事が出来た。ヴィシリア島では簡易ギルド兼役所と船着き場のハイブリットがあって、その建物内だけならルーターで使用する事が出来た。ただしガタがかなり来てるらしくて、一ヶ月に一度のペースで数分間だけ使用不可になるらしい。それを伝えたら、未来に戻ってから直しに行くとウィアさんは言ってた。
 それはともかく、ヴィシリア島より本島にも近いパラドシス島は近い事と、この島にはエンテイ・ライコウ・スイクンを崇めた遺跡があるおかげで、活動が活発らしい。ミウさん曰く、この神獣と呼んでいた三人は何処に居るのか全く分からないらしいけど...神鳥に分類されるホウオウ・ファイヤー・サンダー・フリーザーも所在不明で、頭を悩ませてるとか.........。

「...ふぅ、コレだけあれば問題無いと思います。私とミウさんに関しては技が出せなくなる自体が無いので、その分を回復に回せる筈なので」
「んー、そう考えると私とアーシアちゃんはイレギュラーよね。それを言ったら関係者全員イレギュラー、だけど」
「あはは...確かに電気技を全て扱える私に、爪に関する攻撃なら何でも使えるフランさん、技の制限と種族制限を持たないミウちゃん、特殊特化型のバリアを扱って技数や回数制限を持たないアーシアさん。チームとしたら、皆さんかなり壊れていますね...」
「ん、みんな凄い人たち。これなら負けないと思う」
「確かに予測以上の戦力アップね。楽になればアイテムの温存も可能だし、逆に回復よりも食料にもうちょっと回した方が良いかもとは思ったり」
「私も考えましたが、何があるか分からないので回復系は多めに越した事は無いかと。テヌラのダンジョンはコロコロ変わるので、私達が途中脱出した階層は硬い敵ばかりでした。多分無意識にミウちゃんが前衛、私が後衛と分かれたお陰で援護や追撃がやりやすくて、危ないながらどうにかなってましたが」
「...あれ? 確かミウさんってサポートが専門と言ってませんでしたっけ? しかも前衛は苦手と言ってたような...」

 いつ言ってたか忘れてたけれど、何だかそんなような事を昔に言ってたような気がする。自分は攻撃に回るよりサポートの方が一番動けるって。んー、思い違いだったかな。だけどそんな事を考えてるとミウさんの顔が真顔になって、横に居たウィアさんがミウさんの事をじーっと見つめていた。
 あれ、コレってもしかしなくても禁句ワードあたりを言っちゃった感じ...?

「...ミウちゃん、説明してもらって良い? 確かミウちゃん、前衛や後衛どっちも出来ると言いながら、前衛は任せてと胸を張って言ってましたよね? まさか、私を心配してわざと前衛に出てくれたりしてました?」
「...あはは、まさか自分の口から言ってたなんて思っても見なかった。そう、戦闘慣れしてないであろうウィアちゃんをなるべく前に出る事の無いように無茶して戦ってたのは本当。でも、何だかんだでいい感じになってたと思うから、バレない筈だったのだけど...そっか、アーシアちゃん辺りに自分自身で言っちゃってたのね」
「し、しっかりとした記憶は無いですが...言ってたような気がして。ごめんなさい、まさか理由ありとは思わず」
「いいわ、別に。それに謝るべきは私からウィアちゃんだもの。ウィアちゃん、心配掛けてごめんなさい」

 そう苦笑いしながら私に笑い掛けながら口を開く。にしてもミウさんも無茶する方だとは思ってたけれど、まさか苦手な前衛をやっていたとは...。

「いえ、そのような気がしてたので。でも、集中力が切れて一度危なかったのですから、その時は頼ってくれれば」
「近接なら任せてです! ミウさんは得意のサポートをして下さると私達も安心できるので」
「近接なら私」
「えっ、あ...じゃあ私達は臨機応変って事でいい、かな?」
「ん」
「ならある程度の陣形と言いますか、どう攻略していくかは決まった感じですね。まずミウちゃんが後衛にてバックアップ。そしてアーシアさんとフランさんは臨機応変に敵の殲滅を。最後に私は中距離的な立ち回りをしながら、ときには司令塔を請け負います。意見、または意義はありますか?」
「ない」
「私からも無いですね」
「私は二つ。一つは私がこれ以上は危険と判断した場合に全員外にテレポートさせる事。理由は途中までは分かっているけれど、更に下はどうなっているか分からないから。二つに目に危険と判断した対象をテレポート。例えばアーシアちゃんのバリアが割られて、身動きが出来ない所に追撃が来た時にテレポートで回避させるとか」
「確かに、可能なら安全度は上がりますね。ですが一つ目、コレは場合によってはテレポートを多用するって事ですよね? 連続使用などしてバテたりしません?」
「ええ、だから例えのような危険なシーンだけ。アーシアちゃん限らずフランちゃんにだって言える事だし、もちろんウィアちゃん、自分自身も危険だったら使うわ」
「つまり、絶対って訳じゃないですが、もしかしたら間に合って大怪我を回避できるかもしれないから」
「ではそれでお願いします。その他になにかありますか? もちろん他のことでも構いません」
「ん、ならある。ミウが貸してくれた力、コレっていつまで持つ?」

 フランちゃんが持つ力...確かにどれだけ持つのか私達は知らない。それに急に効果が切れて、タイミング悪くは避けたい。でも、この場合だと力や効果と言うより加護に近いのかもしれない。確かミウさんがフランさんにそれを施す時に"私との繋がりを付けて、技についてはキッカケを与えただけ"と言ってた。だから力は"加護"と思って良いはず。
 考えてみれば私、導かれし者達が色々と技が使えるのは人間だから。そして私の元主は月夜リーダーであるルナさんの身体。その人は二千年前の世界的な時間凍結異変で最も活躍した人であり、導かれし者達の殆どはその年代の人達だった。その年代の人達は強い人が多く、中には技の上限が無い人達が見られたとか。そして異変解決後に忽然と姿を消したとも...

「いつまで持つかと聞かれると、私の手が届く範囲ならまず切れる事は無いわ。ただし、たまに仕掛けられているダンジョン罠、何処かに飛ばす罠に関しては注意して欲しいわね。確実に私の手が届く範疇を超えるわ。ただし注意するのは全員なのは自覚して」
「そうですね...仮にそうなった時はギアを使って合流しましょう。戦わずに走り逃げればどうにかなる筈なので」
「で、ですがそれは敵を連れてくることになります...よね?」
「だったら全部倒す。それだけ」
「...頼もしい限りで」

 全く顔色を変えず、それが当然だと言いたげにフランちゃんはキッパリと言い切る。確かに、そうなったらやるしかない。慌てても状況が変わるわけじゃない。
 そんな事を話しつつ、私達は買い物帰りの道で話していた。帰り道と言っても借りている宿に帰って、明日挑むダンジョンの為に早めに寝ないと。因みに宿には説明はしてあるけれど、借りてても何日も居ないが多く、そういう感じの宿なので無問題だとか。そもそもに畏まって言ってきたのは久し振りだとか...そんなものなのでしょうか?

「確かに頼もしいわね。ツーンとしてるところもまた可愛い」
「ん、思った事を行っただけ。それに可愛くもない」
「いや、可愛いわ! コレでもし過去じゃ無かったら、私の娘にして連れて帰りたいくらいに!」
「あのー、ミウちゃん? それは犯罪に片足を入れてませんか? 連れ去りという犯罪に」
「同意の元なら無罪よ! ね、フランちゃん?」
「.........」

 ...あ、凄い困った顔で私の事を見てきた。それに、ミウさんがココまでメロメロになるなんて思ってなかった。ん、そう思えばマートル君の時もちょっと過剰な感じがしたけれど、もしかして子供とか、可愛いもの好き?
 いや、そんなことよりも...

「あのー、ミウさん? フランちゃんがとても困ってるので、そのくらいにして下さい」
「...ミウと居れるのは嬉しい。けどそんな調子ならミウの事は嫌いになる」
「えっ!? え、えぇ...そんなぁ.........」
「誰だってしつこくされればそうなりますよ? ともかく、早くご飯を食べて、お風呂入って、明日の身支度確認をして、早く寝ないと。私はギア調整もありますし」
「そう、ですね。明日は早いみたいですし、遅くなると明日がキツくなっちゃいますから」
「ん、早起き苦手。早く寝る」
「苦手なの? なら私が起こしてあげるわ。それに、今日はあの姿で寝て欲しいんでしょ?」
「そう。そうすれば元気な姿を見せられるから」
「見せられるとは...いえ、やっぱり聞かなかった事に。では私はギアの調整を行いますので、みなさんギアを外してください。今日はもう外に行く事は無いだろうですし」
「そうですね。えーと...取れた取れた、ウィアさん頼みました」
「私のも頼んだわよ」
「たのもー」

ーーーーー
Side フラン


 ...一日限りの自由だったけど、今日は凄く楽しかった。皆とお買い物して、話して、少しゆっくりして、やっぱり時間を共有できるって凄く楽しい。今だって二回目のお風呂を、今回はアーシアと楽しんでる。どう楽しんでるって、湯船に二人で浸かりながらお喋りしてた。
 最初こそは好きな物だったり、食べ物だったり、自己紹介みたいな感じに話してた。途中からはちょっとだけ聞いてた大きな事件、DM事件の事が気になったから聞いてた。その中でも気になったリファルという人について。

「じゃあその人はもう居ない?」
「...居ないと考えるべきかも。でも死んで無い気がする」
「ん、どっち?」
「...うーん、やっぱり分からないに尽きるかも。逆に生きてれば連絡の一つはすると思う。リファルさんのパートナーだったフィリアさんが居るんだけど、恋人同士だったの。普通なら連絡一つは入れない?」
「心配してるだろうから入れる」
「でしょ? そう考えちゃうと、やっぱり...なのかな。仮に別人になったとして、あのスタイルの良さ、逞しさ、そして優しさ。一番に性格は偽れない筈ですし...うん」
「アーシアもリファルの事、好きだった?」
「ば、馬鹿を言わないでください! 私がリファルさんの事が好き!? い、いや、人柄などで見るなら確かに好きですが...///」

 目を瞑りながら話すアーシアを見て、好きなのかと聞いてみたら慌てて否定された。そっか、アーシアも好きだったんだ。私の好きな人はお母さんとお父さんだったけど、何処に居るかなんか分からない。寂しくない...なんて嘘だけど、誰かが居てくれるだけで充分。
 奴隷の時にもし自分だけだったら、助けてくれた後にそのまま居なくなってたら...たぶん、私は自分が分からなくなってたと思う。もしかしたらあのリングマのようになってたかも知れない。それ程に誰が側に居てくれる、お喋りできるって元気の元なんだなって思う。
 アーシアも多分、リファルと話してて楽しかったんだ。だから好きとも思えるようになった。良い人なのかは、アーシアのちょっとした説明でも充分に分かった。みんなが好きで、頼りにされてた人なんだって。

「自分も会ってたら好きだったと思う。好きになるほど良い人なら」
「...うん、そういう事かな。さぁてと、私は上がりますね?」
「ん、絞るの手伝う」
「え? でも慣れてるから大丈夫。どうしてもと言うなら尻尾かな」
「やる」

 アーシアがお風呂から出て、首周りのお湯を絞るのを見て、私も一緒に出た。絞るの大変そうさで聞いてみたら尻尾って言われたから後ろに回る。
 実はちょっとだけ気になってた事がある。それは尻尾の骨ってどうなってるのかなって。だって尻尾の形が水滴みたいな形してるから。だからちょっとだけドキドキしながら掴んで、身体と腕で挟み込むように強く抱いてみた。そうすると意外と骨は細くて、別に根本が太い訳でもなかった。なんだか不思議。

「え、ええ? フ、フランちゃん? そんな絞り方じゃフランちゃんの身体も...」
「別に毛は長くないから問題無い.........ん、絞り終わり」
「あ、ありがと...。 ねえ、フランちゃん...気になる事があるの。聞いても、良い?」
「全然構わない」
「そう...なら聞くね。嫌なら答えなくていいからね?」
「ん」

 絞り終えて、アーシアも首元のモコモコを絞り終え、自分も身体を拭き始めた時に、少し真剣な顔をして聞いてきた。何だろうと思いつつ、頷いて何を話すのか待った。
 でも何度か口をパクパクさせて、言おうか迷ってる感じで、終いには拭いてたバスタオルで目元を隠すような感じだった。自分もどう声を掛けて良いのか分からくてずっと待ってると、絞り出すような声で質問をしてきた...

「フラン...ちゃん。あ、あの...フランちゃんの...ご両親...お父さんとお母さんに、会いたいと思わない、の...? 自由になれた。なのになんで私達と行動してくれるの...?」
「.........理由は簡単。強くなる為。強くなって、その姿を見せる為。そして強くなって、私みたいな弱い人を助けるって決めたから。じゃ、先に出る」
「う、うん...」

 やっぱり、聞かれた。にしてもちょっと強引気味に出ちゃったけど、後で謝ったほうが良いかな...

ティア ( 2018/06/12(火) 18:54 )