ポケットモンスターズファンタジー 彼女の願いと一つの宝石











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Chapter 04±01
Unknown07D
Side ミウ


 さっきの事からあんまり時間が経ってないくらい。あれから進み続けた私達は目的地、下へ繋がる穴にたどり着いた。けど付近に敵が行るかも知れないからって、私はユキメノコから姿を元に戻して飛びながら直接確認しているとこ。
 今のところ敵の姿は見られないけど、私達が来た方角の反対側からなんとも進みたくないような、何というか威圧感のような物があって何とも近づきたくない感じがしていた。だから警戒するならコッチの方角を見ていた方が良さそうね。
 因みに何で警戒しているかだけど、他の階層時に警戒せず下の階層に行ったら敵が上から降ってきたからだった。けれどその時は落ちた衝撃で大半が身動きが取れなくなっていたから幸いし、最小限の戦闘で回避できた。
 だからそれからはちゃんと辺りを確認してから下の階層に入るようにしている。

「.........お待たせ。確認してきたけど一応は問題はないわ」
「...毎度すいません、ありがとうございます」
「別に良いわよこんな事。それじゃいつも通りに私の手を握って」
「はい、お願いしますね」
「ん、お願い」
 
 私はいつも通り二人の手を握り、その状態からサイコキネシスを発動する。最初こそそんな事をしなかったけれど、見える範囲で少し離れて次の階層に移動したことがあって、それからはこうして手を繋いで分かれることがないようにしていた。
 あとメリットとしてかなり少ない力で浮かすことが出来ること、そして下から攻撃をもし受けた場合はそのまま飛びながら回避することだって可能なこと。
 ただしデメリットもあって、普通の使い方なら私に何か起きても五秒くらいなら飛んでいられるけど、もし起きたらその場で効果が切れること。まずいと感じて一気に力を使えばどうにかなる可能性があるけれど、流し込んだ直後は私の身動きが取れなくなる。だから結果的に二人は助かるけれど私は回避できない...かと言って、普通のやり方だと私がバテて直ぐに攻撃や回避に移れない。
 けどレイエルさんは涼しい顔でそれを実行するのよね...。

「.........それじゃ、行くわよ?」
「お願いします」
「ん」

 私は一呼吸を入れつつ、先程まで考えていたことを止めてサイコキネシスに集中する。サイコキネシスに集中というよりは辺りに気配りして何事も無いか感じ取る為だけど。
 それはさておき、下の階層に入ってみたけれど...なんだかとても暗い。今までのフロアでは端から端まで見ることが出来るほどに明るかったフロアが多かったのに、このフロアは視界が半径10mあれば良い程しかない。
 なんだか濃霧でも発生しているかのような視界...思えばちょっとこのフロアは空気が湿っぽい気がする。

「...ここ、ジメジメする」
「そうですね...えっと、湿度が83%を指してますね。そして気温は18℃...なんとも嫌な環境ですね」
「...ウィアちゃん、周りの状況って調べることは可能?」
「あー...少しお待ちを」

 湿度83%って...そりゃ湿っぽいと感じるわけね。けどそんな事よりも視界があまり無いのが怖い。幸い物音が全く聞こえてない状態だし、変に光るところも見えないし、何かが潜んでいるわけでは無さそうだけれど。
 とりあえず私は周りの変化に対して強く読み取れるように少し集中させながら、一応保険でウィアちゃんに一つお願いをする。そのお願いに対してウィアちゃんはOKをくれたけれど、なんかあんまり乗る気じゃない感じとは感じつつも任せることにした。

「.........風の流れ...」
「えっ? な、流れなんて無いですよミウさん?」

 意識をもっと深く、ウィアちゃんとフランちゃんの鼓動まで耳元で聞こえる程に意識をもっと集中させると風の流れがある事に私は気が付く。方角は...北西、私はゆっくりとその方向を目指して飛んでいく.........。

「...ミウさん? あの、聞いてますミウさん? えっと...ん、フランさん?」
「ダメ、ミウ凄い集中してる」

 ウィアちゃんが私に対して問いかけてくれてたのは分かる...けど、ココまで沈めた感覚をまた戻すのは大変だからと無視してしまった。でもそれを感じ取った分からないけれど、フランちゃんがそれを止めてくれた。
 ...ごめんウィア、そしてありがとうフランちゃん。私はそう思いながら少し浮上してしまった意識を深く沈め始めた。

ーーーーー
Side ウィア


 ...ミウさんが意識を集中させてから、いったいどのくらい経過したのでしょ。大雑把な体内時計だと30分くらいは経過してるはず。
 それにしても最初は感じなかったけど...自分の心音が凄く聞こえる程に周りが無音だと、なんだか凄い気分が悪くなってきた。いや、もう既に薄ら気分が悪い...それに灯りと言えばギアの明かりで、周りは完全に真っ暗というか真っ黒。
 それに最初こそフランさんは私の手を少し握るくらいだったけれど、今は震えながら私に抱き付いている。確かにこの空間というかフロアが怖いと感じる。私がフランさんなら同じ事をして居てたほどに。だから今はフランさんさん側から抱き付いてきていて、凄く安心してる私がいるけど...

「...ウィア?」
「な、なんでしょフランさん?」
「.........ココに居るの、もうやだ。真っ暗で何も聞こえなくて、怖い。顔も声も聞こえなくて、二人に置いて行かれているような気がする...」
「...大丈夫、フランさんを一人にして置いてったりしない。だから、安心してください」
「んっ...」

 フランさんは私達に置いてかないでと、震え声で私に訴えてきた。初めて聞いた怯えた声に少しびっくりしたけれど、私は強く抱き返しつつ耳元でゆっくりと答えた。そしてその声にフランさんは小さく返事を返すと、フランさんは顔を探すようにすり寄せてきてくれた。
 いきなりの行動にちょっとドキドキとしつつ、私はその行動を受け入れた。よく考えてみればフランさんはまだ子供と言うより幼い...年で言えばまだまだ母親に甘えたい年頃の筈。それなのに、落ち着いていて、それで居て逞しくて...それなのに、それなのに.........。

「.........ひっく...ど...こ? ウィア...ミウぐすっ...どこにいるひっく、の...?」

 さっきまで私が弱気になってたけれど、私が弱気になっては行けない。そんな気持ちに私はまた少しフランさんの身体を強く抱いた。それでもフランさんは私達を捜すかのように、泣き始めてしまった。
 やっぱり...温もりは伝わるけれど、何も見えなければ不安は消せない.........なら、やることは一つだけ。

「...ミウ、いったん意識を戻してきてください」
「...............ふー...ごめんなさい、気が付けなくて...」
「い、いえ...すいません私こそ。あの、私達の顔が分かるくらいの灯りが欲しいのですけど...行けます?」
「明かり? ...ええ、分かったわ。けどエレキボールお願いできる? 手に乗るくらいでいい」

 私はミウの手を引き寄せて、小さな声で戻ってきてとお願いした。そして声から察してくれたミウは少し時間が掛かりながらも意識を戻してくれた。
 私はその声を聞いて、自分自身もなんだか安心しつつミウに頼み事をした。最初こそ何でと言いたそうな返しだったけれど、察し取ってくれたミウは二つ返事で許してくれた。

「はい...エレキボール」

 ミウからエレキボールをお願いと言われ、両手を使って少しの力で拳ほどのエレキボールを作る。それをすぐミウはサイコキネシスで受け取ると、ミウは少し身体に電気を帯びて渡したエレキボールを直径20cmくらいまで大きくさせた。
 そのおかげでかなり明るくなり、ミウやフランさんの顔をはっきりと認識できるくらいになった。その状態で改めてフランさんの顔を見ると、やっぱり涙で顔の周りの毛並みが乱れていた。そして顔が見れたことに安心したのか、フランさんは私の顔とミウの顔を見て笑顔を見せてくれた。

「っ...ごめん、不安だったわよね」
「不安だった...近くに居るって、分かってたけど...何も見えなくて.........本当に二人なのかって、考えちゃったら...怖くなった...」
「...ごめん、本当にごめんフランちゃん」
「んっ...別に怒ってない。近くに絶対に居るって、分かったから。ウィアもありがと」
「いえ、当然のことですよ。それに...こんなに泣かすまで気が付けなくて、ごめんなさい」

 指でフランさんの涙を拭いつつ、私は謝った。けどすぐにフランさんから怒ってないって言われた。それでまた、フランさんはニコッと笑顔を見せてくれた。
 その笑顔を見て良かったと思う反面、やっぱり私の心の中では罪悪感なような物が生まれてくる。だめ、この笑顔を見続けるとまた言ってしまいそうで...

「...ん? なんか、あそこ光ってる?」
「えっ? ...ほんとですね、光ってる」

 ふとフランさんが何かに気が付いたみたいで、その方向を指さしてくれた。何だろうと指を指された方向をじっと見ると、真っ暗な暗闇に一つの光が見えた。その色は黄色で、ミウが持ってるエレキボールの光に反射して居るものと思われた。

「意外と、近そうね。二人とも、ちょっと飛ばすわよ?」
「んっ」
「はい!」

ティア ( 2020/06/08(月) 21:54 )