ポケットモンスターズファンタジー 彼女の願いと一つの宝石
Chapter 04±01
Unknown06E
Side ???


 「...んー、やっぱりこの液体比率じゃ構造が保てない。でもこっちを入れ過ぎると飽和するし、かと言って入れないと反応すら起きないし...まだまだ要研究ね」

 私はフラスコの中で砕けたタネを見つつ、今の液体比率をノートにメモをする。これでテストは3回目...そろそろ成功してほしいものだけれど、なんたって使ってるのは復活の種だから失敗のコストが辛すぎるのよね...。
 けど失敗ばかりでも無くて、一つだけいいものも作成する事ができた。それは万能木の実と呼んでるオレンの実と、珍しい木の実だけれど割と入手が出来るズアの実とチーゴの実を1:2:1で熱湯に付けて、柔らかくなったら復活の種と一緒に皮ごとすり潰す。
 次に形が無くなるまで充分にすり潰したら綺麗な布で越し出し、すり潰したら物の色が無くなるまで水に浸して綺麗な布で越し出すのを繰り返す。また使った水量を必ず覚えておく。
 その次は液体を沸騰するまで火に掛けて凍らない程度で急速冷却させ、その時に浮かび上がった沈殿物を全て取り除くを三回も繰り返す。最後に覚えていた水量が無くなるまで煮込んで冷やせば"特製回復の薬"の出来上がり。
 ネーミングセンスは無いのは辛いけれど、効果は図ってみると効果は中々の物だった。何故なら私のご主人であるユウキ、この時代にはいないけれど人間が居る世界にあった"回復の薬"と同程度の回復能力を得る事が出来た。ただしコストと手間が多くて作るのが大変なのが辛いところ。

「はぁ、もう少し実用的でコストを抑えられないかしら。もう少し設備が整えばもしかしたらと思うけれど、実際問題そんなに変わらないの...っ!?」

 ちょっと愚痴を漏らしつつ、実験に使った道具を片付けていたら聞いたことが無い音がギアから鳴り響いた。その音にサイコキネシスで浮かべていたフラスコを落としそうになったけれど、何とか耐えることができた。
 私は一旦サイコキネシスで浮かべていた物を全てテーブルの上に置いて、左手から鳴り響くギアの画面を確認すると。

「一体何事なのよ...って、えっ...なにこの画面...エマージェンシーコール?」

 エマージェンシーコール、緊急連絡の文字が表示されていて相手はウィアさんから。何事かと困惑しつつも電話を受けると、私の想像の斜め上の質問が聞こえてきた。ただ回線状態があんまり良くないのか、時折ノイズが入って完璧に聞き取ることは出来なかったけれど...。

『...シルクさん! 良かった...繋がった』
「ウィ、ウィアさん? あの、これは一体何なの?」
『...すいません、説明をしている暇はないんです。シルクさん、その...単刀直入に聞きますが、内蔵ダメージで内出血している場合、持って何分です...か?』
「な、内蔵ダメージによる内出血...私は医者じゃないからなんとも言えないけれど、私が知ってる限りでは基本的にアウト。助けるのは無理に近いとされてるわ」
『え...そ...うそ...です、よね...?』
「...ん? ね、ねぇ...まさかだとは思うけれど...」

 電話の相手はウィアさんで、なんだか焦った感じだった。しかも聞いてきたの内蔵ダメージによる内出血の生存期間に関してだった。私はその質問に対して知っている限りの返答を返したけれど、その返答が妙に信じられないと言いたげな感じで...まさか、ね。

『そのまさか...ぐすっ、なの...』
「う、うそでしょ...。あれ、ちょっと待って今どこ?」
『テヌラのダンジョン...』
「...待って待って待って待って!!? まさかそこって!!? ...分かったわ。誰か分からないけどその子を私に任せてもらえない? 絶対助けられる保証はないけど、最善は尽くすわ」
『ぐすっ...お願い...致し...す...。ではい...ら.........』
「あれ...通話が切れた...?」

 テヌラ神殿のダンジョン...なぜそんな場所に居るのかは全く分からないし、そもそもに入る為には不可視のバリアを突破する必要があったはず。けど、ウィアさんなら何かしらの情報を知っててもおかしくないし、嘘を付くような人でもないから本当にそこに居るのだと思う。それはそれとして、内出血している人ね...一か八かで"特製回復の薬"を使ってみてどうなるか。効能とか成分は分析済みだからもしかし...あれ、そもそもにダンジョンなのにどうして通話が?

 ダンジョンに居る時は通話もそうだけど、連絡手段は全て失われるってウィアさんの口から聞い...っと思ったら来たわね。この青白い光は探検隊や救助隊バッチでテレポートする時の光。だけど少し時間が掛かっているのか、身体すべてが見えるまで遅い。5秒ほど掛けてようやく首辺りまでで.........

「え...う、うそでしょ!?」

 ウィアさんが送ってきた人物、まさかの人物でテヌラの事やなぜ通話が繋がるかを少し考えていた頭はすっ飛んだ。信じたくない、けど見れば見るほどその人物にしか見えなく、自分の呼吸が荒れていくのが分かった。
 本人じゃない、そう決め付ける為にも腕に付けられたリストバントを少しずらしてみるけれど、結果は変わらなかった。本人...アーシアちゃんだった...。

「...がはっ! ...シ...ルク...さ.........」
「アーシアちゃん!! しっかり意識持ってなさい!! ...お願い、この状態じゃ辛いだろうけど...これ飲んで!!」

 口から血が混じった咳をしているところに飲ますのはどうかとは思ったけれど、内蔵損傷となれば身体に治療薬を掛けたり塗るのは間違ってる気がする。だからココは申し訳無いと思いつつもアーシアちゃんに作成した"特製回復の薬"を飲む事を勧めた。
 効果は結果からお墨付き...これで回復してくれなければ打つ手が無い八方塞がり。お願い.........回復してっ...。

ーーーーー
Side ウィア


 ...ちゃんと伝えられたか、最後ちょっと不安だけれど託すしか無い。だけど本当にゴメンナサイ...。
 私は心が締め付けられつつ、アーシアさんの緊急離脱の場所をギアの管理者権限でシルクさんの場所に上書きを掛けてテレポートさせた。っ送ったはなはぺしみつに私はウィアとフランちゃんのところに駆け込んでエレキネットで加勢し、フォルさんだったピカチュウに電光石火を使って敵の直前で小ジャンプをした。そして電光石火を解除し、電光石火を勢いが残りつつアイアンテールを叩き込む...完璧とまでは行かないけれど、アーシアさんが使うインパクトテイルを模したもの。
 使った理由は分からないけれど、何故だがコレを使って倒さないといけないと感じたから...。因みに技を当てた時の反動で尻尾の付け根に激痛が走ったけれど、ほんの一瞬だったから気にしない事にした。そして肝心の倒せたかどうかは...

『.........』
「...討伐、完了ね」

 ミウが少し距離を置きつつ敵を凝視して倒した事を伝えてくれた。本来ならばココで喜ぶ所だけれど、討伐したのがアーシアさんの知人であり、そのアーシアさん自身にも大ダメージを負わせてしまったのだから...。

「...ふぅ、結構強かったから辛かった」
「...そう、ね。流石に驚異度はBかAに行きそうな強さと体力だったわね。それでウィア、何があったか説明してもらうわよ?」
「...はい。まずアーシアさんが大ダメージを追うキッカケになったのは、私が...私がアーシアさんに闇に捕われし者から正常心を取り戻したケースがあると伝えたから...」

 正確には少し違うけれど、結局のところ戻る事があると伝えた事には変わりない。それにケースと言っても知ってる限りではリファルさんだけ...

「...リファルさんね、実は私も知ってるのよ。だけどまさか...それの事でアーシアさんにもあるって言っちゃったのね」
「し、知ってたのですか!? で、でもどこで...」
「あのねウィア、流石にリファルさんみたいなイレギュラーが存在すれば周りに影響か何かしら影響はあるわ。もちろんアルタイル、デネブ、ベガも調査協力してもらってるから知ってるわ。そしてアルセウス様とかも。ただコレは知ってるだけで他の人には一言も喋ってない。そしてフィリアさんにも...ね」
「そう...だったのですね...けど一体いつから?」
「アルトマーレの悲劇。ラティオスのティオさんから直接ね」

 アルトマーレの悲劇...DM事件の別名をあえて出したって事は即日には分かってたって事。しかもティオさんは私達にリファルさんは闇に捕われし者になる前に伝言を残した、そう聞かされていたから。

「ティオさん...」
「ともかく、理由は分かったわ。それで、肝心のアーシアちゃんが居ないけど...どこ?」
「ア、アーシアさんはバッジのテレポートで緊急離脱させました。その...記憶は消して」
「そう...だとしたら三人ね。じゃあウィア、またスキャンしてもらってもいいかしら?」
「は、はい。予測では今の一つ下となる地下20階が最奥地となるので...」

 左手に付けたギアを右指で操作して、私が立つ範囲をスキャニングする。因みにスキャンパワーは最大で、下側も対象になるように半円型で開始した。ただ流石フルパワー...スキャンされる速度と範囲も凄い代わりにギアの温度上昇がかなり速い。
 しかも二人に見えるようにホログラムディスプレイモード、一言で言うならば目の前に触れるディスプレイを表示しているから尚更に加熱されてる。既に左上には異常温度を伝える赤三角の中に火を描いたアイコンが点滅を繰り返し、その下には規定外の性能を行使を知らせる紫三角の中にビックリを描いたアイコンが点滅を繰り返していた。

「...ちょっと無茶させすぎたかも」

 それから暫くするとスキャン進行度を示す%に被さるように、ディスプレイの中心に赤丸バッテンが点滅しだした。この点滅は熱や処理負荷で暴走状態とギアのコアシステムが検知した危険警告...。流石に私は無茶させすぎたと呟きながら、スキャンパワーを150%から80%まで落としした。ただ一度でも過熱した場合、性能を落としてもそこまで冷却される事はない。

「無茶させたって...大丈夫よね?」
「と、取りあえずは...ただスキャンが終わったら少し休ませる必要はあります。休ませるというか冷やさないとですが...」
「だったら冷やしてあげる...冷凍ビーム」

 冷やさないといけないと言ったら、ミウは弱い冷凍ビームを当てて凍るか凍らないかギリギリのところで冷やしてくれた。お陰でかなり温度は下がってきたけれど、冷えすぎて腕が冷たい...けどこれならスキャン速度を戻せる。
 そう思った私はスキャンパワーを130%まで戻して、スキャン完了時間が3分半くらいから30秒くらいになったのを確認する。そして現状で読み取れたスキャン情報を元にデータ整理を始めた............

ティア ( 2019/09/26(木) 21:21 )