Unknown06C
Side フラン
アーシアと同じ職業の人が相手。最初聞いたときは流石にちょっと驚いたけれど、敵には変わりないと思っていた。だけどその後にアーシアの知っている人と聞いて、攻撃して良いのか分からなくなった。でも敵は敵、昔がどうであっても意識も無く攻撃してくるならば攻撃しないと殺られる。
それに私ならその考えでどうも出来る。ただアーシアはそうするにも行かないし、私もその立場なら少し考え込んでいたと思う。だけどその後にウィアが同じようなパターンが外でも何回もあるって聞いて、そう考えるとみんなも同じように苦しんで、最終的には最後に言っていた自分の手で終わらせるになるのかな...。
「...アーシアさん、接触まで残り10秒です」
「...分かりました。私、二人をココで止める。辛いのは辛いけれど、もっと辛いのは二人だから」
「ん、私も頑張る」
「...来た。反応は...敵意、ね。私は変わらず援護で良いのかしら?」
「強い方々ですから、テレポートを使って助ける事も片隅に考えてくれると助かります。さあアーシアさん、行きましょう。エレキネットッ!」
「はい...電光石火、アイアンテール!」
「行くっ!」
威嚇したのを合図に、ミウが私達に加護を掛けてくれた。ミウがコレをしてくれると身体軽くなり、奥から力が溢れるような感覚がするから戦いやすくなる。だけどその間はミウが少し動きにくくなるらしくて、ミウに攻撃が行かないようにちょっとだけ気に掛ける必要がある。ただミウはそう言いつつも素早さが下がるだけだから問題無いって言っていた。
そんなことを思い出しつつ、私はウィアがエレキネットで敵のブラッキーの動きが止まったのを見て、駆け寄りながら両爪に力を溜め込む。そのまま私はすれ違い様に攻撃を...
「...ガウァ!!」
「っ!? ま、間に合わな...」
「危ないっ! インパクトテイルッ!!」
「グァッ!!?」
「うぐっ!? ...がはっ!?」
攻撃をしようとした途端、右側からピカチュウのうめき声で一瞬だけ私は怯んだ。だけどその一瞬は凄く大きく、青い光を纏った拳が私に迫ってきていた。回避できない、そう思った私は咄嗟に両手を胸の前でクロスさせて直ぐに来る痛みに耐えようとした。
だけど気が付いたアーシアが駆け込んでくれて、ギリギリで攻撃をアイアンテールで壁まですっ飛ばして助けてくれた。ただ、誰が見ても無茶な身体の向き、空中で無理矢理に身体を捻って技を出したせいで着地ミスをしてアーシアは背中を強打した。
「アーシア!」
「私が行くわ! ...テレポート! 守るっ!! テレ...ポートっ!」
「...ガアァ!? グルルルルル...」
体制を崩したアーシアに敵のブラッキーが駆け込むのが見え、その後ろを追うように私も走り出した。けどウィアがテレポートするとアーシアを包むようにバリアを貼って、突進したブラッキーはそのバリアに跳ね返されていた。
その間にもう一度テレポートをして、敵のブラッキーから遠い位置に現れた。だけどアーシアが少しぐったりしてるのが見えたのが私は何よりも気になった。確かに私を助ける為に無理な姿勢にさせたのはごめんなさいだけど、ぐったりするほどに無理をされちゃうとごめんなさいと思う気持がとても強くなる。
「ご、ごめんなさいアーシアちゃん。咄嗟に援護に入る事が出来なくて...」
「...がはっ! こ、このくらい大丈夫です...」
「ぜ、全然大丈夫じゃないっ! そうしたら少しだけ...い、癒やしの願い! ウィ、ウィア...フランちゃん...ちょっとだけ耐えてっ!!」
「は、はい!」
「んっ! 分かった!」
ちょっとだけ耐えての声に、私はヨロヨロと動き出したピカチュウを睨んだ。ウィアはブラッキーにゆっくり近付いて両手両足を地面に付けて同じように睨んでいた。
さっきは油断をしてアーシアに危険な目に合わせちゃったけど、次こそは油断しない。それに私は守られる側じゃなくて、守る側になりたいからアーシア達に付いていくと、何よりも死んじゃったパパやママに心配を掛けないように強くなると決めたから!
「行くっ! ...えっ!?」
『グガッ!? ...ガァッ!!』
「くっ.........たぁっ!!」
私は敵のピカチュウに一気に走り込みながら指に力を込めたけど、攻撃をするほんの前に敵が動いた。本当なら走り去りながら攻撃しようと思っていただけに、正面に来られたから力を抜いちゃった。そのせいで敵に両手を掴まれて力比べみたいになったけれど、敵の方が強くて押し飛ばされそうだった。
しょうがなく私は一瞬だけ手の力を抜いて、右足で敵のお腹を蹴っ飛ばして距離を取った。そのタイミングでウィアに怒られたけど、聞こえないフリをして敵のピカチュウを睨んだ。
「ちょ、危ないことはしないで下さ...エレキボール!! 電光石火ッ!! カ、カミ...ナリッ!!」
『グガガガガッ!!? ...グァァァアアアア!!!!』
「っ!? エレキ...ネットッ!! 電光...石...火ッ!! .........はぁっ...はぁっ...」
ーーーーー
Side ウィア
「はぁっ...はぁっ...」
な、中々に息が上がってきた...一番に技を出すのが...つらい...。だけど少し耐えればアーシアさんは復活して、ミウはサポートに戻ってくれれば楽になる。それにフランさんが頑張っているのに、私も負けるわけには行かない。エレキネットの効果時間は10秒近く持続するから、今のうちに息を少しでも落ち着かせなければ...
『ギギ.........ガァアアアアッアア!!』
「10万ボ...ならっ、アイアンテールッ!!」
『ガハッ!?』
エレキネットの効果が切れた敵のブラッキーは私に全力で突っ込んで来るのが見え、私は体に電気を貯めて反撃しようとする。だけど疲れからか電気の貯まり方が悪くて、直前にアイアンテールで蹴り上げるように攻撃をした。勿論少しだけ貯めた電気も尻尾に纏わせて。
するとその攻撃は想定外だったのか飛び付いて来た腹部にクリーンヒットして地面に転がったけれど、ヨロヨロと立ち上がって私の事を変わらず睨んだ。今の攻撃で結構体力を減らしたと思ったけれど、流石は闇に捕われし者...体力が異常ね。それにシルバーランクの救助隊が時空の狭間に触れたか、吸い込まれた時点で驚異度がAまで上がる。強さはレイドを組む一歩手前かゴールドランクかダイアランクが対処できるギリギリの強さ...気を抜いたら殺られる。
けど確実にダメージは入っているし、ピカチュウのフォルさんだった人はアーシアさんのアイアンテールでかなりのダメージは受けている。ブラッキーのルナさんだった人も今当てた攻撃で少しヨロヨロしているから、あともう少しのはず...。
「...負けて、たまるもんですか」
近くに他の敵が居ない事をスキャンで確認しつつ、右手にギュッと込めて電気がバチバチ弾けることを確認する。ちょっとだけ休む事ができたから電気ショックくらいならば何発か撃てるはず。
「...電気ショック!! 電光...石火ッ!!」
『グッ! ...ギャッ!?』
両手に電気を貯めて逃げ道を絞るように左右に放ち、バックステップで避けた所に電光石火で距離を詰めた私は体当たりでブラッキーに攻撃する。でも少しだけ踏み込みが甘く、隙きを付く事は出来だけれど大きなダメージには繋げられなかった。
その事にしょうがないと思いつつ、次の攻撃に備えるために少し距離をまた取ろと...
『...けて.........』
「...えっ?」
ふと知らない声が聞こえたような気がしてその場で振り返える。だけど振り返ってみても、変わらず牙を剥き出しにして睨むブラッキーの姿。まさかと思ってミウとアーシアちゃんの方を見ても、ミウがアーシアちゃんに対して何がしている姿が見えて、どちらかが声を上げたとも思えない。そもそもに二人の声でも無いし、フランさんの声でもない。
気のせい...にしては声の感じを思い出せるくらいには耳に残っている。けどフランさんはそのまま戦っているし、二人だって気が付いた感じが全く無い。やっぱり気のせい?
「...10万.........ボルトッ!!」
『ギャアアアッ!! ガ、ガハッ...』
.........やっぱり、おかしい。弱ってきたとしても声が人並みの悲鳴に戻ってきている。でも今までの記録でそんな記録は...いや、ある。あるけどそれは闇に飲まれた直後だけ。仮にソウルズが最近に時空の狭間に飲まれたとしたら、一年近く行方不明だった理由が付かない。そしてその他にもしあるならば...リファルさんのように適応した.........?
「どちらにしても無効化はしないといけないけれど...」
「ウィア! フランちゃん! もう良いわよ!」
「すいませんお待たせしました!! スピードスター! インパクトテイルッ!!」
『ッ!! キャアアアア!!』
「...へっ? い、いまの声.........ルナ...ちゃん...?」