待ち人
Side ???
...へくちゅっ!
んー、最近だいぶ花粉が多くなってきたなぁ...っとなると、あれからもう三ヶ月か四ヶ月の月日が経っちゃったんだ。結構な時間差があったけれど、戻ってきてからは掲示板で集まって、合言葉で確認をしてた。掲示板越しで、しかも文字なのにまるでその人が口で伝えてくれてるような、その場に居るような不思議な感覚。だけど、私は話しているうちに一つの疑問が浮かんだ。
それは一人だけ確認する事が出来なかった事。私の大切な友達というか友人になって、苦楽を共にした仲間...
そしてその人は...いま、ベッドの上でずっと眠ってて、その人を…いや、弥生ちゃんと出来事にて知り合った人達で囲んでお話してた。周りの人に関しては掲示板ではかなり話していたけれど、弥生ちゃんの初対面にはちょっとみんなの言葉は詰まってた。だって、明らかに良いと言う状態じゃないから...。
元々は短髪だったと思う髪は伸びてしまって扇状に広がって、身体はやせ細って呼吸がとても小さくて...少しでも何かあったら消えちゃうんじゃないかって思った程だった。私を含めて何人かは中学生で、何人かのお父さんとお母さんも一緒だったけど、とてもビックリした顔をしてた。私もはじめはそんな感じだったし、お父さんとお母さんも同じ。因みに弥生ちゃんの事は、私が目を覚ましてから何度か言ってたみたいで、現実の繋がりもない人に関しては毎回に駄目という二人を「もし合う時は連れて行ってあげる」といつの間に説得してたくらいに話してたくらいだった。
「さく...いや、スイレンさん。花瓶の水を取り替えようと思うんだけど、行く?」
「へっ? ...あっ、行く。確か病室出て右奥だった筈ナノ」
「奥だね。それじゃあ僕達ちょっと行ってきますね皆さん」
『ありがとうねマコト君。スイレンちゃんも』
「いえ、この事くらいしか僕達に出来ることが無かったので...。えと、行こっか」
「う、うんっ」
ふと私はマコト、初めて好きになった男の人に不意に呼ばれて、ちょっと変な声が出ちゃったけど振り向いた。するとマコトの両手に花瓶に花を刺した状態で持っていた。片手で持てるサイズなのに、何故か両手でぎこち無く持っているかは気になったけれど、何かあるのかなと思って気にしない事にした。それから両手が塞がってるマコトの先を行って、当たり前だった手でドアを握って横に引き上ける。
最初こそ四足だった感覚から元々の二足歩行にだいぶ時間が掛かってリハビリをしてたけど、今では生活には支障が無いレベルで動けるようになった。思えば、なんで姿が初めて変わった時に関しては直ぐに慣れたのに、元に戻ったときはこんなにも時間が掛かったのかな...なんか不思議。よくテレビで見る、子鹿が生まれた直後に立てるのと同じ感じなのかな...?
「...イレンさん? ココで良いの?」
「へっ? あ、うん。ココで良いの。そう思えばなんで私を誘ったの? 両手で持たなくても片手で持てる大きさなのに」
「うーん、なんというか...これで二回目のスイレンにアーシアさんの事を聞いてみたくて」
「アーちゃんね...確かに初めてお父さんとお母さんと出会ったあの時はかなり驚いたナノ...。それに、アーちゃんが遅生まれの一個下だってアーちゃんのお母さんから聞かれた時が特にね。唯でさえで自分の事が抜けてて悩んでたのにも関わらず、自分の事より周りに目を向けるアーちゃんと...なんて言ったら分からないけど、今度は私が助けなきゃって」
「確かにそうだね...。たけどスイレン、よくアーシアさんの現実の居場所が分かったよね。どうして?」
「簡単な事だよ。お母さんが病院で働く看護師で、偶に噂を聞いたんだって。私と同じくらいの女の子が一人だけ目を覚ましてないって。それを聞いてひょっとしたらって私に聞いてきたのが発端ナノ」
「そっか...」
いつの間に到着してたようで、また私はビクッとしてしまった。だけどその事に気が付かれなかったみたいで、気になった質問に関して普通に受け答えしてくれた。それで内容に関しては、何となく聞いて来るかもと思っていた事で、私は初めて弥生ちゃんに出会った印象などを話した。マコトとアーちゃん、そして私はチームを組んでた事があったから、多分は私の意見的なのを直接聞いてみたかったんだと思う。
「でも、さ...アーシア、いつ戻って来るのかな。深い眠りが続く状態、言うならば冬眠状態なのは僕達があっちの世界に居た時と同じらしいから」
「けどちょっと、ここまで弱るのは危険かもとはお医者さん言ってた。体力の衰えをどうにかしようとはしてるみたいだけど...だけど.........」
「...ねえ、スイレン。一つだけさ...提案があるんだけど、聞く?」
「えっ、提...案? うん、アーちゃんがこのまま弱っていくのを見てられないナノ! けど、どんな方法? まさかと思うけど...アレを、使うつもりじゃないよね?」
「そのまさか、だよ。送り主不明のURL...しかもアドレス名がDreamMakersと『貴方が必要になったら』の一文だけ添えられてしかも導かれし者達だけに届いたメールを、ね?」
「だ、だけど...それをしたら私達までまた.........」
「そうなる前に、アーシアを連れ戻せばいいんだよ。ライトさんも居るんだから、また装置を使って戻ればいいだけ。ほんの数分の睡眠をするだけだよ」
「.........分かったナノ、それに掛けてみよ? そうしたら花瓶を運んで...休憩室あたりでも使っちゃおうか」
「だね。っとと、ちゃんと蛇口締めてっと...じゃ戻ろっか」
「うん」