同士
ー前書きー
またもや遅くなってしまいました。正直に言いますと寧ろよく投稿まで持っていけたと言う感じです。
っと言うのも、大体この時期になると体調崩しが多くなり、寝苦しくて日中の活動中に睡魔が襲うことだってあります。そんな状況下でやる事をし、執筆ともなるとかなり厳しい所です。
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Side アーシア
あれからどのくらい経ったのかも分からないくらい。今の時間が何時なのか分からず、朝なのか、昼なのか、夜なのか、それとも深夜なのか...捉えた人達は何も教えてくれなかった。情報は遮断されて、いま分かるのは両手を鎖で吊るされて、足も固定されて、壁を背にして無理矢理に立ち上がったままにされた状態。立っている事に関しては苦でも無いけれど、流石に長い時間も同じ体勢にされると感覚が無くなってくる...。
どうして私はこんな事に...ゼロと言う人の言う通り、確かにこんな事になる事は分かってるつもり...いや、心の奥底では『そんな事は無い。捕まらない』などと思ってた。記憶は明らかじゃないけど、私を捕まえた人達はかなり手馴れているように思えた。シルクさんを待っている間に、急に殺気なようなものを感じ取って、私は守るのバリアを張った。けど...相手は私がバリアを張り切る前に、貼ったときには内側に入られていて攻撃されていた。その後に痛みと驚きに私は軽くパニック、そして意識を取り戻した時にはもう攻撃が迫っていた。
私は慌てて真横へ飛び退いて、攻撃をしてきた者を見た...筈だった。後ろ足を高くして、前足を低く頭を落とした状態から見上げた時には何も無かった。あったのは私が滑った時に出た砂煙と、飛び退く前の場所にある多少の砂埃だけ。耳を澄ましても何も足音や草むらの音は聞こえなくて、あるとしたら工場近くだからブィーンと低い機械音だけ。どこに消えたのか、私は左右を確認しているとふと、身体に違和感を覚えた。身体がとても暑い、そして頭が割れるように痛く、身体の力がどんどん抜けていく感覚...そこから更に強く感じ取ってから堕ちるまで早かった。
どれくらい経ったのか分からないけれど、それから私は目覚めると檻の中に閉じ込められていた。逃げ出せないように足に重しが付いた鎖、腕は固定され状態で。因みに斬られた手首には丁寧に巻かれた新品の包帯が巻き付いていて、緩くもきつくもなく丁寧に手入れされてた。それを疑問に思ってると、ふと私は走って誰かが近付いてくる音が聞こえた。
その人はニューラ、見た目からして女性の人だった。どうやら命令で私に対してカウセリングをしなくちゃならないらしく、手には鍵が握られていた。私は敢えてあんまり意識がハッキリしないような感じで振る舞い、檻から出してもらい、目と鼻の先にある一室に連れて行かれた。その部屋は一言で言うと医務室で、特有の消毒用アルコールの匂いが私の鼻を突いていた。
この場所で何をするのか疑問に思ったけれど、内容はこの世界で何をして何を見たか、使える技は何なのか、先に帰った仲間はどんな人達なのかとか...私の身の回りの事を聞いてくるだけ。そして時々は、質問だけじゃなくて世間話みたいなのを交えてくれた。私は最初こそサニャさんを見てなかったけれど、改めてちゃんとサニャさんの事を見た。所々に怪我をしたような痕が残っていて、身体付きもどこか細見で、疲れ顔なような感じだった。だから私は質問してみた。
「サニャさん...貴方って、連れ去られたり、或いは仕方無くココに居たりしますか?」
「えっ...な、なぜそう思うの?」
「だって、サニャさん...命令でやらされたって感じですよね? っと言いつつ、雑談ではとても楽しそうに話してた。もし命令に疑問や、不信が無いのなら雑談等を挟まない筈ですし、雑談の内容が主に外の事だった。つまり長い間に外出を許可されてないか、情報を遮断されている...違いますか?」
「そ、そんな訳は.........」
私はまっすぐと、サニャさんの目を見ながら言い放った。その事に関して直ぐに否定の言葉を口にするけど、口にしたあと急にあたりを見渡し出した。少ししてから「そんな事はありませんよ。アーシアさんの視点から気になったから」と急に口調を変えて話してきた。その後、サニャさんは椅子から腰を上げて戸棚の前に行くと、幾つかの本を退かした裏から一つの小瓶と注射器を持ってきた。そして小瓶を蓋を開けて、私の目の前で注射器に液体を詰める。
この時に私は嫌な予感がした。恐らく詰めた液体は隠し持っていて、多分聞き耳を立ててる人、つまり私を誘拐した中間も把握していない薬品だという事。シルクさんなら分かるかもしれないけど...
「サ、サニャさん...それは一体...」
「アーシアさんはコレ...苦手ですか?」
「ま、まって...その薬品は一体なに...」
「打てば分かります。逃げないで下さい、変に挿してしまったら大変ですから」
「いや、その...だから...」
『アーシアさん、お願い。怪しがって聞き耳立てられてるの』
「...え?」
私は重い足かせを引きずりながら、サニャさんから離れていく。そんな時、急に頭のなかに声が流れ込んできた。この声は...まさかサニャさん?
けどテレパシーはレイエルさんは例外として、伝説系のポケモンしか出来ないはず。でも確かシルクさんが訓練すれば使えるようになるって言ってたような気もする...もしかして、その手?
「ほら、逃げないで下さい。別に危険な薬品ではありません」
『生命の起源を脅かす薬じゃないです。コレがあればアーシアさんをココから抜け出しやすいようにするだけ。さあ、早く! 効果が現れる時間までかなりのディレイがあるの!』
「...分かりました。けど、痛くはしないで...下さいね?」
私の質問にコクリと頷いて、私は聞き手の逆である左前足を差し出した。けど、サニャさんはその手を払い除けて私の後ろに回り込んだ。疑問に思って首を動かそうとした瞬間にテレパシーで『そのまま動かない』でと忠告を受けた。途端に首筋に一瞬の痛みがして、注射されたのだと分かった。
それから三秒程してから針は抜かれたけど、別に変な感じも無いし、痛みだってない。気掛かりなのはこれが何の薬品なのかだけど...
「よし、打てましたね。どうです? 変な感じはありませんか?」
「特に何も...サニャさん、今打ち込んだのは何なのですか?」
「ふふ、時期に分かりますよ。それと二回目の面談はこれで終わり。外に誰か居るようですし...どうぞ、入って下さい」
「.........失礼する。サニャ、随分とお喋りをしていたがどういう事...だっ!!」
「っ!?」
呼びかけに反応して中に入ってきたのはエテボース...だけど、入ってきて早々にエテボースは長い尻尾のような手で殴り飛ばした。私は咄嗟に動こうとするけれども、足かせが重すぎて動けず、その間にサニャさんは壁に叩きつけられてずり落ちた...。
「げほっ! あ、相変わらずですねぇ貴方は...少しくらいお喋りしてもげほっ...良いじゃないですか...」
「し過ぎると言っている。コイツにちゃんと薬品投与と決められた質問項目をしただろうなぁ?」
「当然です...じゃなきゃ私がココに居る存在価値なんて無いのですから...」
「そうだ。お前の母親が偶々に薬品関連のスペシャリストだったからお前もついでに連れてきてやっただけだ。じゃ無きゃとっくにお前は俺が殺している」
「うっ...」
「母...親...?」
ま、まさかこのサニャさんもヒトカゲのヨーテルちゃんと同じ家族を...やっぱり、ダークライが居なくなった後でも動いてたんだ。だから事件前程じゃないけど行方不明事件が消えなかった.........。
「おっと、今の話はなかったことにしとけよお前。良いな?」
「わ、分かりました」
「さて、だいぶ無駄な時間を過ごしちまった。おい黒い奴、来い」
「いたたたっ!! やめ...てっ!! 耳を引っ張らな痛い痛い痛いっ!!!!」
「うるせぇっ!! 黙ってこっちに...来いっ!!!!」
「あがっ!」
足かせの重りでただでさえ重いのに、それを無視して私の両耳を掴んで無理やり引っ張る。味わったことの無い強烈な痛みに騒ぎ立てた所に耳の痛みが無くなり...っと思ったら身体の真横から強烈な衝撃に飛ばされて、私は本棚に叩きつけられた...。途端に私の意識は薄れるけれど、耳の付けの痛みとお腹の痛みに掠れる意識は保たれてしまう...こんなにも意識が無くなればと思ったのは初めての感覚.........。
「い...あ.........」
「ん、何だこんなもんか。あの事件を解決したからてっきり強いかと思ってたが...やはりクソか。そうなると行方不明のリファルが片付けた感じだろ?」
「うぐ...あ.........」
「口も聞けねえってか。ふんっ、連れて行く手間が省け...結構に重いなこの足かせ。これを付けて、尚且つこの身体の大きさでサニャの殴り飛ばしに関して反応して受けていた...ふふふ、面白ぇ。やはり実験材料としては最適だったか」
鉄球と足をつなぐ鎖を持ち上げて私は持ち上げられて、逆さまに吊るされたようになる。だけど急にその向きが変わって、ぼんやりと目を開けるとそこには私とサニャさんを殴った人物の顔...どうやら私はお姫様抱っこ状態で運ばれているらしかった。しかも足が痛くならないように片手で鉄球を持って、もう片手で私の身体を支えてるようで...もう何がなんだか私には分からなかった。
だけど、そう感じた途端に意識が何故か朧気になって、何か話してたようなきがするけど、それを聞く前に私は意識を手放した.........。