お纏め上手
Side シルク
「助かるわ。それじゃあ私は戻るから、何かあったらまた連絡するわ!」
『お気を付けて!』
この時代に訪れた来た早々に、まさか災害が起きるなんて全く思ってもなかったわ...。ともかく、今は他に倒壊した家が無いか、閉じ込められた人が居るか、行方不明は居るか、火事が無いか...かなり調べる必要があるのね。
レイエルとモルク君はダンジョンに行ってて音信不通だったけど、今さっき連絡が付いて今戻ってる途中。親方は私と一緒に情報の纏めを、食事などに使う大広間で纏め上げている。因みに二人から既に文章で情報はもらってて、最近になって凶暴化したポケモンが激減したというダンジョンに、調査と周囲の確認を行っていて、ラスト最深部で地震にあったみたい。
いつもならテレポートで戻るんだけど、遠出してるならついでに状況も調べようという事で調べてくてれるのよね...なんというか、助かるけど顔を見ないとなんか落ち着かない感じ。
「シルク、そこにあるペン取ってくれるか?」
「あっ、え...っと、コレよね?」
「ありがと、にしても流石だな。考古学者や学会でプレゼンしてたって聞いたが、まさにそれをやってる人の情報の纏め方で惚れ惚れする。誤解されないように言っておくが、褒めてるだけだからな」
「ふふ、言われなくても分かってるわよ。さてと、コッチの情報は纏め終えたけど...他に纏めるの残ってる?」
「い、いくら何でも早すぎないか? ちょっと見せてもらっても...」
「構わないわよ? 一応は図を入れてあるけど記憶ミスもあるから、間違ってたら指摘してくれると助かるわ」
そう言いながら私はA3用紙に纏めた情報が書かれた紙を親方に手渡して、見てもらった。そばに居たサーナイトも気になったようで、親方の左肩辺りから顔を出して覗き込んでいた。そうした時に親方の身体が一瞬だけ跳ねたけど、一応見なかった事にした方が良いのかしら?
「.........なる程。シルク、突然だが一つ頼まれてくれないか?」
「え、私に出来ることだったら構わないけど...その、内容についての感想は?」
「あー、感想か。ぶっちゃけ突っ込みどころもない凄い纏めだ。読んでいてこんなにも理解しやすくて、簡潔に纏められたのを見たこと無い...いや、訂正する。あの本の著者はシルクだったよな?」
「本って、もしかして"導かれし者達の軌跡"?」
「ああそうだ。サニャも読んで絶賛してたよな? っというか、お前は近付き過ぎる癖を直せ。さっきも急に来てビクッとなったじゃないか」
サニャさん、そう呼ばれたサーナイト、いや変身しているラティアスはクスクスと笑いながら親方から離れる。因みにラティアスがギルドの関係者として活動した前例は無く、私が師匠として教える立場で訪れたギルドが初。
なぜそうなったか分からないけれど、もう一つ疑問なのはサニャさんの年齢。普通は25才以上で、他のギルドでギルドマスターの称号を得ない限りギルドは開けないし、属す事が出来ない決まりがある。だけどサニャさんはまだ12歳くらいの子供で、ちょっと遊び盛りの年頃。それに生まれから声が出ない障害があって、テレパシーも不得意で意思疎通が難しい。
だけとサニャさんは親方、ルドオルさんの補佐として動いているから驚きなのよね...。
「はぁ...おっと、すまんな。ともかく内容に関してはお見事すぎた。疑ってしまってお詫びしきれない程だ...」
「全然構わないわよ。私的には読んでくれてた人が居た事に驚きと感謝があるから。ところで頼みたい事って?」
「ああ、頼みたいことと言うのはな.........いや、面倒だからド直球に言うぞ。シルク、副親方になる気はないか?」
「...え?」
え、その...聞き間違いよね?
ルドオルさんの口から副親方になる気はないかと言われた気がするんだけど...そ、そんなわけ...ない、わよね?
「...やはりド直球過ぎたか?」
「ど、ド直球の前になんと言いました? 副親方になる気はないかって...軽い冗談よね?」
私は聞き間違いじゃないか、確認を取ってみる。そうよね、まさかそんなわけ無いわよね...多分、纏め疲れて聞き間違えただけよね?
「...いや、今の言葉は忘れてくれ。取り敢えず、弟子から貰って残ってる情報をまとめ上げるぞ」
「え、ええ分かったわ。それじゃあ私はコッチを纏めるから、親方はこっちの情報をまとめるのを手伝ってくれるかしら?」
「分かった。そっちはかなりバラバラに情報が混在しているから気を付けてくれ。キツくなったら直ぐに言うんだぞ?」
「ええ、ありがと。でも大丈夫よ、このくらい量の方がやり甲斐あるから」
「そうか...って、お前はいい加減に離れろっての! こら、逃げるなぁー!!」