ポケットモンスターズファンタジー 彼女の願いと一つの宝石
小説トップ
Chapter IF
あり得たかもしれない時間軸 04A
Chapter 01
Scene  秘密
Side   シルク


「...なる程、じゃあ今アーシアちゃんはいつもの病院に行るのね?」

 風の噂でフィリアが働いている会社に来てみたら、なんとアーシアちゃんが森の洋館で対峙したバンギラスにやられて入院してたとフィリアから聞かされた。バンギラス...しかも話しを聞くと更に強くなってるそうで、近頃に八人近いレイドと言う形で討伐や調査を展開する準備をしているらしかった。
 その他にも危険な存在に対してもレイドを組めるようにしたり、また新たに現れたダンジョンに関してもレイドが出来るようにギルドの協定を変更中とも教えてくれた。
 簡単に出来るのか聞いてみれば、今のギルド形態はフィリアやリーフさん、ウィアちゃんとライト君である程度コントロールが可能だから出来るらしい。また情報はギアを介して提供可能な事と、またレイドに対応したギアのシステム拡張などと結構色々な事もしてるらしかった。

「そうね。実言うと私が退院の付き添いついでに少し説教したいのだけど、さっきも話した通りに忙しくて...変わりにシルクが行って貰えないかしら?」
「ええ、私がフィリアの代わりにアーシアちゃんをちょっと叱ってくるわ。まあ、実言うと私も無理しがちだから、あんまり強く言えないのが痛いところかしら...」
「あはは...私の喘息もまさにそうね.........」

 叱ってくると言いつつも、私も無茶をして大怪我してる事があって、どうもつっこめない感じが私の中であった。けどそれはフィリア自体も喘息が無茶させた結果と分かってるからか、私から少し目を反らしていた。

「あっ、ところでその喘息は大丈夫なの?」
「え、ええ。走ったり基本ダメで、階段の上り下りをし過ぎるとちょっと辛くなってくるくらいわね。だけど私生活で困る事は無いわ」
「なら良かったわ。取りあえず喘息の治療薬をどうにか作れないかやってみてるけど、まだ発作時の症状を押さえる事が出来る程の薬しか作れてないの。けど市販よりは効くでしょ?」
「そうね、圧倒的に。ねぇシルク、ホントに思うのだけど製薬会社をホントに作ったらどう? 作ったならばコッチが援護と言うか融資や広告も出来るようになるし、研究施設だってちゃんとしたの作れるのよ? なんで?」
「...願ったり叶ったりなのは確かよ。だけど私は今のポディション、フィリアや導かれし者達としての薬剤師を貫きたいの」

 そう、私はこのポディションを続ける。確かに自宅の研究部屋じゃ限界があるのは分かってるつもりだけど、研究施設を作ってまでやりたいとく無い...いや本当はやりたいけど、過去に戻れなくなるから手を出せないのが本音だったりする。

「そう、なのね。けど私はシルクのお陰で発作の恐怖から脅えずに済むのよ。だからその事に関してはお礼を言うわね。ありがと」
「な、なんか...まっすぐ目を見て言われると照れくさいわね///」
「シルクったら相変わらず褒められるの苦手ねーっ?」
「い、いや...何故かフィリアに言われると慣れないというか、何というか...///」

 ...いつからしら、フィリアからお礼を言われて照れ始めたのは。普通に話したりするのは問題無いし、フィリア以外にお礼を言われても照れ恥ずかしい感情は湧かないに。でも悪い気持ちでは無いし、寧ろ嬉しいというかなんというか.........///

「ふーん? まあ、いいわ。引き留めちゃって悪かったけれど、アーシアちゃんの事は頼んだわ。シルクが戻ってくる頃にはタスクも終わってるわ。それと、時間が有るなら今夜...夕食、どう?」
「夕食? 良いわよ? けど良い場所は知らないから場所は任せたわ」
「ええ、そのつもり。じゃあ楽しみにしてるわね」
「私も楽しみにしてるわ! あ、一応アーシアちゃんも追加で良い?」
「勿論よ。じゃあ三人で予約しておくわね!」

ーーーーー
Side アーシア


「...そうじゃな、この状態なら完全完治じゃろ。予定通り今日退院して良いぞ」
「そうですかぁ...ありがとう御座います!」

 いつものお世話になってるお医者さんから大丈夫と聞いて、私は安堵の声を漏らしてからお礼を言った。にしても私達に何かあった時はザールアさんに見て貰ってるけれど、なんだか凄い安心感というか貫禄というか、背中を預けたくなるような感じの人だと毎回に思っていた。

「ああそうそう。食事なども普通に戻しても問題無いのと、傷口もしっかり塞がっとるからお風呂も問題無いじゃろう」
「じゃあ普通に生活して良い、その解釈で大丈夫でしょうか?」
「そうじゃの。ただし、ダンジョンや戦闘したいならば後一週間は辛抱じゃ。塞がってるとはいえど傷は中々に深かったんじゃからな?」
「あはは...肝に銘じておきます.........」

 確かに少しからだの具合確認で浅いダンジョンに挑むつもりだったけれど、まさか見透かされてるなんて...。ま、まあ...一週間は辛抱と言うから、今週はちょっとゆっくり身体を動かして、来週から救助隊兼探検隊を再会しなきゃですね。

「ああそうそう忘れるところじゃった。退院の見舞いはシルクが来てくれるそうじゃよ。確か一番仲が良かった人じゃよな?」
「シルクさんが? あれ、元々はフィリアさんが迎えにしてくれる筈だったのですが」
「どうやらやる事が終わらんとか何とか言っておったな」
「そうなのですね」

 へぇ、シルクさんコッチの時代に戻ってきてたのですね。あとは久しく話してなかったのもあるけど、病室じゃ話せる人が居なくて会話が出来なかったから凄い楽しみ。けど、なんでまた無茶したのとか怒られそう...でも怒られて当然だよね...。

「取りあえず診断と伝えるべき事は伝えきった。それと、ココに定期検診以外にまた直ぐに戻ってくるんじゃないぞ? まあ仮にそうなってもワシは医者じゃから変わらず治療するわい」
「あはは...気を付けます.........」
「まあともかく、退院おめでとうじゃな」
「お、お世話になりましたザルーアさん。では失礼致します」

 なんだろう...やっぱり見透かされてるような気がする。まあ確かに何度も入退院を繰り返してたらそうもなるよね...。私はそんな事を考えながらザルーアさんにお礼を言って病室を出ていった。
 そしてその足で私はエレベーターホールを目指して歩き始める。理由は迎えに来ると言っても直ぐ来ないと思ってるからと、時間潰しに少し歩きたいなと思ったかったから。

「...あっ、よいしょっと。うん、普通に二本足で歩けるから大丈夫そう」

 ふと四足歩行じゃなくて二足歩行で歩けるか気になった私は、いつものように両前足を蹴って二本足で立ち上がった。そのままニンゲンの時のような感覚で後ろ足を交互に出してみると...特に問題無く歩くことが出来た。
 昔は簡単に出来てたし、走ろうと思えば遅いけど走れてた。だけど最近になって徐々に足の踏ん張りが弱くなったみたいで、走る事はまず出来なくなっていた。立ち上がったり、歩く程度ならまだ問題無いけれど、そのうち歩くことも出来なくなりそう...それだけはどうしても避けたい。
 理由は何故だか分からないけれど、二本足で歩く事を忘れると元の世界を忘れてしまうような恐怖感に狩られるから...なんでそう思うのかは全く分からない。
 けど段々に自分の心が元の世界じゃなくて、この世界が元から生きた世界なんだって錯覚する時がある。昔は全てが初めての分からない事だらけで、不安しかなかった私が、今では救助隊をやってポケモンのブラッキーとして普通に生活をしている。
 言うならば在り来たりと言うか、日頃の当たり前の生活が昔の生活を上書きされているような感覚。昔はこうだったじゃなくて、昔からそうだったと、そんな感覚...。それに関して気が付いた時は良いけど、その時は気が付かないで後から思い出した時の恐怖感は凄い。

『...お待たせしました。次は一階、北受付エントランスとなります』
「あ、無意識にボタン押して着いてた」

 エレベーターの音声で、私はいつの間に目的の一階に着いてた事に気が付く。そのまま扉の前に立って開くのを待って、開いたら真っ直ぐに売店方向に歩いていく。にしても見慣れた光景だけれど、元の世界と比べると少し声のトーンが大きかったり笑い声が稀に聞こえる時がある。声のトーンが大きいのはしょうがないのかなと思う事はあるけれど、流石に笑い声はどうなのとは思う。

「...あっ」

 色々考えてて忘れてたけれど、そう思えば連絡入れてなかった。そう思った私は辺りを見渡して座れる場所を探し始めた。すると丁度良く売店に近い待合い椅子を見つけて、その場所に向かって私は座り込んだ。
 その後に左腕に付けたギアでシルクさんに対してショートメッセージを送る為のアプリを起動する。内容は.........

ーーー
件名:退院許可が出ました

本文:
件名通りですが、無事に退院許可がでました。
久し振りなので今からでも色々と話したい事はありますが、会えるのを楽しみにしてますね!

それと着きましたら連絡して下さい。私からそっちに向かいます。
ーーー

 ...コレで良いかな、送信と。そしたら売店で何か買って、色んなところに連絡入れて、依頼やらどうなってるか確認しなきゃ。休止にしてたから氏名の依頼は無いはずだけどぉ.........うわ、二件来てる...後で見なきゃ。
 さて、売店になんか美味しそうなのあるかな。なんだか甘酸っぱいデザート系を食べたいのだけど.........。

「...ん、ナナシ果汁タップリのアイス?」

 ふとアイスコーナーでナナシの実がパッケージに描かれているアイスを見つけて、私は手に取って確認してみる。どうやら果汁が50%近く入ってるみたいで、更に大きさもそこそこにある棒アイスのようだった。そして確認が終わった私は、持ちっぱなしは不味いので一端置いてから他に何があるか確認してみた。
 他にあったのはグラボの実、カゴの実、モモンの実、チーゴの実、手に取ったナナシの実、オレンの実、オボンの実と、かなり色んな種類があるようだった。多分種類が多い理由は苦手な味を食べると、冷たい意味じゃない頭痛や混乱があるからだと思う。

「...やっぱり、コレで良いか」

 少し迷ったけれど、結局最初に手に取ったナナシ味のアイスにする事にした。他に何か買おうか考えたけれど、やっぱりいいやと思ってレジに並んでお会計を済ませ、また座れる場所を探した。

「...ん、同じ場所が開いてる」

 先ほど座った場所と同じ場所がまだ空いている事に気が付いて、私はまたその場所に行って座る。そして包装紙を破って中身を取り出して齧った。
 うん、美味しい。ちょっと酸っぱすぎるような気もするけれど...結構良かったかも。

「...あ、電話? 相手は...あ、シルクさんだ。もしもし?」
『ん、お久しぶりねアーシアちゃん。良く私が迎えに行くって分かったわね?』
「はい、ザルーアさんから教えて頂いたので。もしかしてもう着いた感じでしょうか?」
『ええ、テレポートステーション使ったから五分くらいで南メインエントランスに着くわ。因みに今日の気分で白衣は着てないけど、スカーフはいつも通り付けてるわ』
「了解です。では私もそちら向かいますね?」
『分かったわね。じゃあ売店入り口のところで待ち合わせで。じゃあまた後で』
「は、はい。 ...売店、ね」

 待ち合わせ場所を売店だって分かってれば買わなかったなぁ...ちゃんと待ち合わせ場所を書かなかった私のミスだけど。あ、取りあえず早く食べて向かわなきゃ.........。

ティア ( 2020/03/31(火) 22:20 )