ポケットモンスターズファンタジー 彼女の願いと一つの宝石











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Chapter 00
三年の穴
Side ???


 ...あの出来事からもう約三年か。生活には全く困らなくなっては居るが、アイツら...心配してんだろうな。あのラティオスには頃合いが来たら話してくれとは言ってあるが、やはり自分の口で言いたかった。だけどアイツら、ちゃんと元の世界に帰れたのだろうか。アイツなら転送装置くらいの一つや二つは簡単に作っちまいそうだが、元々の機械を弄ってどうにかしてそうだ。
 まあそんな事はともかく、どっから詳細を聞いたかは知らんが俺が拠点とする寝床に探検隊の二人組が居て、俺に気が付くと特殊技で攻撃をしてきた。だが恐怖からか威力があまりなく、二人の攻撃をバリアで防ぐなど容易すぎた。別に俺はこんな姿だが襲う気も無いし、戦う気も無いし、誰も居ないような秘境で静かに一生を終えたかったくらいだ。
 俺は攻撃を防ぎながらそんな事を思っていて、息切れして技が切れたところで、

「まさかこんなところに人が来るなんてな。この場所も移動か。中々に良かったのだがな...」
「ふぇっ? 貴方...喋れるの?」
「当たり前だと言いたい所だが、この姿で言うならば当たり前だったと言うべきか。安心しろ、俺は闇に囚われし者に見た目は似ているみたいだが、ちゃんと自我を持っている。まあ、寧ろ何故に自我を保てているのか分からん。 いや、そんな事よりもだ」
「っ! な、なんでしょ...?」
「怯えんな、別に襲う気は無い。まあ話しだが、救助隊か探検隊に所属していて今のランクが何処だか知らんが、恐怖で技の威力が落ちると突破口を開けなくなるぞ。お前ら、遠慮無しにもう一度俺に対して攻撃してみろ。流石に恐怖は和らいだだろ?」
「は、はい...」
「...若干まだあるような気もしますが、行けます」
「よし、本当に手加減無しの全力で来い。あの時のように見定めてやる」
「あ、あの時とは?」
「いや、気にすんな。タイミングはいつでもいい、来い」

 そう言って俺は少し離れると、少し躊躇後に二人は覚悟を決めた様に俺の事を見た。それにしてもピカチュウとツタージャか...中々に変わったチームだ。あの時のチームもブラッキー、シキジカ、マリル、そしてリーフィアのチームで変だったが。
 それは良いとして、俺は全く何をやっているんだ。第一に教えていた癖がまだ抜けきってないとは流石にビックリだ。コレもアイツらと関わったから芽生えた感情か、放っておけないってな。にしても、こんなの聞かれたらフィ...

「行くわよエルン! グラスミキサー!」
「はい! 電気ショック」
「おっと、来たか...」

 考えた事を俺は引っ込めて動ける準備を...さっきはちゃんと見れなかったが、お手並み拝見だ。どれだけの力を持っているか分からんが、最初は控えめで動くとしよう。
 まず最初の攻撃はピカチュウ、エレンの電気ショックか。速度は中々に早いし、中々にコントロールが巧みそうだが威力があんまり無さそうだ。牽制には使えるかもしれないが、それ以外に用途は無さそうだ。
 次にツタージャのグラスミキサーか、初めて聞く技だ。自身を中心に葉っぱの竜巻を生成して、その竜巻から高速で鋭くて早い葉っぱを飛ばす遠距離攻撃か。エレン同じく早いのは同じようだが、コントロールに難ありか。威力はどんなもんか...

「守る」
「...えっ?」

 俺は立ち止まって、敢えてグラスミキサーに当たりに行く。その行動に驚いた顔をしながらも技を止めない辺り、それはいい事だ。それは良いとして、技の威力は結構あるな...あまり受け過ぎると簡単に砕けっちまいそうだ。
 にしても、コイツらは調整が出来ればかなり強くなりそうだ。穴はあるが、二人でそれを穴埋め出来る力があって、将来有望の原石と言ったところか...やり甲斐がある。

「終わりだ。お前たちの足りない事、やるべき事、何がいけないか分かった」
「え...も、もうですか? まだ戦って一分も経ってないと思うのですが...」
「一分程もあれば相手の力なんて見分けるのは容易い。コレでも一ヶ月間でへなちょこから、苦戦する程まで鍛え上げた事があるからな。もしかしたら知ってるかもしれないが...DM事件を解決したアイツ達だ」
「DM事件って...まさか、ニュースにもなったあれ? 確か、新聞ではあんまり詳細に書かれなかったけど、ギルドの情報では色々あったって...」
「ああそうだ、まさかアルトマーレに本部があったなんて今となってはビックリ事だが。そうそう、名乗ってなかったが...元はフィリアと言うグレイシアと共に、ナルトシティのギルドに所属していたリファルだ。ギルドに所属しているなら、分かんだろ?」
「リファルさんって...え、えぇぇぇぇ!!?」
「こ、声が大きい! ま、まぁ...今はこんな姿になっちまった訳だが、見られて襲ってくる辺りリファル本人とは分からないのか。少しばかり良い事を仕入れた感じだ」

 俺は反応に、嘘を付いていないと思ってそう理解した。分からないのは嬉しい事だが、反対に悲しくなってくる...アルトマーレからラティオスの力を借りて移動する前から予測していた事だがな。まぁその事は良いとして、どれだけ俺の姿が変わっちまったんだ?
 自分で見ても麻痺しちまって凄い変わったと思えない。なら久々に話せた相手だ、色々と聞かせてもらおうじゃないか。

「質問が幾つか有るんだが...聞いてもいいか?」
「は、はいどうぞ。答えられる事でしたらお答えします」
「アタシもね。ただし変な事を聞いたらただじゃすまないわよ」
「聞いてどうするだっての。それはともかく、二人から見た俺の姿のイメージ言ってくれないか?」
「え、えぇっと...」
「イメージ...ですか......」
「ん、どうした? 別にバケモンと言ってくれても全然構わん」

 そう言うと二人は顔を見合わせてながら「ちょっと待ってて下さい」と言いながら紙とペンを取り出した。ほう、アナログにメモ帳か...ギルドに所属した全員に配布されるCギアにはメモ帳も付いているのにも関わらず、か。確かフィリアもデジタルを嫌ってアナログでメモしてたな...俺は出すのが面倒でデジタル使って、よくフィリアに睨まれてたな...懐かしい。
 フィリア...ラティオスに伝言を任せたと言え、日付感覚が正しければ三年ほど音信不通になってる訳で、マコトやアーシア達にもちゃんとお礼も言えなかった。多分、見送りもできなかっただろうし、スイレンの父親も救えなかったのも悔やみどころだ。
 だが二人が描く姿の結果次第で、たぶん協力して貰う事にはなるが、人里離れたこの場所からの三年ぶりに街を眺める事が出来るかもしれん。運が良ければフィリアとも...。

「...たぶん、これで良いわよね?」
「うん、ちゃんと描けてる筈...リファルさん、描けました」
「ありがと、すまんな...描いて貰うなんて全く思ってなかった」
「口で言うより、絵の方が分かりやすいと思ったので」
「自身は無いけど、ちゃんと描けてると思うわ。はい」
「.........なる程、色の詳細まで書き込んでくれたか。分かりやすくて助かった。これを見て、もう一つだけ願いを言っていいか?」
「はい、なんで...メルカ?」
「エルン、ちょっと。リファルさん、ちょっとだけ時間を貰うわよ」
「ああ別に構わん。待ったりするのは慣れてる」
「そう、直ぐに終わるから...待ってて。エルン、耳を貸して」
「う、うん」

 少し奥まったところまで移動して内緒話しをしながらCかギアを弄ってんな...そんなに聞かれたり、見られちゃまずいことか?
 それとも、俺の事を怪しい奴と思っているか...確かにそう思うのは分かる。身分を証明出来る物があれば良いのだが、そんな物は既に無い。にしても長いな...そんなに話す事あったか?

「...そうね。えっと、リファルさんおまたせ」
「お、意外と早かったな。内容は聞かんが...こっちから聞く前にそっちから言う事あるか? 相談していたのを見ると、何か言いたそうだが」
「...では、失礼します。さっき自分はリファルと言いましたが、何か証明を出来る物はありますか?」
「そう来たか...すまん、手元にはそんなものは無い。無いが、DM事件の事を知ってる限り全て話す事は出来る。なんたって当事者だからな」
「...じゃあ、私達と来て貰えますか? 私達のギルド、エルドシティのギルドへ」
「エルドシティ? タウンの間違いじゃなく?」
「つい二年前ほどにナルトシティから電車が通った事によって、大幅な土地開拓でシティになったのです。それはともかく、来て下さりますか?」
「ああ、外を見れるのは願ったりだ。もう三年は街の姿を見てないからな...」
「分かりました...なら手を頂いても宜しいですか?」
「ああ、構わん。テレポートか...所属している時は中々にお世話になったもんだが」
「...話は後で色々聞かさせてもらうわ。エレン、頼んだわよ」
「はい...テレポート! エルドシティのギルドへ!」

 そう声を上げると、昔と同じような感覚...身体が軽くなったような感覚を感じて、目の前の色が白黒に染まった。数秒ほどして目を開けると、そこにはコンクリート作りの建物が目に入った。ゲートには"エルドシティのギルドと書かれていて、俺が居たナルトシティのギルドに比べて作りはかなり古風だった。他のギルドを見る事も立ち寄る事も無かったのだが、大体のギルドは自然を活かしたり、古めかしい感じなのかも知れん。
 それは良いとして、昔のエルドシティは自然が多く、特にギルド付近は森だった筈。それに場所も山側ではなく、もっと南の森側で、街のシンボルと言えるタワーの根本近くにギルドがあった筈だ。

「なあ、ココってホントにギルドか? 前はタワーの根本近くだった筈だが」
「その事だけど、街開拓の際にココへ移されたのよ。昔のギルドは街の警備に当たる人達に受け渡して、私達はメインだった警備の事が無くなって、救助隊や調査隊をメインに動けるようになったのよ」
「ほう、そっちのギルドはそんな事をやっていたのか」
「中々に大変でしたね...夜中の警備の時とか特に。眠たくて、日中に行動が出来なくなってしまいますから...」
「た、大変だったんだな...」
「その分、中々に稼ぎは良かったわね。さてと、親方を呼んで来るから、エルン任せたわよ」
「う、うん」
「色々と手間を掛けてすまないな...宜しく頼む」
「別に良いわよ、じゃ」

 そう言ってメルカは建物の中に入ってた。待っている間にエレンは三年間の間に何か変わった事を話してくれ、コッチからも質問したりしていた。三年くらいじゃ何も変わらないだろうとは思っていたが、リームメイカーズが無くなった事による影響がかなり大きい事に驚かさせれた。
 コレは動けるようになったら情報を仕入れないといけないな...このまま二人のお世話になりながら訓練をしても良いとは思うが、果たしてそれが対価として釣り合うかどうかだ。それと、最終的な目標はこの二人を強く育て上げる事、やはりフィリアとまた会うって話たり行動する事だ.........。

ティア ( 2017/02/28(火) 16:31 )