小狐の記憶
小狐の記憶
Side ???
「...ねぇ、ココが例の建物? 見た目が凄い事になってるし、行きたくないんだけど...」
「いえ、間違いないです。まさか三年前の建物を再調査する事になるとは...確かにあんまり調べきれなかったのは確かですけれど」
「その時は私が居たもんね。あの時は左も右も分からなかった時だったっけ? なんだか遠い思い出のような...昨日の思い出みたいなような.........」
目を瞑ってその時の事を思い出し始めた。私は最初、外壁や中庭が草や蔦で伸び放題な建物内の一室で目覚めて、大体二週間ほど監禁...人気が全く無かったから意味は違う気がするけど、とにかく閉じ込められてたのは確か。そんな事はともかく私は、今は無きドリームメイカーズの研究施設だった建物内の一室に閉じ込められ、一日二回の水分が抜けきってバサボソなパン、粗末なパイプベッドで眠り、机の中に入っていたノートに鉛筆で記録をしながら過ごしてた。
「ホノン? どうしたの?」
「もしかして...思い出させてしまいましたか?」
「んー、思い出していたは居たけど、特にネガティブになる事も無かったし、単純に懐かしいなって思ってたってた。心配ありがとね」
「そうですか、そう言うなら大丈夫ですね。ですが、何かあったらすぐに言って下さいね?」
「そうよ。また倒れちゃ心配で気が気でないし」
「そんなに心配しなくても大丈夫。今はこんな感じに...っと、こんな感じで全く問題無いよ?」
私は二人を納得と言うか落ち着かせる意味も込めて、その場でバク転をして見せた。最後の着地で踏ん張りが足りなくフラッとして尻尾で耐えたけど、どうやら二人はその事に気が付かなかったみたい。そもそもに、なんで急に身体が動かなくなってきちゃったんだろ。
最初に起きた異変は三年前のあの時...DM事件が解決してから少し経った頃、突然に身体が重くなって倒れ込んだ。お医者さんからは単なる疲労と言われて、確かに覚えがあったから従って、少しの治療を施して貰ってから退院をした。そこから約二年間は全く不調が無く、倒れた事も忘れかけた矢先...私とエルンにメルカで最近に規模が膨れ上がったダンジョンの調査として入り込もうとした瞬間、前足に力が入らなくなって地面に崩れ落ちた。最初は訳が分からなくて「なんで、どうして...」と、力が入らない両前足に対して力を入れ続けていた。
それから私は二人に運ばれて、今度はギルド近くじゃなくてナルトシティにある中央病院に入院して精密検査を受ける事に。そしてコレは受けた時のお医者さんに言われた事だけど、
「...ん? 君、左前足にある模様って...」
「コレですか? 気が付いた時には%のような形をした模様が付いてたんです」
「...前にも似たような模様の事を言っていた患者が来ましてね、その人の名前はライト。聞き覚えは?」
「ライト...それって二年前にDM事件を解決したって言う無名チームの事です? 確か新聞の一大記事になってたり、ラジオで見たり聞いていたりくらいなので、詳細は良く知らないですが...」
その時にはギルドには入っていなくて、行く宛も何処も無くて、自身の記憶を全て覚えて無かったから、エルンとメルカが住む家で家事をしたり、疲れて帰ってくる二人に向けて夜ご飯を作ったりしながら過ごしている時だった。ちなみに何もしなくても大丈夫とは言われていたけれど、やっぱり住まわして貰ってるならば何かしなきゃと始めた事。その他に一応無理しない程度で付近を散歩したり、町の探索してみたり、ちょっとずつ無くなった記憶を取り戻そうとしたり、色々したけれど結局変わらず。幸いにも文字も書けたし読めたしで、近場の図書館で家事を終えた後に読書で情報を仕入れてたりしていた。
だから一応は情報を持っていたけれど...お医者さんから言われた一言は、私を驚かせるだけじゃなくて、私がこの世界の住民だったと思っていた事を否定する事に。その言葉は今でも鮮明に覚えていて、
「...落ち着いて聞いて下さい。単刀直入で言いますが、貴方は二年前にあったDM事件の解決チームと同じ人達なんですよ」
「...ちょ、ちょっと待って下さい先生! けどあの人達は他世界から来た人間と言う、二千年から三千年代に生きていた生物で、今から五千年も前の事ですよ!?」
「落ち着いて下さいホノンさん。調べていたとは少々コチラも驚きましたが、私が話した事は真実です。間違った事でも、ジョークでもありません」
「...あの、その彼、彼女?は一体どこに?」
「ライトさんは、ちょど良い具合に一週間後程に定期検診で私のところに訪れます。が、何時でも良いとは知らされているので、呼ぶ事も可能ですよ」
「...なら、今日にお願い出来ますか?」
「はい、そう来るかと思いまして予めに連絡を入れておきました。ちょっとメールを一通失礼しますね.........はい、伝えておきました。多分すぐにレスポンスが...って、もう来ました。 では少々付いて来て下さい。お仲間二人を呼んで」
「は、はい...」
私は自分の正体が分かって嬉しいと共に、怖さと緊張に押し殺されそうな顔を押し殺して、二人を呼びに行き、真実をテレビ通話越しに聞くこととなった.........
ー後書きー
ども、ココでちょっと重要な人物を出しておきます。本当はどのタイミングでも良かったのですが、やっとかないと忘れsゲフンゲフン、ともかく出しておきました。
なに、詳細?エルンとかメルカとか誰だって?
そのうちプロフィ出すので、その時に。