やらなきゃ - 前編
Side モルク
「もう...あの時のような私達じゃない! 行きますよっ!!」
「言われなくてもそのつもりだよ! レイ、行くよっ!!」
久し振りの強い相手...やっぱり不安はあるけれど、前みたいな事にはならないよ!
まず僕はアーシアが走り込んだと同時くらいでレイに対して電撃を飛ばした...までは良かったけど、その行動にシードさんが驚いて防ごうとした。うん、言っておけば良かったかな...。因みに端から見れば中間に攻撃したように見えるけれど、そうしたのに理由があるし、ちゃんとキャッチしてくれることを分かってやってる。どちらにせよ、後でシードさんに説明しておかないとね...。
「先手行きますね! スピードスターからの...シャドーボール!」
アーシアはバンギラスとの距離を一気に詰めて、残り二メートルくらいでバックステップしながらスピードスターを放って、着地後にシャドーボールを立ち上がりながら放った。流石だよーシア、技の流れがあんなにもスムーズだなんて...でも、そんな数年で慣れちゃうものかな。元の歳は知らないないけれど、明らかに生まれて人間だった方が長いはずなのに...。
そんな事を思いながら、僕は右手に電気を集めて槍のようなものを作って、それをアーシアの攻撃で若干怯んでいるバンギラスに対して投げ込んだ。でも当たる直前で怯みから復活しちゃって、電撃の槍は身体スレスレで避けた。その後に反撃でバンギラスが攻撃をしようと腕を振り回してきたけれど、レイがサイコキネシスで僕の体を引っ張ってくれたお陰で回避、助かったよレイ...。
「ほっとに、モルクはハラハラさせるの得意ね。エレキショット!」
「しょ、しょうがないでしょ! っというかそれ今に言うことじゃないじゃん! っとと、カミナリ!」
「言い争うなら後でお願いします...変身! からの...冷凍ビーム!!」
僕がさっき放った電撃を、レイはサイコキネシスで分裂させてバンギラスに放った。元々はシャドーボールでやっていた事を、他のタイプに応用して扱えるようにしたもので、技のヒントはシルクから教わったみたい。ちなみに技は複合となるらしくて、今だとカミナリにサイコキネシスだからエスパータイプだった筈。まあそれはともかく、レイの皮肉にちょっとイラッとしながらも、さっきと同じように右手に電気を集めて、溜まったと感じた瞬間に振り下ろした。けど、これも避けられた...うーん、ちょっと遅いのかな?
そんな事を思いながら後ろに飛び退くと、丁度まさに僕が居た場所を青白い光が通過し、バンギラスの左足を直撃して凍結させた。凍結したって事は冷凍ビームだけど...今この場に冷凍ビーム使える人なんて居たっけ?
記憶上、確か使える人は...フィリアさんしか居なかったはず。でも僕の後ろに居たのはミュウさんで、フィリアさんの姿は無いから...ミュウさんって事かな。
「コレで少しは止まってくれれば良いけど...って、やっぱり無理ですね。ところでシード、貴方は何してるのですか?」
「あ、いや...思った以上にみんな強いから、僕が出たら邪魔になっちゃうかなって...。それに、技だってサイコキネシスとリーフストームくらいしか攻撃技が無いし...」
「サイコキネシス使えるなら色々出来るわよ。身の回りの石を高速で飛ばしたり、葉っぱを使って疑似マジカルリーフ、コレは難しいけど砂を操って目くらましとか結構...シャドーボール! 結構、色々と出来るもんよ? それにリーフストームって中々の威力あったはずよ?」
「...っとと。シードさん、心配しなくても私とミュウさんとの三人で戦ってる時、結構に強かったですよ? だから、自信を持とっ?」
「っ!?/// ...そ、そうですね。僕、間違ってました。出来る出来ないの問題じゃない。やらなきゃなんだ.........リーフストーム!!」
「その粋です! 電光石火!!」
「それなら...追い風!」
リーフストームと電光石火で加速しているところに、追い風で更にスピードにプラス効果。するとアーシアはいつもより足へ走り込みアイアンテールを決めて、よろけたところにシードさんのリーフストームが直撃。そしてぼくはそれを見届ける前にさっきは外した電撃の槍を投げ飛ばして、それと同時タイミングにレイのシャドーボールがバンギラスを捉えた。
立て続けの攻撃で流石に耐えきれなくて、片膝を立てたけれど...逆に言うとまだ立てるだね、こいつ。やっぱりこいつはバケモンだよ...。
「ここまでダメージ与えても倒れないなんて...このバンギラスって一体何者なの...」
「確実にあの時よりはタフになってるわね...まっまく、こんなに強くなられちゃあの時より変わったか変わってないかなんか分からないじゃない。まあそれよりも、挑んだは良いけど...この状況はどうするのよ?」