メインプロローグ
波動の誓い
〜〜〜〜前書き〜〜〜〜〜

 リオとライアンが王国を出発するまでのお話...だったのですが、以外と幅広く書いてしまったので全体プロローグのようになってます(妄想の暴走って怖い;)。

〜〜〜〜〜本編〜〜〜〜〜

 ココはとある諸島にある、四つからなる国の一つ...世界の東側にあるマルダン国。この国では数年前に発生した病原菌によって人口の半数以上が死んでしまった。政府が全力で探し回っても、書物を読んでも全く不明の症状...。


 感染した者はまず、初期症状として息が上がりやすくなる。痛みや痒みが無くて喘息にそっくりな為、この初期症状で判断することは難しい。
 第二段階は体のだるさで、朝起きる時や座りっぱなしの後に立ち上がることに軽く抵抗が出始める。
 第三段階...胸を締め付けるような息苦しさ。この状態になって謎の病原菌に犯されていたと判断が付く。ただこの病気は不明の病原体の為、治療法はない...。
 そして最終段階...苦しむこともなく、意識が途切れたように、突然の心臓停止で死んでしまう...。しかもこれは朝に多く、寝てると思ったら死んでいたなどが非常に多い...。

 リオは単独で、何度も原因を突き止めようとしているが、文字通りやっぱり詳細不明。書物には載ってない、前例がない、分かることは感染した場合に致死率100%の事。
 そして最終的には、分からないのだったら自分が感染してしまえばいいと思って、治療している場所へマスクせずに視察する暴挙に出た。が、当然そんなことをすれば全力で医者に止めさせられるわけで、まさかの国王なのに病院長に起こられる始末...けど分かったことは、上に加えて人から人の感染も無いこと。現に、担当している医者全員が誰も感染していなかったからだった。寧ろ、この視察のお陰で一時的な対処法が見つかった訳でもある。
 何故ならこの医者達...外に出ずにずっと患者と向き合っているから。もし人から人の感染がある場合、既に感染してしまうだろうからだ。


 そして、その事が分かってから一ヶ月後...一番好ましくない事が一通の手紙で届く。その内容はお隣にある、昔から交流が盛んであるルシアン帝国の王女からの手紙だった。
 が、リオはその手紙を受け取る前から凄く嫌な予感がした。何故なら手紙はシワだらけの庶民が使うような下級品の封筒に入れられていて、持ってきたフライゴンのリュッカが息を切らしながら、慌てて持ってきたからだった。

「リオ国王...様...フォルテ王女様...はぁはぁ...からの緊急の...はぁはぁ...お手紙...です......」
「そ、そんなに急いで何があった? とりあえず落ち着け、深呼吸していいぞ...」
「すみません...はぁはぁ...すぅー...はぁー......。 も、もう、大丈夫です...こ、こちらになります」
「...な、なぜこの封筒なんだ?」
「内容を読んで下されば分かることですが...それと、しっかり王女の手形判子もなされて、直接私が受け取っていますので...」
「いや、疑っているわけじゃないぞリュッカ。そう思わせたならすまなかった。 ...そうだな、この字は彼女の物だ。相当慌ててる字...だ...が.....」
 手紙を取り出し、話しながら中の文字をザくっと斜め読みで読んでいくと、その嫌な予感は見事に的中してしまった...。



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 こんな粗末なお手紙で連絡をするのをどうかお許し下さい。なにせ、この事を早くリオ国王様に伝えたかったので...。

 二つほどお話がありますが、最初にこの話を持ち出すと次を読まないと思いますので、最初に書かせてもらいます。
 では一つ目、ハターナ王国の王女であるグラシウスさんの事ですが、東側勢力が最近急激に増加傾向で、グラシウスさんが居る西側勢力が押されつつあります。何とか退散出来た部隊の話しを聞いたところ、どうやら詳細不明の武器なような物を使って攻撃してきたと。形は筒型で、小さな丸い鉄球をその筒に詰め、爆発でその鉄球をとばして攻撃する遠距離武器...私達はその武器のことを『鉄と砲丸の砲を組み合わせた文字...鉄砲と書いてテッポウ』と呼ぶことにしました。
 ともかく、東側がそんな技術を持っているとは考えにくく、予測ではアタワ王国が絡んでるとグラシウスさんと考えの一致をしました。その予測が本当か現在調査中ですが、分かりましたらもう一度お手紙をお送りいたします。

 では、本題です。現在マルダン王国に蔓な延している伝染病の事ですが...ルシアン帝国でも流行り始めていたことが今さっき判明いたしました。どうやら一ヶ月前ほどから死者が出ていたようなのです。もし、少しでも対処法がお分かりなら折り返しお手紙をお送り頂けないでしょうか?
 度重なる粗末で申し訳ないですが、リュッカには折り返し用の手紙と封筒を渡してあります。
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「...ルシアン帝国にも蔓延...だと!? くそっ!!」
「つ、付け足しで申し訳ありませんが...感染ルートは不明だそうです...」
「やはり...か......。 実はまだコッチも掴めて居なくて、治療している場所へマスク無しで視察してみたのだが、人から人への感染は無いようだ」
「また自分の身体を心配しない無理な調べ方をしていらっしゃるのですね...早く何とかしたいのは分かりますが、王である貴方様が倒れてしまったら......」
「ああ...分かっては居る...。 でも早く根絶させたいのだ...」
 拳を強く握りしめながら、バルコニーから眼下に広がる町をみる。色んな人達が動き、話し、走り、食べ、畑仕事をし、商売し...ココで皆は生きているのだ。笑っていたりするが、心の奥底では病原菌の事を気にして要るはずだ。既に家族を奪われた者も要る...その人達の死が無駄にならぬように早く。

「...リュッカ、陸での移動だとルシアン帝国までどのくらい掛かる?」
「へっ!? え、えーっと...走らずに普通に歩いて向かった場合は一週間程かと...すみません、詳しくは分かりません......」
「いや、別にいいぞ。 たった今、ルシアン帝国に行くと決めたが、用意するからどのくらい必要か計算したかっただけだ」
「ルシアン帝国にいらっしゃらるのですか!? な、なら私を使えば一日でお運びしますが...」
「何を言っている。リュッカ、おまえは女の子だろう。私を乗せて運ぶという大変な事をさせられるか。 それに、移動はライアンが居るから十分だ」
「し、しかし陸路は...」
「確かに危険だろうな。だが、空は更に危険だ。もし空中で襲われたらどうする?私を乗せているから自慢の動きが封じられ、速度も出せなく、満足に戦えない。それに私の遠距離攻撃は波動弾のみだ。複数に囲まれたら明らかにコッチの分が悪い。 あと、絶対そんなことさせないが、もしお前が死んだ場合、俺はなんとフォルテ王女に報告すればいい...伝えた場合、小さな彼女の心じゃ耐えられないぞ? ...小さい頃からずっと一緒に過ごしているなら、彼女の事は分かるだろ?」
 リュッカはフォルテ王女が生まれてからお世話係としてずっと一緒に過ごしてきた。因みに私の側近であるウィンディーのライアンも取りあえず同じ感じだ。私がリオルで、ライアンが同じくお世話係としてよく遊んでもらってた...懐かしい......。

「リオ国王様?」
「...ん、おっとすまんな。ちょっと過去の事を思い出しててな。 まあ、ともかくそう言うことだから、たぶん三日後にそちらに出向くと伝えといてくれ」
「...分かりました。 あの、行き方は...大丈夫でしょうか?」
「前に行ったことがあるから問題無しだ。 ...そんなに心配するなら、その事を伝えて戻ってくるまで待ってるが... まず、何そんなに心配している?」
「...実は、ココへ訪れる途中で所属不明の武装している者達が練り歩いていたのです。人数は...約200人前後かと思われます。 そして歩いていた方角的にはアタワ王国...何をしていたのか、分からないですし......」
「前にも報告あった不明軍団か...分かった、リュッカが戻るまでに準備を整えとく。三日後にまた来れるか?」
「はい、そのくらいあれば全く問題は」
「決まりだな。 じゃあよろしく頼ん...ちょっと待っててくれ。一応折り返しの手紙を書いておくからな」
 そう言ってリオは質素な机の上に置いてある筆を取ると、立ったまま折り返し用の紙にサラサラと返しの言葉を書き始める。
 そして、その後ろ姿をチラチラと横目で見ながら、書き終わりを羽の手入れをしながら気長に待つリュッカだった...。


〜〜〜〜〜☆〜〜〜〜〜


 それからしばらくして、リオが書いた手紙はリュッカに託され、無くさぬようにしっかりバックに入れた。
 お邪魔しましたと深いお辞儀と笑顔を見せながら城を飛びさり、リオは見えなくなるまで見届けた。そして見えなくなると、部屋を出てとある人物の部屋へと向かう。先ほど話しにも出ていたライアンのところだ。

 因みにもともとライアンは城の者ではなく、ただの農民であった。けど、とある日にまだやんちゃ盛りの年頃であるリオが、城以外の世界を見たくて抜け出してきたのだ。そこでたまたま畑仕事をしていたライアンと出会い、城では体験出来ない事、聞くことがない事、色んな事を教えてもらって、気が付いたらほぼ毎日出向いては畑仕事を一緒にやったり薪割りしたり、長いこと時間を過ごしていた。
 それが一週間ほど続いた頃に、とうとう脱走がバレて城の使いが探す事となった。結果、城から数キロも離れてない場所だった為にあっさりと見つけられ、役員は嫌がるリオを連れ戻そうとした。が、事情の知らないライアンにとっては、役人の者が無理矢理子供を連れていこうとしているとしか見えなく、十人相手に戦いを挑んで、リオと見事な連携で追い払ってハイタッチで喜んだ。
 
 そして、傷の消毒を家出していると一人の者が訪ねてきたのだが...その者はマルダン国民なら誰でも知っている人物であった、戦闘隊長のゴウカザルだった。
 ただの、普通の農民であるライアンにそのような人がいきなりの訪問で、固まってしまったが、直後に先ほど追い払った者が外に見えて全て理解し、大変なことをしてしまったと気が付くこととなる。
 どんな大きな罰を受けるのか...まず何を言われるか、身体を少々震えながら待つと、全く思ってなかったことを言われたのである。

 それが『いきなりで申し訳ないが、そのお力でリト王子と共に一緒にコレからも居てはくれまいか?』だった。リオは今でも覚えている、その時の空気を、感覚を、そしてライアンと共にコレからも一緒に居ることのできる喜びの感情を。最終的に押さえられなくて飛びついて、戦闘隊長が凄く笑ってた。

 ともかく、そんな事があってライアンは今は城の役員である。でも、そこから変わったことがちょっとある。


「...おーい、ライアン居るか?」
 そう、呼び方だ。最初はさん付けで読んでいたが、いつの間にかに呼び捨てになっていた。
 そして、「あ、リオ様! ちょっと待ってて下さい今開けますので!」っと、ライアンが呼び捨てではなくて様付けになった事だけだ。実質これ以外に変わった事は無い。

「すまんな、何かもしかしてやってたか?」
「ちょっと部屋の掃除をしていたら懐かしい物を見つけまして」
「そうか。いったい何を見つけたんだ?」
「ココに付くときに書いた契約書です。今思えば、あの事が無ければ今私はこの場に居ないのですよね...今更ですが、なぜ王子だと言うことを隠していたのですか?」
「その実感が無かったからな...っというか、ライアンも昔を思い出していたとはな。私も今さっき思い出していたところだ」
「そうなのですか。 あ、ところで何か用があったのではないですか?」
「おっと忘れるところだった。 三日後にルシアン帝国に行くぞ。どうやらそっちでも伝染病の死者が出ていたようでな...あと、その他情報交換だ。リュッカに乗ってくれと言われたんだが、どうやらまた不明軍団が居たようで、上空からの援護観察と案内を頼んである」
「ルシアン帝国にですか...感染ルートはやはり不明なのですか?」
「みたいだ。 あとは、ハターナ王国の東側勢力がよく分からない遠距離攻撃武器を使っていて、その武器の製造がどうやらアタワ王国が関係しているらしい。確か鉄の玉を飛ばして攻撃するって書いてあったな」
「そんな武器が...。 だとしたら西側勢力がさらに押されてしまうのでは...」
「だろうな。現状はルシアン帝国軍隊の援護によってどうにかなってるが、じりじり押されてるから時間の問題だろう。こちらも援助したいが...やってしまうと更に辛い暮らしを国民に与えてしまうからな...でも、最初は自国の伝染病根絶が先だ。自国をどうにか出来ないのに、他国を助ける事なんて絶対出来るわけ無いよな?」
 頭を掻きながらリオはライアンにそう問う。すると眉をつり上げて困ったような、顔でリオを見る。どうやら迷っていたようだが、長い間を置いて「...ですね」と一言だけ返した。でも、その答え方に疑問符は浮かばなかった。それはライアンはとても他人思いで、困っている人が居たら絶対見逃せない優しい人をルカは知っていたからである。

「...回答に困る質問して悪かった。 さて、なんかだいぶ本題が遠回りしてしまったが...三日後にルシアン帝国にリュッカと共にルシアン帝国に行くと言ったが、もしかしたらそのまま伝染病の事を調べるために少々旅をするかもしれん。護衛は連れていかない。俺たち二人でだ」
「そうですか。旅を二人で...ふ、二人だけですか!? それじゃもし襲われた時はどうするんですかっ!?」
「あー、よくある旅人の格好をしていれば別に問題無いだろう? それと、旅をしている間は私のことを様で呼ばないことと、敬語禁止だ」
「い、いきなりそのような事を言われましても...」
「なーに、過去みたいな呼び方でも良いぞ? こっちがライアンさんとかな?」
 ニコッとイタズラする前の子供のような笑顔をライアンに向ける。確実に反応を見て楽しんでるとライアンはすぐに理解した。
 そして間が空いて、ため息を吐きながら...

「...分かった。改めてよろしく頼むリオさ...リオ......」
「それで言い。取りあえず用件はそれだけだ。 あ、そうそう!出来れば荷物はライアンが用意してくれ。必要な物は何となく分かるが、やはりライアンの方が詳しいだろうから頼んだぞ!」
 部屋から出たと思いきや、ドアからひょこっと顔だけ出して付け足しをして出て行った。けど、その事よりも『必要な物が何となく分かる』は、食べ物や飲み物しか考えていないはずであるし、旅には色んな事があることをリオはまず知らないことだ。
 だから

「しっかり自分が守らなきゃ。お世話係...いや、自分の息子と思いながら必ず......」

 と、口に出しながら三日後に控える旅の支度を始めるのであった......

〜〜〜〜〜後書き〜〜〜〜〜

 ココまでお読みになってくれてありがとうございます。いやー...実はちゃんと構築したプロットがあって、四千字あたりで終わる予定だったのですが、まさかのオールスルーして書き上げちゃいました(
 しかも、旅立ちの準備で終わってるという...これはもう一つ書いて終わりかな?

 さて恒例の前書きは置いといて、この作品の元主の事をちょろっと。
 実はこの作品はアランさんがゲーム化企画作品?として執筆しようとしていたコラボ小説だったのですが、色々あって止めた?のだったのかな(本気で分かりません;)。
 ともかく設定があって、尚且つ登場キャラがこの子達と簡単にキャラクター像が決まってるのに止めるのは勿体ないような気がしてしまって、気が付いたら設定を濃くして、こんな感じになってました(白目)。



 えっと...終わり!(笑)
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ティア ( 2015/11/06(金) 22:29 )