M_05 真実と絆の英雄
「はぁはぁ・・・な、なんなよこのダンジョン・・・幾ら何でも敵が多すぎる・・・・・・。こ、こんなに疲労しちゃったら、現れた時に対処出来ないじゃ無い・・・た、体力の消耗も激しい、し・・・・・・体力的にコレが放てるのはラスト。 シャ、"シャドーレイン"ッ!!」
大小様々なシャドーボールを出現させ、小さいのを大きいのに当て、当たった大きい方が二つに分裂、それを繰り返し、限りなく黒に近い紫色のウェイブが出来上がる。そしてそれをサイコキネシスで操り、360度全方位に居る敵を蹴散らす。そのような全体攻撃をしても、一桁は残ってしまう・・・。
相手はまだピンピンだが、こちらは走り回り、滑る地面に足を取られて転んだり、日がささら無いのもあって気温が低く、体力が奪われる・・・爆発のタネは拾った二つを合わせて四つを使い切り、爆風のタネも二つ使い、回復薬は六つも使ってしまって残り四つ・・・フロアは五つあるのに、まだ三つしか降りて居なく、単純計算で絶対に物資は足らない。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・あとぉ、はぁ、はぁ・・・三・・・匹・・・・・・。 あ、足がもうガクガク・・・回復薬お陰で・・・少しは・・・気持ち楽になるけど・・・道具での回復は・・・実質不可能・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・」
立つのがやっと位の、ガタガタと震える足で、今だに見える敵の姿を目で追い続ける。だが体力や精神力が底を付きそうな為か、だんだん追えなくなり、視野も狭まり、意識は朦朧とし、危険と言える推移はとっくに超えていた。
「・・・ふあぁ・・・だ、だめ・・・こんなところで倒れたら・・・・・・うぅ・・・・・・・・・」
そして、とうとう限界が訪れ、シルクは頭から地面に崩れ、それと同時にビチャっと泥水が跳ね飛ぶ。ピンク色の美しい毛並みは抹茶色に染まり、足の爪があるところは血が滲み、息も虫の息・・・もう一度立ち上がろうとするが、身体が鉛のように重く、踠くうちに意識は飛んで行ったのと、腕に装着していたライブキャスターが鳴ったのは同時だった・・・・・・・・・
〜〜〜〜〜☆〜〜〜〜〜
場所は変わり、とある舗装された道の上を全速力で低空飛行しているポケモンが1人。スカーフの力である『真実の英雄』を使ってミズゴロウからウォーグル。 何やら、飛びながらずっとライブキャスターでシルクをコールをし続けているのだが・・・
「さっきは繋がったのになんで、なんで出ないの・・・電波が届かないところってどう言うことなの・・・しかもテレパシーも応答無しなんて・・・・・・。 やっぱりぼくの悪い予感は当たっちゃったみたい・・・あの時無理やりでも一緒に行くって言えば良かった・・・」
繋がらないことに納得出来ず、何度も連絡しても呼び出し音が続くだけで、スカーフの力を使っても全く応答無しなのである。因みにライブキャスターは滞在しているギルドの親方のシュエリに、いつも使ってるインカムの代わりに貰った物で、時計はもちろんのこと、地図機能やマーキング、テレビ通話や同時通話、発売社のアプリをダウンロードしてインストールすれば、デフォルトアプリの拡張からメモ機能の追加、何かと便利な電卓、迷った時には助かるコイントス・・・他方向様々なアプリを追加し、自分好みにカスタマイズ拡張することが出来る腕輪型の小型端末。ただしギルドモデルチェンジのせいかデフォルトで入ってる物がちょっと特殊で、地図機能に三人までの指定人物の位置を確認可能な機能が入っている。しかも凄いのが、10分間隔でどこに居たのかを遡る『タイムマッピング』と言う機能である。コレを使えばかなり高確率で探し出すことが出来るのが売りの、デフォルトアプリであるマップアプリの最上位エディションである。
「・・・マッピングを見るとココで信号が止まってる。つまり個々にダンジョンの入り口があるってことだね。あっ、途中でギルドの前を通りすぎるし、誰か呼んでおこう・・・えっと、親方でイイかな」
電話帳から探し出し、ギルドに近づいて来たので一応ミズゴロウに戻って通話を開始する。
「・・・はい、こちらシュエリ。ウォルタ君どうしたの?」
「シ、シルクが全く応答しないんだ・・・どんなに電話しても呼び出し音が続くだけで・・・」
「ウォルタ君、シルクさんとはマッピング登録したわよね? じゃあ、画面左下にあるプラスマークを押して、ギルド用を押してくれる?」
「え、ちょっと待ってて・・・したよ。なんかマイクみたいなアイコンが表示されたけど・・・」
「それで良いの。ウォルタ君、ちょっとの間だけ喋らないでね。 ギルドコードAの2、緊急コードBの5、アプリ指定Cの1のEMのシルク・・・もうイイわよウォルタ君」
「えっと・・・勝手に画面が変わったんだけど、何が起こったの?こっちからの操作は受け付けないし・・・」
「いま、ウォルタ君の操作権利は私になってるわ。ギルドマスター権限ってやつね。えーと場所は・・・うそ!!?ファクターのダンジョン!!? た、大変!! ・・・リンネ!!リンネ!!!!」
ドタバタと走る音がした後、ドアを思いっきり開け放ちリンネ、副親方の名前を叫ぶ。すると、またまた盛大な音をさせながらシュエリのところへと降り立つ。テレビ通話だったので、ウォルタにもその状況がよく見えた。
「シュ、シュエリさん・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・どうしたのですか大声だして・・・・・・」
「緊急事態よリンネ!! シルクがファクターのダンジョンに居るの!!即急にフィリアとリファルをファクターのダンジョンに向かわせて!! この際、申請がどーのーこーの場合じゃ無いからココに強制的に呼び出して!! 大丈夫、責任は私が取る!!」
「ファクターのダンジョンっ!!!??なぜそんなレベルXに!!?」
「驚きは後でイイから早く!!」
「は、はい!! ・・・えーと、チーム、ギルド、緊急コード入力して・・・・・・強制転送!!」
シュエリから渡された金色をした五角形のバッチを、空いている穴にリンネははめ込み、恐ろしい速度でキーボードを叩き、決定キーを押すと・・・
「・・・のわあっ!!?「きゃあっ!!? 痛たた・・・なんなの急に・・・ってシュエリさん!!?」な、なんでココにシュエリが・・・って、ココギルドじゃねーか!!?」
「急に呼び出しごめんなさい。突然だけど私からの緊急依頼です。ここから北にあるファクターのダンジョンへ向かい、シルクと言うエーフィーを、今ここへ向かって居るミズゴロウと共に救出しに行って下さい。 なお、この依頼は時間が経つと多分手遅れになります。中にはおぞましいレベルの、自我を失った者が大勢居ます。生半可な気持ちで行くと、同じ運命を辿ることになります。 それでです。あなた達二人の戦闘能力と知能が必要です。人の命が掛かってます。受けてくれますよね?」
「な、何があったが分からないが、分かった。それを受けよう。今からそこに向かえば良いんだな?」
「はい。アイテムは・・・ふう、この緊急用バックを持って行って下さい。中には治療用の道具と回復アイテムに俊足の種や猛撃のタネや猛防のタネ、ココへ、どんな事があろうと送る転送するバッチなど様々あります。なおバッチは人数制限の無い範囲回収型なので、半径1mの敵は問答無用で蹴散らして下さい。 ・・・ウォルタ君も到着したみたいね」
「お、遅くなりました・・・シルクはそんな場所に行っちゃってたなんて・・・」
「後悔は後よウォルタ。あと、リンネもやっぱり行って。私は色々戻って来た時の準備するから」
「え、でも・・・はい、分かりました。転送お願いします」
「ええ。じゃあ、四人とも・・・頼んだわよっ!!」
リンネがやったように決定キーを押すと、瞬間的に姿が消え、画面に
転送完了。位置:ファクターのダンジョン
っと文字が点滅しているのであった・・・・・・・・・
-----------------------------------------------
あとがき
どうも、ティアです。ちょっと展開を凄いことにしちゃいました;
ファクターのダンジョンとは?
シルクが情報収集の為に入ったアファクトの森の中にある地下ダンジョン、ファクターのダンジョンの推薦レベルは80Lvを超える超高難易度で森の下ということで常時染み出た水で足場がグチャグチャ、おまけにちょっとした固い岩盤のせいで足場が悪くて滑りやすく苔も生えている為、更に攻略難易度が上がってるダンジョン。日もささないので常時気温はマイナスで、どのタイプだろうが過酷なことになっている。
はい、こんな設定です。ネタバレですが、いつも読んでいる画面の前の方なら分かりますよね?←それはどうかと;
ともかく、シルクはどうなってしまうのか!!?
助けに行った四人はどうなるのか!!?
次のストーリーで、本編へ繋がる鍵が開けられる・・・・・・・・・