ポケットモンスターズファンタジー〜導かれし者達の軌跡〜 - Collaboration-story
M_02 風に尋ねられて
「・・・う、うぅ・・・・・・・・・頭痛い・・・血は・・・出てない、良かった。 ひとまずここが何処なのか確かめなきゃな」
 一先ずその者は軽く伸びをした後に辺りを歩き始めた。目覚めた場所は何処かの森の中らしいが、凄く荒れていた。根元から抉れて引っこ抜けたような気が何本か、大樹が一本と強風に煽られて倒れた様子の木が20本以上、それら全てが葉っぱは枯れているわけでもなく、若々しい葉っぱを付けている物もあれば、赤色に紅葉にている葉っぱもあり・・・自分の身長を超える巨大な石が真っ二つに砕け倒れていたり、一体何があったのか想像もつかない。
 辺りをよく見渡しながら歩くと、低い木が連なっている場所に黄色のようなオレンジ色のような何かが突き刺さっていた。なんだろうと思い、ゆっくりと近づく・・・
「・・・うわっ、ブースター!!?し、しっかりして!!」
「・・・ううぅ・・・た、助かった・・・すまないが、引っ張り出してくれないか・・・?」
 なんとブースターだった。傷だらけだが息はあるようで、直ぐに引っ張り出して質問する。
「一体どうして突き刺さってたりしたんだ?しかも傷だらけで・・・いかにも何かあったしか思えないんだが、何か覚えているか?」
「あ、あぁ・・・大丈夫だ、助かっ・・・って、モフ!! 良かった・・・無事だったか!!」
「・・・モフ?誰、その名前?」
「な、何言ってんだよモフ?こんな時にお遊び話だぞ。グランとドンも探さなきゃならないんだから」
「グラン?なんでグランとドンの名前を見知らずのブースターが知ってるの? しかも俺の名前はモフじゃなくてクロ」
 そうブースターに伝えると一気にブースターの顔が青ざめて行き、目を見開いたまま、モフと読んでいる人の周りを震えた足で一周する。そして周り終えた後、ゆっくりとブースターは口を開く。
「モフ・・・もしかして記憶喪失したのか?俺だ・・・お前のお兄ちゃんだぞ・・・分からないのか・・・?」
「お兄ちゃん?俺のお兄ちゃんはグラエナの『グラン』。お前なんかしらない。 それに、なんで他のタイプがお兄ちゃん?闇は他のタイプに、はぶられることも決まっている。そういうのが当たり前なのに、炎タイプのブースターと『闇タイプのブラッキー』が何故兄弟になる?いい加減なことはやめて。 だが、何故お前は俺のお兄ちゃんを知っている?」
「う、うそ・・・だろ? モフ、俺だよ・・・・・・本当に・・・忘れたのか・・・?」
「し、質問に答えろ。グランとドンは何処にいる?」
 必要異常な接触にクロと答えたブラッキーは後ずさりしながら問う。だが、ブースターは「モフが・・・モフが・・・」と、思考が壊れてしまったらしい。しょうがなくその場を後にし、クロはグランとドンを探す為に歩き始めるが・・・
「・・・モフ?ひたすら俺の事をそう呼んでいたが、エンなんか知らない。初めて会った人。 ・・・ってあれ、エンって誰だ?なんも突っかかりなく名前が出て来たが・・・まさか、俺、あのブースターの事知ってる・・・? そ、そんなわけ無いよな。一先ず今はグランとドンを探すことだね」
 見ていた視線を前に戻して探し始めるが、案外近くに居て、川の水を飲んでいた。すかさず大声でクロは呼ぶ。
「おーい、グラン!!ドン!!」
「んっ?おー、クロ無事だったか!! ってか随分汚れてるな・・・川で少し洗ったらどうだ?」
「ああ、そうするよグラン。 ところでグランとドン、エンって知ってる?」
「「・・・はぁっ!!?」」
 クロの発言にグランとエンは目を丸くしてクロを思いっきり見る。そしてグランが目を見開いたまま、
「・・・し、知ってるにも何も、お前の兄さんで、家族だろうが。なーにとぼけてんだよ。頭でも打ったか?」
「・・・じゃ、じゃあ・・・俺の名前は? 俺の名前はなんだドン・・・」
「ん?クロであり、モフでもある・・・一体どうしたんだ・・・って、待てよクロ!!」
 一気に血の気が引いて行くのをクロは感じ、ドンとグランの言葉を聞く間も無くもと来た道をダッシュする・・・自分はなんて大変なことをしたのだろうかと自分を責めながら・・・・・・
「エンにぃー!!」
「・・・・・・・・・モフ・・・か?」
「そうだよエン・・・ごめん・・・記憶ちょっと飛んでた・・・お兄ちゃん、本当にごめんなさい!!」
「・・・そうか、良かった・・・記憶が戻ったか・・・・・・。 ほんっとに、心配かける弟・・・だなお前は・・・」
 横たわりながらモフの身体をやさしく撫でた後、引き寄せて抱いた。その中でモフは、
「ごめん・・・エンにぃ・・・・・・」
「エンにぃ・・・か・・・なんか久しぶりに聞いたな。 痛てて・・・モフ、怪我とかしてないか?」
「大丈夫。待ってて、木の実探してくるか「その必要は無い。俺がもう取って来たからな」あ、ありがとグラン」
「すまないなグラン・・・グランも怪我とかしてないか?」
「してない・・・はウソになるか、多少だが怪我はした。ドンも多少だよな?」
「あぁ、ほっとけば治る程度だな。 それにしても・・・此処は何処だ?少なくとも俺たちが居た丘の上では無いみたいだが・・・ちょっと上からみて見る」
 そう言うと、ゆっくり上昇し、手頃な木の頂上に着地し、辺りを少し見渡し、しばらくしてからゆっくりと三人の前に降り立つ。
「んー、相当大きな街だ。俺とグランが前まで居た街より比べものにならない程大きくて、高いビルがそびえ立ってる。 距離はざっと1kmくらいだが、なんせ川がくねくねしてるからちょっと時間掛かるかもな」
「そうか。あるだけ助かったところだな。 ところでエンを運べる体力残ってるか?」
「あー、微妙だな。なるべく頑張るが、無理になったら言うから変わってくれよグラン」
「ああ。ちなみにモフは、さっき変なこと抜かしたんだから、自分自身を整理しとけな。 それと、別に問題無いが、話し方が少し幼稚化してるぞ?」
「そ、そんな事もないし大丈夫だって!!」
 グランの言葉にモフは大丈夫と声を上げるが、片耳だけ立ち、片耳は横に寝ていた。あまり自信が無い事が分かったが、あえて突っ込まずに四人は川沿いを下り歩き始めるのだった。

〜〜〜〜〜☆〜〜〜〜〜

 そして一時間後。四人は対した事が もなく街の入り口まで辿り着いた。途中でしたことは、途中に木の実が沢山実ってる木を見つけて休憩したくらいだが、そのおかげかエンが歩けるまで回復してたことだけである。
「そろそろか・・・ドン。軽く偵察頼んでもイイか?」
「おう。じゃあちょっくら見てくるからグラン達は先行っててくれ。 だけど、あんまり遠くまで、施設内に入らないでくれよ。見つけられねぇーから」
「分かってる。ドン頼んだぞ」
「了解しました怪盗グランさま・・・なーんちゃってな。行ってくる」
「はぁぁぁ・・・」
 ドンの軽い冗談に頼んだグラン本人は大きくため息を付く。それを見てやってやったぜみたいな顔をして大空へと羽ばたいた。
 残った三人は、取り敢えず来た時と同じように話しながら歩く。最初に口を開いたのはモフだった。
「ねぇ、街ってどんだけ大きんだろね?」
「俺が居た街より大きいって言ってたな。 たぶん相当大きな街って事だが・・・俺たちが住んでた諸島にあったか?」
「えーと、グランとかが居た街って・・・ルノアシティーって言ってたよな? 確かあの街は俺とモフの故郷の『星の里』の50倍以上とかだったよなモフ?」
「そんな情報初めて知った・・・そうなんだ。じゃあ想像出来ない位に大きい街って事だね」
「だな・・・・・・おい、ちょっと待て・・・なんだこの街は・・・」
「うわっ!!?なんか着てたり四足歩行の人が二足歩行で歩いてる!!?」
「なじゃこゃ・・・」
 エン、モフ、グランと順番に率直に述べる。だが驚くのも無理もない。
 モフが言ったとおり、全員では無いが、何人かが洋服を着ており、片手に何か持ちながら四足歩行族が二足歩行でよろけもせずに、それぞれ何十人も歩いていれば誰でも驚く。目の前で起きていることに今だに信じられなく、何度も瞬きする。そして一番驚いたことが・・・
「や、闇タイプが他のタイプと共存して生きてる・・・どうなってるんだここの街は・・・・・・」
「ドンとグランの夢が叶ってる・・・しかもこんな大きな街で・・・」
「それはモフもだろ。 にしても・・・本当に凄い」
 そう、モフの村だけしか実現出来てい無いことが、ココでは闇タイプも他のタイプと一緒に時間を楽しみ、共有し合って居ることに凄く衝撃を受けた。驚き過ぎて、街に入ろうにも、なかなか入ることが三人とも出来ない。
 そして、そんな時に助け舟が・・・
「おーい、クロ、エン、グラン!!」
 そう、偵察してしたドンの存在である。直ぐに三人は少し離れて着地したドンに駆け寄る。
「ど、どうだった?」
「どうだったも何も、この街はすごすぎるぞグラン!! 闇タイプが普通に共存してるし、治安が凄まじく良いし、街の大きさが半端じゃ無いし、色んな人が乗れる移動用の乗り物も沢山あるし、美味しそうなお店もあったし・・・とにかく言い切れねぇ!!」
「お、落ち着けドン・・・つ、つまりそんな街があるってことは、俺たちが居た諸島じゃ無いってことだな?」
「ああ、そうだな。こんな街があったら今頃俺たちは変わってる。 とにかく行こう、行きたくて仕方が無い!!」
 まるで子供がはしゃぐように羽をバタせかせながらグランやクロ、エンにハイテンションで言う。ドンってココまでなるんだ・・・っとモフは思いながら、
「そうだよ、早く行こう!!」
「モフも行きたくて仕方が無いみたいだな。幾ら何でも尻尾を降り過ぎだ、ちぎれるぞ」
「あ、だね・・・って、エン兄も人の事言えないじゃん!!」
「うぉ・・・これは・・・」
「あはは・・・取り敢えず行くか。 ドン、やっぱり先導頼む」
「あいよ。じゃ、行くぞ」
 ドンの掛け声でゆっくりと、少しドキドキしながら街へ侵入する。それからしばらくして、日が傾き始めるまでずっと探索する四人であった・・・・・・

ティア ( 2014/04/24(木) 11:33 )