ポケットモンスターズファンタジー〜導かれし者達の軌跡〜

















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Ex_02 電気と身体と
 ...ココはどこだろう。薬の匂い、消毒に使う塩素系の匂い、お日様の香りと温もり......

 目を開けたいけど、何故か開けられない。口も動かない、手足も動かない。

 耳は聞こえるようだけど、静まり返ってて何も情報は与えてくれない。

 ココはどこだろう...もしかして、これが死んだ後の世界なの...かな......?

 ...んっ、身体にほのかに感触が......そこに誰か居るの...?

 な、なんか女の人の声で慌てた声も聞こえる...?
 
 まさか...ね......あ、聞こえなくなった。

 .........あれ、なんか声がする。なんだろう?

 ...また、感触を感じる。今度は腕だね。

 なんか、塗られてる...?
 とてもスースーするけどなん痛っ!?

 な、なに何か刺され...あれ、手が動く?
 声もはっきり聞こえてきた...ここは......

「...ライトさん、気分はどうですか? 最高...ではないかとは思いますが」
 真っ黒の世界が徐々に明るくなって、僕の目の前に見知らぬ人が立って、白衣を着てる...と言うことは病院なんだ、ここは。でもなぜ...
「...最悪だよ。急に注射するだなんて」
「あ、そっちのことですか...。てっきり今の状況のことかと」
「...うん。 ここは病院だと言うことは察しがついたけど、僕...死んだはずじゃ?」
「いいえ、貴方はギリギリのところで助かりました。けれど電気エネルギーを全て放出され、運動に必要な電気すら無くなってるという奇々怪々な事をやりましたね。なのでライトさん、貴方はもう電気を放つことは出来ません。 それに伴い、貴方が持つ静電気という特徴も失われました。つまり貴方は『電気タイプではなくノーマルタイプ』になってしまいました」
「...予測はしてたけど、やっぱりそうなんだ。 えっと、ここって中央病院であってます?」
「はい、そうですね。 ところで、一緒に居たギラファさんとはすぐに面会しますか?」
「ギラ...ファ......」
「...ライトさん?」
「......いや、後にしとくよ。 あの、ところでココはネットワーク使えます?」
「使える部屋にしてくれと、ギラファさんから申し出があったので、その通り使える部屋に。 あとギラファさんの病室ですが、ココを出て右の病室の左奥です。凄く心配してたので顔を見せてあげると良いですよ」
「...そうだね、後で会いに行くとするよ。 そうだ、大丈夫だと思うけど今日って何月何日の何時何分で、僕が倒れたと思われる時間とか分かる?」
「えっ? えーと、9月27日の朝9時43分で......確か凄く大きな稲妻を見たと騒がれた時間が21時半頃なので、そのくらいじゃないかと」
「.........そっか、ありがとう」
「ライトさん?」
「...あ、はい?」
「今、難しい顔をしてますがどうかしました?」
「あー、いや、なんにも。 取りあえずありがとう。もう聞くこと無いよ」
「そうですか。なにかありましたら後ろにあるスイッチで呼んでくださいね。 では、お大事に。失礼します」
 そう言い残して医者達は部屋から出て行った。改めて思ったけど、ココはどうやら相部屋ではなくて個人部屋らしい。なんか助かったような気がする。...さて、ギラファに会う前にちょっと話しておかないと、
「...ウィア?居る?」
〈......マ、マスター!!良かった...よく無事で...。 えーと、位置情報から察するにナルト中央病院の北館403号室ですね...ん、そこにテレビありますね。接続を開始します.........リンク確立、シグナル98%以上をキープ。ふふ、流石病院なのでネットワークケーブルが太くてノイズキャンセラーもあるので凄い安定率ですね。コレなら...〉
 時計型テレビ電話のモニターからSoundOnlyの文字が消え、数秒してライトが居る病室のテレビの電源が入り、そこにウィアと言う人物の姿が映る。容姿はピカチュウの進化前のピチューだった。けど、何処かちょっと違和感があるような、無いような容姿だった。
「んー、初めてのテクスチャマッピングだったから不安だったけど、そこそこ良く出来たかな」
〈かもですね。今まで身体が無くてデータとして動き回ってサポートする事が無くなって嬉しいです。 欲を言うなら、こんな堅い毛並みじゃなくて、女の子のような柔らかい毛並みにして欲しかったくらいですがー...〉
「うっ!僕が男でごめんね! ッというか、君は一体どこからそんな感情を学んできたのさ!?いや、嬉しいよ!?開発者として嬉しいよ!? でも作成時は慕ってたというか忠実というか、僕の言う通りにしてくれたのに、たまに反抗してくるのもどうなのかな!?」
〈はいはい申し訳ありませんでしたマスター〉
「それ、心こもってないからね!!? 絶対うるさいとか思ってるでしょ!!?」
〈...ちょっと遊びすぎましたね。ごめんなさいマスター。 えっと、現在状況の報告よろしいでしょうか?〉
「...はぁ、頼むよ。ちょっと待ってて、一応メモ用紙をナースステーションから貰ってくるから」
〈分かりました。その間にココの病院がセキュリティー的に問題無いのか軽く見てくるので、メモ用紙ついでに飲み物取ってきて下さい。ソコソコ長い報告になるので〉
「あー、うん。調べてどうするの?」
〈私的な時間潰しです。既にナルトタウンの別荘もセキュリティーは頑固にしてきました〉
「ありがと。じゃあ行ってくるね」
〈はい。では私も〉
 そう言うとディスプレイの電源がプツッと切れ、スタンバイモードに切り替わる。それをライト自身も確認してから病室の引き戸を開けてナースステーションに向かう。やはり病院なだけであって静かだったが、入院しているであろう子供の笑い声が所々で聞こえていた。そんな声を聞きながら、ウィアに言われた通り売店で、気分的に甘い物を飲みたかったのでホットアップルティーを買った。そして、
「すいません。403号室のライト・エナフールなんですけど、大きめな紙と書く物貸して貰っても良いですか?」
「あ、はーい! 少しお待ち下さい!」
 っと呼びかけると、ベイリーフのナースが元気な声が聞こえた。少し覗いてみたら、どうやらファイルの整理をやっていたらしく、テーブルの上に整理ボックスと書かれた箱いっぱいにクリアファイルが入っているのが見えた。
「(ちょっと、忙しい時に来ちゃったかなぁ...見た感じ一人しか居ないし......)」
 もうちょっと身体をはみ出して覗き込むとその人一人しか居なかった。そして、書く物書く物と言いながら探している姿を見て申し訳ないことをしたなと凄く思った。だから、
「ナースさん、見つからないならなんとかしてみるので、大丈夫です。 忙しいのに時間割いてしまってごめんなさい」
「...あっ!そんなことないですよ! えーと、見つけたら直ぐに届けるので、待ってて貰っても...よろしいですか?」
「探してくれただけで結構ですよ。 では、失礼しました」
「お力になれず、ごめんなさい...」
「大丈夫です。では」
 エンドレスになりそうな気がして、ちょっと逃げるようにその場を立ち去って、さっきまで居た部屋に若干小走りに歩く。けれど、部屋に戻ってきてドアを開けようとした瞬間にこんな館内放送が流れてきた。
《...南館の担当医師にお知らせします。南館の428号室の患者が急変しました。担当医師は至急南館の428号室に向かって下さい》
「ココってこうなってるんだね...確かに良いことだと思うけど、いつ死ぬか分からない人にとっては次は自分かもしれないと恐怖与えちゃうよ...。 この方法変えられないかな......ん?」
 館内放送が終わってメロディーが流れたのだが、変にブツッと切れ咳払いが聞こえた。なんだろと思い、ちょっと待ってみると、
《館内一斉放送致します。セキュリティ担当のメギアさん。システム室に向かって下さい。もう一度繰り返します。 セキュリティ担当のメギアさん。システム室に向かって下さい》
「シ、システム室...? まさか...」
 それは技術者の呼び出しだった。しかもセキュリティ担当の、と。原因を判別するのは簡単だった。けれど、その予想は直ぐに砕けることになる...
「ウィア!! 今のどういうこと!?」
〈マスター!! ごめんなさい!私、何かに後を付けられていたようで、その何が進入してしまいました!!〉
「ちょっ!? なにやってんの!?」
〈気配が全く無かったんですよ! あっ...メインからのアクセス以外、権限が全て拒否されちゃいました...病院のメインコンソールが無いと私には対処できません...〉
「はぁ、向かうしかないね。僕達のせいなんだし。 ウィア、何処までなら移動できる?」
〈認証ドアまでなら。 けれど、そこから先は認証コードによって防御されているので、キーが無いと...〉
「それは当たってから考えよう。 ウィア行って」
〈了解です。マスター、場所は中央館の1階の0号室と予測。 ココから4段下れば直ぐに分かるかと思います。ではお先に〉
「...面倒な事してくれたよホントに。にしても目的はなんなんだろう...いや、そんな事よりも行こう」
 ウィアが言ったとおり、階段を駆け下りてみると天井に電工案内板があり、中央館の案内が書いてあった。それに従い向かうと...
「くそっ...なんでカードキーが反応しないんだ......」
 必死に扉を開けようと何度もカードキーを認証部分に触れている、カクレオンの姿があった。
「君はココの、さっき放送で呼ばれた人だね」
「そうだが、手が離せないからあっち行っててくれ」
 振り返りもせず、手で払いのけられ、軽くイラッと来てしまったが堪え、
「いや、僕もココに用があってね。ちょっとカードキー貸して貰っても良い?」
 と言ってみた。流石にえっと思ったのか振り返った。そして、
「...まさか、お前ライトか?」
「そう、ライト・エナーフル。知ってるって事は一時期ドリームメイカーズに居たことがあるって事だね」
「あ、ああ。居たさ。まさかホントに居たとは...。 んっで、コレがココに入るための認証カードだ。けど、全く認識してくれなくて困ってたんだ」
「なるほど。カードキー、確かに受け取ったよ。 ウィア」
〈聞こえてます。 マスター、そのカードキーを認証装置に触れ続けて下さい〉
「頼んだよ」
〈.........ユーザーとパスワードを認識。コードを転写し、正常な経路を使ってシステムに問い合わせを行います...クリア。ドア解錠します〉
 ガーッと横スライドのドアが開き、一斉に部屋の電気が付く。部屋は10畳程の大きさで大きな装置1つと、サーバーが何台か置かれていて、少し狭々しかった。
「ありがとウィア。 さっさと終えちゃお」
〈はい。 ...旧式ですか。バージョンも古い、片づけたら互換性を確認してからバージョンだけでも上げた方が良いですよセキュリティ担当者さん〉
「あ、あぁ...。 ところで君は何処からアクセスをしてる?」
〈目の前に居ます。詳しくはコンソールの中。  説明が面倒なので、とにかく問題を解決してから何時間でもお相手致します。ところで、ポート番号21987番が開いたままだったですが、閉じてもいいでしょうか?侵入経路はここからなので〉
「な、なんでそんな事を...」
〈スキャンしてたら空いてたんです〉
「(ウィア、その番号は君が入るときに使う経路でしょ...)」
 21987は、僕がウィアを設計時に決めた管理パスワードで、デフォルトアタックポート番号でもある。意味は特になく、適当。意味のある番号は危ないから。
「さて、気合いを入れていくかな。なんだか久しぶりのウィルス駆除だね。 ...ん、もうスキャン終わったの?」
〈...いえ、なんか退治できちゃいました〉
「ちょっ!?やる気だったのに!? ...え、ホントに退治しちゃった!?」
〈え、ええ...。 けれど、正しくは自己消滅しました......〉
「自己消滅...? ウィア、どういうプログラムだったか解析できる?」
〈今やってます......どうやら何も変哲も無いウィルスみたいですが...何でこんなのに私が...。 でも取りあえず、私は失礼致します〉
「お疲れさまウィア。さて、僕はギラファの所に行くかな...」
 ...ギラファに、いっぱい聞かなきゃいけないことがあるね。項目が多いわけじゃなくて、量だけどね。
「...いまいち状況が読めんが、終わったんだな?」
「あっ、えーと問題は解決したよ。それとカードキー返さないとね。 それじゃ、また会う日まで」
 そう言い、お礼は聞かずに足早に退散した。どうせ色々質問されるに決まってるし、話してたら遅くなるし。

〜〜〜〜〜☆〜〜〜〜〜

「えーと、確か右奥の左側って言ってたよね...うん、合ってる。 あれ、僕はなんでこんなに緊張するんだろう...心と身体の行動が違って頭おかしくなりそうだよ......」
 ドアに手を掛けようとするが、掛けられない手を左手で掴んで手を掛けさせ、戸を引く。中は至って普通で、違いは相部屋なので仕切られていることくらいしか違いが無いが、言うならば相部屋だから広いと言うことくらい。
 そして目的の人であるギラファはベットから起きていて、落下防止を施されたベランダに設置してある椅子に座って外を眺めていた。
「...ギラファ」
「ん、起きたか。 ライトもココ座るか?日差しが温かいぞ」
「ありがと、そうするよ。 ...ねえ、ギラファ.........何で、家族よ...なに?」
「聞きたいことは分かってた。だから俺から話す。 実はな、俺には家族なんかホントは居ないんだ。それに、俺はココに入社する前からずっと怪しいってマークしてたんだ。絶対裏があるってな。 それで調べてみたらコレだ。恐れいった」
「ねえ、それって...ずっと僕を騙してたの? 機械関係が好きってのも、今までの付き合いも全部嘘だったって...言うの?」
「バーカ、嘘の分けないだろ。もしそうだったら今ココにライトは居ないだろ? それに、ライトの父親代わりになるって言っただろう...がっ」
「いった!? なんでデコピンしたの!?」
「目を覚めさせてやろうと思ってな。 ともかく、何があってもライトを守るって決めてたからな。それと、俺みたいに家族の温かみを知らずに生きる事を教えたくなかったから。 今更なんでとか聞くなよ?そう心に決めてんだ」
 そうギラファは言い、胸をドンッと叩いて見せる。
「...そっか、なんかありがと」
「遠慮すんなって。 ...さて、俺からも少し良いか?」
「うん、いいよ」
「えっとな、実は俺は死んだことにしてあるんだ。どういう意味か分かるか?」
「え? それって大丈夫なの...?」
「デメリットばっかりだぞ。まず身分を証明できる物が無くなるんだからな。 けど、逆に死んだことにした事にするメリットはなんだ?」
「メリット......あ、死んだことにするって事はこの世界に存在していないって事になるから、隠密行動とかする場合は都合が良いって事だね?」
「半分正解半分間違いって感じだな。 正しくは、死んでるって事は俺の存在が消えるわけだから、あいつらの目から逃れられるんじゃないかって考えたわけだ。 逃れられれば使えるても増えるしな」
「なるほどね」
「そうそうもう一つ、午後になったら病院を離れる事になってる。 身体の痛みはまだ残るが...ライトに比べれば軽症だからな」
「でっ、でも...」
「心配すんなって、そう俺が決めたんだ。 そうそうGギアだがライトが寝てる間に無事に届いたぞ。にしても、ライト以外に唯一信用できるのは『リーフ』だけだな...」
「あの子だね? 確かに僕も同意見だし、ドリームメイカーズに疑問持ってるからね」
 とある施設で働いてるチコリータの女の子。確か、一回だけ研修で訪れたときに初めて出会ったんだっけかな。
「だな。確か初めて会ったのは半年以上前だったか? 今でも覚えてる、ドリームメイカーズの現状をどう思いますかと言う直感質問をしたことを、な」
「あれはホントにびっくりしたよ。初対面でいきなり聞いて、しかも真っ直ぐとした真面目な視線で。 ホントに決心したときは強いよ、あの子は」
「だな。 えーとGギア話に戻すが、一個もらって良いか?ライトのGギアにはコレの連絡先を入れてあるしな」
「いいよ。 っというか、いつの間に入れてたんだ...」
「寝てる間に、な。 あと、名前が『ゼアラ』にしてあるから、普通に話してる時もゼアラで頼むぞ」
「バレない為に、だね? わかったよ...ゼアラ」
 ゼアラ...か、間違えてギラファって呼ばないように気を付けなきゃ。そう言えばこの名前...どこかで......
「ライト?どうした?」
「...いや、何でも無いよ。 あのさ、居なくなっちゃうわけでしょ?だったらお昼は一緒に食べない?」
「だな。 じゃあ下のパスタ屋で良いか?」
「良いよ、じゃあ行こっか」
 くーっと、伸び入れて椅子から降りる。ギラファも同じように伸びを一つし、使ったベットに軽く手入れを入れる。そしてGギアが入ってるカバンを持って、もしかしたら最後かもしれないと不安な気持ちを持ちながら下りのエレベーターに乗り込むのであった......

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あとがき


 さて、コレで連チャンの別シナリオはひとまず落ち着き、本編に入ります。

 今回の物語はライトサイドのプロローグで、アーシアが訪ねてくる前のストーリーでした。ホントはそこまでやっても良かったかな...と思ってましたが、コレで良いかっ!で切りました。はい、気分です(笑)

 んっで、ストーリー中で出てくるリーフと言うチコリータの女の子ですが...分かるよね?
 はい、あの気弱そうなあの子なんです。ライトとギラファが言ってる通りやる時はやる子なんです。


 では、今回はここまで。いつか執筆したいなって思ってたので良かったです!

ティア ( 2015/05/08(金) 22:19 )