└BS_2 闇に飲まれ...
・前書き
はい、一部で人気だったバットエンドストーリーの二作目です(今回は短め)。
場面はシルクとアーシアがバンギラスを無力化してからの続きとなっています。メインだと一時出直そうって言うことで脱出してますが、入り口が塞がってて出る方法が無い事にしてのスタートです。
・こちらを読む利点
?...ヌイミホカチーカ
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「よかった...。 まさかと思ってヒヤヒヤしちゃったわ...」
「ごめんなさい...気が付いたら身体が動いていて......」
「...いいわよ、許す。 けど、また今みたいに危険なことしたら怒るわよ?」
「はい...」
「さてと、早速脱出...っと言いたいけど、アレじゃ見た感じ無理ね......」
先ほどの攻撃で吹っ飛ばされたバンギラスのせいで、二人が入ってきた唯一の入り口は塞がれてしまっていた。けれど、先ほどの爆風で壁に何カ所かヒビが入っていて壊すことも出来そうだったが、支柱がやられてしまっているため、一気に屋敷が崩れてしまいそうだった。
「うーん...あそことか、どうでしょ? 二階の渡り廊下に行くことが出来れば、なんとか通り抜けできそうですけど」
「あそこ、ね...。 確かにそうなんだけど、流石にジャンプじゃ届かない高さよね...何かバックに入れてあったかしら......」
天井から日が差しているところにバックを持って行って中身を調べる。入ってるのは4本中割れてしまった試験管が3本、アーシアから聞いた話と調べたことを書き合わせた資料、今は亡きナルトタウンの親方から貰う前まで使っていた通信機器が入っている。後はもう、少なくなった爆発の種、作成した爆風、爆裂、脅爆の種。おさらいになるかもしれないが、爆風の種とは爆発するときの火球を無くして風を起こすだけの種で、ダメージは無い...筈なのだが、種が砕け散った破片がのたうち回るほど痛いという曰く付き。脅爆の種は爆発の種を10倍ほど強化した物で、凄まじい爆風とダメージと火球が襲う為、もうどうしようも無いときに使う最終手段の道具である。
「コレらがあって、他にあるのは爆発が0、暴風が2,脅爆が1残ってる...。 爆風、ね...使うとしたらコレだけど、凄く痛いのよね......」
「なんかありました?」
「...アーシアちゃん、落ちたら死ぬと思うくらい私の背中にしがみついて。そうしたら私はこの種を使ってあそこまで飛ぶわ」
「と、とぶ!? それに、落ちたら死ぬってどういうことです!?」
「そのままの意味よ...それに、屋敷中から聞こえる音的にあまり時間が無そうなの」
「...そうですね、分かりました。 えーと、シルクさんにしがみ付いて居れば良いのですよね?」
「...っん、そうよ。それで良いの。 じゃあ...いくわよ!」
アーシアの頷きを確認し、口に爆風の種を咥えて壁に走りこみ、大きくジャンプして壁キック。反動を使って更に飛び上がると、
「行くわよアーシアちゃん! ''シャドーボール''っ!!」
口から離し、進行方向下側に投げると直ぐにシャドーボールを生成し、今投げた種に目掛けて発射する。そして発射した紫色の球体は吸い込まれるように種へ...
ぼんっ!!びゅー...!!
見事爆発し、種から強風が溢れて進行方向逆に二人を吹き飛ばす。なんとか狙い通りの二階の渡り廊下へ落下することが出来た。
「...ふぅ。なんとかなりましたねシルクさん。 後はココの穴をもう少し開ければ大丈夫ですよね?」
立ち上がって身体全体に付いた埃を振り払いながらココに来る目的だった穴を小走りに向かって確認する。顔を入れてみると、ちょっと辛いがアーシアなら通れそうな隙間が空いていた。入ってきたときは分からなかったが、どうやらこの屋敷は少々崖側に建って、もし踏み外して落ちたら助かりそうにはなかった。そんな事を思い、眺め続けていると、アーシアはふと、シルクの応答がない事に気が付いた。何故だろうと思って振り振り返るとそこには...
「...はぁ......はぁ...」
前足をガクガクさせ、苦しそうに立ってい呼吸しているシルクの姿があった...。
「シ、シルクさん!? どうしたんですか!?」
そう問いかけても息づかいだけ返ってくるだけで、どうやらアーシアの声は耳に届いていないようだった。もう一度聞こえるように言う為に、シルクに近付くと、
「ス、スカーフがない...」
先程まで付けていたスカーフが無いことに気が付いた。けど全部無いわけではなく、切れてしまって身に付けることが出来なくなった状態だった。だったら、
「...ちょっと待ってて下さいね。ちょっときついかもですけど、切れたところを結べば......」
切れ端と切れ端を持ち、爪を使って結び目を作ろうとする。けれどアーシアの身体は元人間、指の形が変わっているのでしっかり掴むことも難しい。しかも、掴めたとしても結び目が上手く作ることが出来ない...出来たとしても結び目が大きくなってシルクが苦しそうになってしまう。
「...ダメですね。私では結べません......」
「.........大丈夫よ。 アーシアちゃん、体力的にテレパシーが使えるのも限られてるから要点だけ話すわ。このスカーフは私の力を制御する物で、コレが今正常に使えない今、私に生命の危機が掛かってる」
「生命の...危機......」
「だから、コレを打破するためにはあることをするしかない。っと言っても、この方法があってるかも限らない。 ...アーシアちゃん私を...私を、強い攻撃一発で意識を無くさせて」
「な、何言ってるんですか!? そんな事出来るわけ無いですよ!?」
「お願い、可能性はそれしかないの。 ...コレを渡したらたぶんテレパシーは使えなくなる。こうなったのは初めてだからもしかしたら暴れるかもしれない。良い?一発で私を仕留めるのよ?」
「でも...でもっ!!」
「無茶言ってるのは分かってる、けど...まかせたわよ.........」
そう言ってシルクはアーシアにスカーフを手渡す。それをきちっと受け取ってバックの中に入れ込む。虚ろな目をしながらも優しく見守るような目にドキッとしながらも、何回も深い呼吸をして心を落ち着かせる。仲間を攻撃する...ホントにこの方法しか無かったのだろうか。もっと他の方法があるのではないか、少女は悩んだ。
けど、神様は考える時間を下さらなかった。
「...っ!?」
徐々に優しい顔が薄れていき、牙が見え始めてきた事と、睨み付けるような目へと変わり始めたからだった。息遣いが荒くなり、唸り声のような声がシルクの口から聞こえてくる...。
「シルクさんじょ、冗談...ですよね? 絆を強く訴えるシルクさんが、仲間を傷つけるようなことなんか...しないですよね?」
シルクの真横に座り、座ったはいいものの、その先が分からず取りあえず頭を優しく撫でる。
「...グゥルル......」
「シルク...さん...?」
「.........グァァァァァア!!」
「ひっ!」
ふらつきながら立ち上がり、大きな雄叫びを上げた。牙を剥き出し、爪を出し、アーシアの事を敵と認識したかのように。
「シ、シルクさん......」
今にもアーシアの事を襲おうと、ふらふらした足取りで近づいてくるけれど、歩き方で一つ気が付いた。まだ完全には暴走しているわけではなく、少し意思が正常な意識が残っていることに。それがふらついてる原因で、前に進んでは後ろに下がるという動きをしている、のだと。
「...そう、ですよね。一番辛いのはシルクさんですよね。 ...すぅー...はぁー.........待ってて、今楽にしてあげるから」
大きく深呼吸すると、アーシアの尻尾が白く発光し出し、身体には風を纏い始めた。そのまま助走分の距離を取るために後ずさりする。もちろん、シルクから目を逸らさずに真っ直ぐと見据えて。
「...いきます。 ...てぇーーーいっ!」
電光石火を発動し、一気にシルクとの距離を詰める。そのまま堅くなった尻尾を助走分も乗っけて背中へ振り下ろし...っと同時に床からぎしぃ!っと嫌な音が響き渡る。が、お構いなくアイアンテールの効果が切れるまで技を出し切る。コレはシルクの約束を果たす為、なによりも元のシルクに戻って欲しいと言うアーシアの心の表れでもあった。
そして技を出し終えて着地すると、ぐったりと倒れたシルクの横に向かって意識をまず確認し、気を失ってることを確認する。呼吸も規則正しくしていることもおなかの膨らみで確認することが出来てアーシアは一安心した。シルクの願い通り気を失わせることが出来たのだから...けれど、罪悪感は本人願いだとしてもアーシアの心に突き刺さるものがあった。私は仲間を自分の手で...それらの思いが彼女の小さな心の器でループ、更にそれが引き金となって忘れていた記憶が、忘れていたかった人間の時の辛い記憶が記憶が...蘇る......
大切な友達を階段で突き落として殺してしまったていた事を...
それらを含めて心へのダメージはシルクが予想している以上に、例外的に膨れ上がっていた。呼吸が乱れ、何度何度もリプレイ再生され、シルク倒れ方が現実の突き落としてしまった娘と同調する。もがき、消えそうな声で、血を吐きながら助けを求める...アノ姿を......
「わたし、は...わたシハ...マタタイセツナ人ヲ傷ツケタ...ワタシガ......ワタシガ居ルカラコンナ事ニナルンダ...皆キズツクンダ......アタシナンテ...アタシナンテ!キエチャエバ良インダ!!」
そう言うと、ふらふらした足取りで先程見た場所、壁に穴が空いて外が見える位置にシルク共に引きずって行く。もう、少女の思考では消えれば良い、消えたい、居なくなりたい、苦しいなら死んでしまえば良いというイカレタ思考。もう言うならば、もうアーシアではない存在...死に損ねた魂のような物へと変貌してしまった。そして、とうとう...
「ふはは...あはははははは......」
不気味な笑いをしながら飛び降り、どんどん屋敷が小さくなっていく...
しばらくして、地面に衝突してグシャッと聴きたくない音が二回、アーシアとシルクの身体の中から鳴った。っと同時に二つの命の炎が消え...
この世界に憎しみを残し、人々を殺める亡霊、死神となって生き返るのであった......
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あとがき
ティアです。なんか、あんまりダークに出来なかったですねー...ひとまず、二人ともお疲れさま。
アーシア「お疲れさまじゃないですよ! コレじゃ私...まるで狂信者じゃないですかっ!
だって狂ったアーシアを見たいって...
シルク「それ、普通実行する? 私がティアさんの立場なら、そんな事絶対にしないわ。ところでタイトルが意味ありだけど、どういうこと?
あ、気が付きましたか。実はもう一つストーリーを作ろうと思ってるんです。けれど、だいぶ後になりますけどね。
アーシア「まさか、バットストーリー...
まさか、そんな事はしませんよ。軽くネタバレしとくと、バンギラスに遭遇しないで施設内部に侵入できたというストーリーを執筆しようかなっと考えているんです。だからタイトルにある記号が特殊2連になってるんです。
シルク「縦(│)と左下(└)ね。
ですね。では今回はここま...っとと、前書きの答えを言ってなかったですね。正解は並びを逆転させ、更にそれを平仮名五十音表を思い浮かべれば出ると思います。
ヒントとして「し」は『ち』、「み」は やいうえお なので『い』こんな感じになってるのを直していけば分かるかと。