正体
場所は夜のグレースタウンの宿屋の104号室。この部屋には人間世界から導かれた者の1人、イーブイのアーシアと、悩み迷っている時に助けてくれたプラスルのレミが眠っていた。
だがアーシアの方はなかなか寝れずに布団の中でゴニョゴニョ動いており、しばらくすると布団から出て部屋に備え付けてあったベランダの取っ手を回して外に出た。外は少し肌寒かったがそれほど寒くもなく、だが時々吹く強い風は寒かった。そんな事を思いながらアーシアは急に現実を思い出す。
ライトが言った『記憶は故意に消した』っと言った事、そしてこの世界に来る前に聞こえてきたドリームメイカーズの説明の食い違い、同様に聞こえてきた『あなた達』っという自分以外の人間たち・・・それと、自分が居なくなってしまってモルクやレイエルに迷惑掛かってるのではないかと・・・考えれは考えるほど悩み、苦しんだ。
そんな時ふと、
「眠れないのですか?」
「あっ、起こしてしまったようですね・・・ごめんなさい」
「なんで謝るのです? ところで何か悩み事あるみたいですが・・・」
「あっ、いえ。なんでも・・・」「・・・そう。 あの、アーシアさん、寒いので戻りませんか?風邪引いちゃいますよ?」
ふと、手を握られてピクッとするがレミはお構い無しに手を引っ張り、中に入る。そして布団の所まで連れて座らせた。そして少し間を開けて、
「やはり先程話してくれました事で悩んでいるのですよね?」
「うっ・・・はぃ」
「心配しなくても大丈夫です。流石にもうこの時間に探したりとはしてないと思いますので。 それに、私も朝になったら探して、謝るし、謝せますから」
「で、でも・・・」
「絶対そうした方が良いです。自分にも、他の方々にも。 それに一番の情報源は、ここに導いたのは恨んでいるライトさんなんですから」
「でも、でも・・・」
「でもじゃ無くて。とにかく今日は明日に備えて寝た方がいいです。だからね、目を瞑って横になって下さいアーシアさん」
「えっ、ちょっ・・・ひゃっ///」
レミはゆっくり立ち上がり、アーシアの布団の上に移動する。何をするのかと思っていると、レミはアーシアの事をゆっくり枕に頭が乗るように押し倒した。やられた本人は急のことに反応出来ず、そのまま倒れてしまう。
「な、何をするですか・・・///」
「ただ寝かせただけです。あっ、起きないで下さいね・・・私も一緒の布団に入っちゃおうかなっと思ってるので。 失礼します」
「レ、レミさっ・・・///」
「ふふ、暖かい/// あのねアーシアさん、悩み事や悔しい事や淋しい事、こんなの時は身体を寄せられる存在が居ると安らげるの。私も探してたけど、そんなの居なかった・・・だって、父や母の記憶も無くなってる、友達も、自分の居場所も、何一つ。ごめん私、アーシアさんに嘘付いてた。少ししか記憶ないと言ったけど、丸一つ残ってないの、本当の名前を除いて。 私の本当の名前はレミじゃ無くて、ルカなの」
「ル・・・カ?」
「そう。ルカ・エナフール・・・何処かで聞いたことありませんか?」
「ルカ・エナフール・・・っ!!?エナフールってまさか!!?」
ガバッと起きようとするが、レミ、ルカは押さえつけた。でも、押さえ付けても抜け出そうとするので、
「お願い・・・お願いだから話しを聞いてアーシアちゃんっ!!」
「いや・・・いや・・・近付かないで・・・・・・ワタシカラハナレテ!!」
「っ!!? っあぁ・・・手・・・離し・・・くる・・・・・・」
「・・・・・・」
「ア・・・シア・・・ごめ・・・・・・っ!!」
「ぎゃあぁ!!? うぅ・・・」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・ごほっ!!ごほ!! ま、まさかコレだけで『闇が溢れ出す』なんて・・・コレは相当ね。ライト、一体何をしたと言うの?」