相違点
「・・・うぅーん・・・・・・ふぁー・・・あっ、なんか凄い。人間の時より、凄く清々しく起きれたわね」
布団から這い出て、あくびを一つ。そのまま首を捻ってヨーテルの方に向くと・・・
「・・・きゃあ!!?尻尾の火が消えてる!!?」
なんと、ヒトカゲは尻尾の炎は消えていたのである!!慌ててリトはヨーテルの布団を引っぺがし、おでこを当てる・・・
「あ、温かい?しかも、ちゃんと脈も呼吸もしてる・・・一体どう言うこと・・・?」
「・・・くぅん?・・・・・・・・・ひゃあっ!!!!???」
大声に起きたのか、間が抜けたような顔で目覚める・・・が、その目の前にリトの顔があった為、顔が一気に真っ赤になり、尻尾の炎が点火・・・っと言うか灯った。そこで更に、いきなり大声を出されたので耳がつんざき、気を失ったリトがヨーテルに被さるように倒れて、またヨーテルの悲鳴が・・・何度の悲鳴に何事かと、外からドアを強くノックしていた。
だがそんなことは知らず、ヨーテルはリトが上に乗っかってる状態に身動きが取れずに固まっていた・・・何故かと言うと、いきなりの事に頭がショートして真っ白になり、加えてお腹にリトの全体重が掛かっている為に身動き取れないのである。
「あわわわわ・・・///」
「よし、空いた!! ヨーテルさんとリトさん大丈夫ですかって何があったのコレ!!?」
ドアを開けて出て来たのは、昨日ここの部屋を借りる時に部屋まで案内してくれた受付の女の人だった。取り敢えず状況をどうにかしようと、その人はリトをヨーテルの上から退かし、直ぐ隣に寝かせる。そして目を開けたまま固まってるヨーテルと、気を失っているリトを揺り起こす・・・
「ヨーテルさん、リトさん大丈夫ですか!!? ヨーテルさん、リトさん!!」
「・・・うぅ・・・・・・あれ、なんで貴方がココに?」
「ふぅー・・・ひとまず問題は無いみたいですね、良かった。 っで、何って朝から大声出されて何事かと思って来たのです。リトさん、一体何があったと言うのですか?」
「えーと・・・私が起きた時にリトの尻尾の炎が消えていた事に慌てて、その声にヨーテルが起きて、ヨーテルが目覚めた時に私の顔が目の前にあったのに驚いて悲鳴を上げて・・・そこから記憶が・・・・・・」
「あー成る程。つまり知らなかった事による悲劇?って事ですね。 まさか、今だに知らない人が居たとは・・・」
その人は、尻尾の炎が既に消えているヨーテルを横目で見ながらリトのことも見ながら続ける。
「ともかく、昔はそうだったみたいですが、今は違います。次は気をつけて下さいね」
「はい・・・ご迷惑おかけ致しました・・・・・・」
「はい。えーと、お食事は食堂室にバイキング方式でご用意してあるので好きによそって食べて下さい。 ちなみに場所はこの部屋出て左の突き当たりになってますので」
「わ、分かりました。本当にご迷惑おかけしました」
ドアに手をかけたのを見て、リトはお辞儀をする。それに軽く手を振りながら静かにドアを閉めて部屋を出て行った。
「・・・ふぅ、まさかこの時代は尻尾の炎を消したり付けたり出来るなんて凄わね。 あっ、もしかして、水とか大丈夫だったりして?」
少しニコニコしながら洗面台の目の前に立ち、青い蛇口を捻って水を直ぐ横にあった桶に貯める。だいたい溜まったくらいで蛇口を止め、恐る恐る手を入れる・・・
「んっ・・・あれ、大丈夫みたい。良かったー・・・顔が洗うこと出来なかったらどうしようかと思ったわよ。 朝はコレをしないと締まらないわね。 ・・・・・・ふぅ、スッキリした」
手を入れて大丈夫なのを確認すると、バシャバシャと顔を洗う。そこからは少し跳ねている毛並みを濡らして直す。案外癖っ毛でも無かったようで、さっくりと終わる。
そして、終えたと同時くらいにヨーテルが起き、軽く身支度した後に教えてくれた食堂室へ・・・中に入ると既に何人かが食事をとっており、話していた。
「さて、私たちも食べちゃいましょ。何処から並べば良いのかしら?」
「こ、こっちですリトさん。ところで・・・リトさんは二足歩行出来ますか?あっ、昔の姿ではなく、今の姿で」
「・・・っとと、ちょっときついけどギリギリなんとか。でも、色々持ったら危ないかも」
二本足で数秒も持たなかった自分を自己評価。ヨーテルから見ても危ないと判断され、渋々椅子で座って待ってることに。
自分で選びたかったなーっと思いながら数秒後、椅子に座らせられて五分以内、両手のお盆に朝ごはんを乗せたヨーテルが帰ってきた。
「お、おまたせしました。あの、朝はリトさんパン派ですか?ご飯派ですか?」
「え、あー・・・ヨーテルは?」
「私はどちらでも」
「そ、そう・・・じゃあご飯で」
「やはりでしたね。 少しずつ色んなものを持って来ましたから好きなのを。食べないのは私が食べますから」
そう言うとリトの目の前にホカホカのご飯と、お吸い物みたいな飲み物、煮魚、その他に色々なものを両方のお盆に乗っけて持って来てくれた。
目の前に置かれた時、なんで分かったのか聞いてみると、何と無く『自分で選びたかった』とか思っているのかなとか思ったらしい・・・図星である。
「じゃ、じゃあ食べましょ。頂きます」
「頂きます。 わ、私、他の人なんかと食べるなんて凄い久しぶりです。たぶん食べたのは数年前になりますね」
「ごほっ!!ごほっ!!・・・ふう、数年前って何年よ?」
「え、あ・・・四年前くらいだったような気が」
「あれ、ヨーテルって何歳?私は15歳だけど・・・」
「え!!? わ、私は12歳です・・・」
「12!!?私より三歳も年下だったってこと!!?」
凄い・・・とリトはヨーテルの事を尊敬する。自分と同じか、上かとも思っていたのにもかかわらず、まさか年下だったとは思いもしていなかった。
「へぇー・・・その礼儀正しさは母親の育て方が良かったのね」
「えっ、あっ、はい。たぶんそうかと。 そのー、やっぱり私歳の割りには大人び過ぎですか?」
「いんじゃない?礼儀が無いより遥かに。 でも、私的には敬語を外したヨーテルも見たいものだけどっ?」
ちょっとニヤニヤしながらリトはヨーテルに軽く詰め寄る。その小悪魔っぽい顔に、口に入れてたスクランブルエッグを吹き出しそうになり、水を飲んで事無きを得る。そして、むせて涙ぐんだ目で、
「そ、そんなこと言われたって崩しませんから私・・・。 それより早く食べましょう。早くしないと清掃の人が入ってしまうので」
「あっ、それはダメね。早く食べなきゃ」
〜〜〜〜〜☆〜〜〜〜〜
それから少しして、食事を終えた二人は駆け足で部屋に戻り、軽く掃除をした。
その時に掃除は今から来るから良いんじゃ無いの?っとリトは尋ねたが、ヨーテルの返しは使ったら綺麗にして返すは当然っだのこと。確かに正解である。
「・・・よし、こんな感じですね。じゃあそろそろ」
「そうね。バックよし、身支度よし、ルームキー持ったっと。 ところで、部屋の代金っていくらするのよ?食事付きって結構するんじゃ無いの?」
「驚かないで下さいね。なんと・・・タダなんです。 普通はココの旅館1000ポケなんですが、私が常連なのと、暇がある時はココを手伝ってることもあってタダで貸してくれてるんです」
「す、凄いわね・・・ところで1000ポケって結構大金だったりする?」
「いえ、全然。普通のお買い物だけで1000ポケは普通に超える金額です。 シャーナさーん、鍵、何時ものところに入れておきますー!!」
フロントに着くと、裏手に回って引き出しを開け、キーに書いてある番号と同じ場所に置く。すると、奥の方から「ヨーテルちゃん、また来なさいねー!!」っと声がし、大きく返事をすると宿から出て、外に出るのであった・・・・・・