ポケットモンスターズファンタジー〜導かれし者達の軌跡〜

















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[3]Final Story
再開 - 前編
「...いたた......あれ、私は...?」

 ズキズキする身体を庇いながら、私はゆっくりと起きあがっていく。記憶が少し飛んでいるけれど、確か私たちは敵の世界に巻き込まれてしまったのでしたっけ?
 そこから...確かウィアさんと会って...思い出した!

「...いた! モルクさん!ミミアンさん!」

 少々遠くに倒れる二人を見つけて、私は駆け寄って揺り起こした。でもかなり深く眠っているようで、簡単に起きる気配は無さそう...。そう思えばウィアさんは何処に?

「...居ませんね。何処に行ってしまったのでしょうか? あれ?」

 辺りを見回すと、私は床に何かが落ちている事に気が付いた。拾い上げるとタブレット端末だった。どうやら電源が落ちているらしく、画面を何度かタッチしてみる。すると黄色いの尻尾が真っ黒い画面の真ん中に小さく揺れながら映し出されて、市販されているようなホーム画面が映し出された。

「どうやら使えるみたいですね。でも何故こんな所にタブレット端末が...んっ。 この『皆さんへ』って何でしょうか?」

 適当に触ってみて、メニュー画面にそのような項目があることを私は見つけた。何だろうと私は指をアイコンの上に載せようとしたけれど、コレは二人を起こしてからの方が良いとふと思って、押すのをやめた。
 そして、再び私は二人を先ほどよりも強く揺り起こしてみる。すると流石に意識が戻ったようで、二人は目を擦って伸びをした。

「おはよヨーテルちゃん...あれ、ここは何処だっけ......」
「うぅー...なんか僕も記憶が曖昧だよ......」
「えと、説明しますね。まずココは敵世界の中。事の発端はからくり屋敷で起こした爆発で連れて来られた...感じです。そして今は敵世界の中で敵と戦って、負けた...感じかと思います」
「...思い出した。そうよ、私たち一気に攻撃されて倒れちゃったのよね」
「...僕も思いだしたよ。ところでウィアちゃんはどこ行ったの?」
「それは私も分からないのです。けれど、その代わりにタブレット端末が落ちてまして...ココ。ココに『皆さんへ』と書かれたアイコンがあるんです」
「うーん、皆さんへって僕たち三人に大してなのかな? それとも本当に皆さんなのかな?」
「確かしそれは思った。けれど、ココには私達しか来れないわけだし多分そうだと思う。もしかしたらウィアちゃんから私達への伝言を残したのかもしれないわね」
「そうですね...確かにそれならウィアさんが居ないのも納得出来ますね。けれど、仮にそうだとして何故直接言わなかったのでしょうか?」

 疑問はそこ。ウィアさんのような礼儀正しい人なら直接言ってくれそう筈なのに、そんな事は無かった。何か特別な理由があったのではないかと、私は考え始めた。けれど直ぐに止めて、答えはこのタブレットに吹き込まれているような気がしたから。

「...とりあえず、コレを開いてみましょう。なんだかコレに全ての疑問が乗っている気がしまして」
「確かにそうね。元々無かったのにあるって言う事は、コレを見てと言っているようなものよね」
「うん、それじゃあ早く見ようよ。あんまり僕はタブレット触らないからヨーテル、宜しく」
「は、はい。 あの...ちか......」

 近いと言おうとしたけど当の本人、モルクさんは全く気にせずに私の操作を待っていた。わ、悪気やら悪戯心じゃないとは思うけど...ドキドキしちゃうから止めてほしいものです......。とりあえず、再生しないとこの状況は変わらないわけだし、早いとこ流して離れて貰わなきゃ...。
 うぅー...胸の高鳴りと恥ずかしさで体温が上がりそう......。

「そ、それじゃぁ...いきますよっ///」
「はやくはやく!」
「...ちょっとハシャぎすぎじゃない? まあ良いけど」

 ハシャぎすぎというか近すぎと言うか...ううん、もう突っ込まない。私は指をそのアイコンの上に持って行くと、そのまま垂直に指を落として、ディスプレイに軽く触れる。すると画面が暗転して、また中央に黄色い尻尾...ピカチュウの尻尾が小さく左右に揺れ続ける。
 たぶんロード中なのかなと思いながら読み込まれるを数秒ほど待つと、急に尻尾が大きく揺れて消えた。そして画面が光点して映し出されたのは想定内だった。けれど内容は想定外だった...。

『...コレが三人に届いている事を願って、マスターや皆さんに伝えてくれる事を祈って私は話します』
「あっ、やっぱりウィアちゃんだったね」
「そうね。けれど今は話を聞きましょ」
『えと、よろしいでしょうか? ...私はまず、オリジナルのウィアじゃありません。私はオリジナルによって作られたホロウ、偽物です。三人が攻撃されて倒れた後、オリジナルは感情プログラムに大量のエラーを発生。その後、僅かに機能する感情プログラムを無理矢理制御して正常に戻して三人を倒した本人、その場に居た全ての敵対象を消滅させました。けれど...オリジナルは敵対象からの攻撃によりメインメモリーに深刻的なダメージを負いました。結果...オリジナルはシステム崩壊による消滅をしてしまいました』
「で、でも今目の前に居るウィアはウィア本人にしか見えないのだけれども...」
『それに関する答えですが、ホロウの私とオリジナルの私は全くの別物です。オリジナルは人と同じように感情があり、自分で思考する事も可能だった。けれどホロウはそんな事は不可能。 分かりやすく言うならば、ビデオで録画された映像を流しているだけ...この受け答えも多分そうであろうという判断だけ。表情もコノ場所ではコノ顔と仕草とタイムラインコードを参照しながら変更しているだけです』
「つまり、答えられない質問もあるという事ですか?」
『はい、登録されている受け答え以外は全て同じ受け答えとなります。 えーと、続けても宜しいでしょうか?』
「うん、いいよ」
「私も構いません」
「...構わない」
『では...オリジナルは消滅前に二つの事をしています。まず一つはタブレットを生成してデータを吹き込む事。二つ目は皆さんの回復です。オリジナルは僅かに残る正常な思考と使って最後の命令を上位プロセスに放り込みました。それが皆さんを守りたい、必ず皆さんを現実世界に帰すと言うこと。その思い、いえ想いを載せてオリジナルは自らを生け贄に皆さんの身体を治癒させた。 だから皆さんの身体にはオリジナルが居るのです。一緒なのです。目を閉じれば感じられるはず...オリジナルのウィル、想いが』

 ...確かに、そう言われるとそんな気がする。コノ模造品である身体だけれども、ほんのりとウィアさんの暖かさを感じる事が出来る。背中を押してくれるような気もする。
 でも...やっぱり......

「...ヒドいです」
『...え?』
「だって...何も言ってくれなかった! お別れも今までのお礼も...何も言えなかった!! 貴方がお世辞でも本物と言ってくれれば、こんなにも悲しむこと無かったのに!!」
「ヨーテル...」
『...申し訳ありません。そのような回答が帰ってくるとは想定外な為、お答えすることが出来ません』
「ヨーテルちゃんの気持ちはよく分かるわ。だって私も同じ気持ちだから。けどね、何も無いよりは悲しくは無いと思うの。 モルクさんもそうでしょ?」
「うん、そうだね。ウィアちゃんは直接伝えたかったけど、それが出来なくて、苦しい中考えて出してくれた案な訳でしょ?」
『はい、モルクさんの言葉そのままです。涙を流し、悔しがり、寂しがり、怖がり、色々な感情が混ざり合いながらオリジナルは消えてしまった...。けれど、その前にどうにか皆さんの助けに出来ないか、何か残せないか、その結果が今と言うわけです。 ...コレで、私から提示する情報は全て公表しました。次は皆さんを無事にバーチャルスペースからログアウトさせる事。目的地は変わらず中央部コントロールセンターにある管理者コンソールです。 私のせいでありますが、かなりの時間をココで費やしてしまいました...そろそろ脱出しないと皆さんの身体はそろそろ危険です。何故ならシステムはまだ未完全、想定外も十分あり得ますし、早くココからログアウトする必要があります。 納得出来ない、従いたくない等の感情はあるかと思いますが、もしログアウト出来なければオリジナルの行動は全て無駄となってしまいます』
「...わたし、決めました」
「な、何を決めたの? ...ま、まさかココに残るとか言わないよね!?」
「そんな事は言いません。ただ...必ずココから出て、ウィアさんを復元させて怒ります。そしてもう一度お話ししたり笑い合いたい...」
「ヨーテルちゃん...ええ、私も」
「覚えることは好きだし、ライトや文献を漁って君と必ずもう一度会うよ」
『...ありがとうございます。ふふ、こんなに思って貰えるなんてオリジナルは幸せ者ですね。 ...では、行きましょう。自分の身体を取り戻す為に!』
「「「おーっ!」」」

ーーーーー
Side ミミアン

 さてと...あれから何事も無く目的地に到着。なんかずっと耳を立てて物音を感じ取ってたのが馬鹿みたいね。もちろんヨーテルちゃんやモルクさんは気が付いてないと思うけど。
 えーと、今居るところは最終目的地である中央部コントロールセンター。そこから少し外れた管理者コンソールの目の前。うまく説明が出来ないけれど、ココに来るまで身体ギリギリの隙間を通り続け、まるで迷路のように入り組んでいた。それに全て何かしら動いていて、たぶんサーバーやらデーだのやりとりやらしているのだと思う。機械とかよく分からないから感だけれど...たぶん合ってるはず。

「...どう?」
『もう少し.........発見しました! では周辺の安全確認と、システムアタックを開始します。ログアウト方法は先ほど提示した通り...私の合図で一斉にログアウト願います。その後の指示は...出来ません。けれどココで皆さんを全力でサポート致します。 かならず...ここから逃げて下さい』

 そう言いながら高速でウィアちゃんのホロウ...面倒だからホロウと呼ぶけど、凄いタイピング速度で何かをしていった。因みに今だけ実体を出して、半透明なホログラムキーボードを高速で叩いている。その姿はまさにウィアちゃんそのものと言えるし、ライトがするタイピングの癖と似ているような気もした。

『コレで...行けた! 皆さんログアウトを!!』
「う、うん!」
「はい!」

 二人とも足早にボタンを押すと、二人は光になって私の目の前から消えた...ログアウトしたのね。けれど、私はまだ言う事があるから直ぐには行かない。数秒だけ待っててね。

『ミミアンさんも早く!』
「...貴方のお陰でココまで来ることが出来た。本当にありがとう」
『いえ、コレがオリジナルから託されたミッションですから。それにまだ脱出していない。ココを出てからの二人の事、私の代わりに守って下さい。 けれど、自分の事も守って下さいね』
「ええ、分かったわ。 ありがとうウィアちゃん」

 そうお礼を言って、私はバーチャルスペースからログアウト。まるで落下するような感覚がしながら、急に背中に柔らかいものを感じた。その後三人くらいの話し声が耳に入ってきた。
 二人は分かる。ヨーテルちゃんとモルクさんで、もう一人は...聞いた事のない声だけれど、優しい感じの女の人。二人が話しているという事は敵でもないと言うことだから......

「...聞いた事が無い声ね。けれど話している感じは三人とも知り合いって感じかしら」
「うわっ!? え...いつ頃から起きてた?」
「二人より少し後。 って、ちょっと待って何でこんな所にミュウが居るの...」

 目を擦り、目を開けると伝説と言われるミュウが寝ていた私の直ぐの横でゴロッとしていた。ふと周りを見るとモルクさんも私が寝ていたベッドに腰掛けていて、ヨーテルちゃんも同様に腰掛けていた。なんだろう...何事も無ければ平和なシーンだと思うけれど、ココは敵の基地だから何とも言えない。
 それにしても...伝説と言われるミュウがかなり無防備なお姿で......しかも、可愛い。なにコレ、縫いぐるみだったらギュッとしたい...。

『ではミミアンさんも覚醒した事ですし、私の手を握って下さい。皆さんの所へテレポート致しますので』
「うん、この前みたいな感じで飛ぶんだね」
「初めてのテレポート...わたし、少々わくわくです」
「えーと、繋ぐだけで良いの? た、例えば抱くとか無いの?」
『だ、抱くって...確かに一番安全ではありますが、私を抱きたいと思うならテレポート先で御願い致しますね? それでは行きます...テレポート!!』

 少しニコッと私に笑い掛けた後に真剣な顔になって、技の名前を強く唱えた。すると急速な加速感を感じて、直ぐに減速感を感じた。減速時は加速時と比べれば柔らかい感じ。
 ふと気が付くと見たことのある風景...いえ、完全に私達が先程まで居た宿の一室。しかも私達が使っている部屋だった。何故知っているか疑問にはなったけれど、伝説だからで片づいてしまいそうだったからスルーした。

「...帰ってきたのですね」
「うん、そうみたい。Gギアも本物だし、僕達が持ってきた荷物も入ってるし」
「ホントに酷い目にあったわね私達...あっ、ウィアちゃんは!?」

 私はふと思い出し、右手に装着している本物のGギアを使ってウィアちゃんを呼び出してみた。けれど応答は全くなく、帰ってくるのは文字化けしていて分からない文字の羅列。たまにライトさんやリーフさんがパソコンに移るこんな文字の羅列を見るけれど、明らかに違う気がした。
 やっぱりウィアちゃんは...

『気を落とさないで下さい。確かに仲間を失った悲しみはよく分かります。私だって多くの人の死を目の当たりにしていますから...。 もう何百年もの間...ね』
「な、何百年って...ミュウさんは一体?」
『私はですね、ポケモンというもの全ての主なのです。全部私なんですよ。 何も無い世界にアルセウス様というお方が時を司る神であるディアルガ様と、空間を司る神であるパルキア様を作り上げ、更にアルセウス様が生み出した世界を裏側から支える反転世界の神であるギラティナ様を作り出された。その後に私が作られ、最初に作り出したのはアグノムとエムリット、ユクシーです。そして私には色々なポケモンを生み出すよう命令され、生まれてからずっと私を使用してポケモンを生み出してった...主であり、母でもあるのです。 だからですね...///』
「ひゃあっ!? ミュ、ミュウさん!?///」

 顔を赤めながらフワッと浮き上がって私の目の前に降り立つと、なにを思ったか私のお腹に顔を埋めてきた。私はびっくりとして反射的に殴り飛ばしそうに...一体なにを考えているのですかミュウさんは!!

『ふふ♪ 思った通りモッコモコ...うぅ、幸せです///』
「な、なななななななっ!!?」
「...良いなぁ///」
「へっ!?///」

 ちょっとヨーテルちゃん良いなってなに!?
 聞き間違いよね!?そうよね!!?

「ヨーテルそう思えばモコモコしてるの好きだったよね。ミュウさんも好きだったのは以外だけど」
「ま、まじめに解説するのやめてくれるっ!? っと言うか何時までミュウさんは私のモコモコを!?」
『んー、出来ればずっとかなっ/// いやー、まさか私が産みだした子にこんなに好みの子が居るなんて...嬉しい♪』
「いやいやいや!? わたしはミュウさんから生まれてないですからねっ!!? 私は別世界の住人ですか...ら......」

 私は全く持って忘れていた、ココが一体何処なのかを。こんなに騒ぎ立てれば誰か来ると決まっている。しかも来たのが心配していたチームメンバーだったら...

「...何してるのよアンタ達はぁぁぁぁぁあ!!!!!」

 そう、チームメンバーでリーダー...レイエルさん。彼女が騒ぎを聞いて扉を吹っ飛ばして入ってきたのだから。


ー後書きー


 さて、やっと三人が帰還です。うんうん...大丈夫コレ?
 ともかく遅くなって申し訳ないです。かなり時間が掛かっちゃったけれど、最終回までのプロットはやっと出来たので、最後まで進行に悩むことは無いかと思います。

 さて、今回は如何だったでしょうか?
 出来としては60点貰ってもいいかなと思うくらいの出来だと思いますけど...。大丈夫そうならこんな感じに進行して、駄目なところあれば直したいなーっと、そんな所です。

ティア ( 2016/09/14(水) 18:55 )