デジャブ - 前編
ー前書きー
うぅ...まだ痛みが残ってるよ......(泣
少しくらい手加減したっていいじゃないの...レイエルったら......
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「...あ、来た来た。ウィアちゃーん!」
『み、みなさん! よかったぁ...ご無事で何よりです』
ミミアンは遠くに見えたウィアを見つけて、呼びかける。するとすぐに気が付き、目の前に瞬間移動してホッと安堵の息を漏らす。
よほど心配だったのだろう。本人は気が付いていないだろうけど軽く目じりが赤くなっていた。
「心配かけてすみませんでした...。 ところで、ここは一体どこだったのですか?」
『はい。予測通り、株式会社イレクサーのバーチャルスペースでした。脱出するにはログアウトするだけで良いのですが...その場合だと、目覚めた時に危険が生じる可能性が高いのです。 その為には、皆さんが起きたと同時辺りにシステムのコントロールを奪い、外へ案内する必要があるのです』
「えっと...つまりどういうこと?」
『直ぐには戻れないということです。まずは、何処かにある筈のコンソールを探します。 ですが、確実にこのエリアは無いでしょうか...』
不意にウィアの口が止まり、一点方向を見る。何かと思い三人も振り返るとソコにはジュプトル、ストライク、ゴウカザル、フーデンが突如として表れていた。だが、その顔はどこかで見たことあるような...いや、ホントに昨日アーシア達が戦った者で間違いないだろう。
「こ、この人達、アーシアちゃんと戦った奴らじゃ?」
『のようですが、どうやらコピーのようです。しかも、どうやら戦う気満々のようですね...』
「...た、戦い方はいつも通りで良いのですよね?」
『いつも通りが私には分からないですけど、通常通りで良いかと。では面倒なフーデンは私が引き受けます』
「了解だよ。なら僕はゴウカザル行くね。タイプ的に草タイプは辛いし」
「なら私はストライクに行くから、ヨーテルちゃんはジュプトルお願い」
「は、はい! じゃ、じゃあ行きますっ!」
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Side ウィア
『あなたのデータは既に学習済み。エレキウイップっ!』
私は雷を身体に貯めた後、丸で縄のように電気を振り回した。物理的なダメージは一切無いけど、狙いを定めて電気を放つよりは効率が良いからね。それに、知らない技に知らない動きで対処が遅れてるから...
「...うぐぅ!?」
まあ、必中でしょう。ふふ、あとは電気を流し入れて...って、遊んでる暇はあんまり無いわね。ココへのダイブはダミーアカウントを使って無理やり入り込んでるから、いつアドミニストレータにログを勘付かれるか分からない。それに、この中ではヨーテルちゃんが一番戦闘向きじゃない。
『...手っ取り早く終わらせて貰うわよ、ドロップボルトっ!』
ウイップを消してから、また身体に私は電気を纏う。電気の痺れが無くなって私に突進してくるけど、回避は簡単。突進をジャンプで回避して、直ぐに腕を振り下ろして貯めた大出力の電気を落雷させた。コレもクリーンヒット。ここまで巨大な衝撃を与えればどこかに...あった。
『...アイアンテールっ!』
捻りを加えて、私は背中にあった亀裂にアイアンテールを叩き込んだ。コレだけ大きな衝撃を与えて、内側から連鎖反応崩壊させれば...貴方は消滅。さてシステムには...警戒されてるね。次のダミーデータに引き継がせて......よし、次はジュプトルね。
「か、火炎放きゃっ!? ...ウィアさん!」
...うん、やっぱり一人だと力不足ね。ギリギリ走りこんでリーフブレードをアイアンテールで相殺できたけど、これが両方とも発動して切り掛られてたら危険だったかな。取りあえず、
『ヨーテルちゃんはバックアップ頼みました。私が代わりに突っ込むので』
「は、はい」
今度は両手に電気を纏いながら、私はヨーテルちゃんを背中に回した。なんか後ろからカッコいいとかヨーテルちゃんの声が聞こえたけど、置いておくとしよ。にしても電気が効かないのは辛い。そこそこ権限があれば対応表を書き換えちゃう分けだけど、コンソールが手元にあればの話。
『...電光石火! クイックインパクトっ!!』
電光石火で一気に私は間合いを詰めて、そのままの速度でアイアンテールを叩き込んで、相手はひっくり返った。この技は元々アーシアちゃんが得意として、メイン攻撃に分類される技だけど...かなりリスキーな技ね。タイミング間違えばコチラがダメージ受けかねない。
「フ、フレアドライブっ!」
...へぇ、いつの間にそんな技を覚えてたんだ。けれどまだ覚えたてのせいかあんまり威力無しってところかな。っとなると、物理技はフレアドライブとアイアンテール、爪によるひっかき攻撃...はカウントして良いか分からないけど三つね。技的には安定しているけど、戦闘する事に躊躇があるのね。でも...
『タイミングばっちりですよヨーテルさん!』
やっぱりこの子はサポートが一番適してる。ならそれを伸ばしてあげるのが保護者の務めかしら?
「あ、ありがとうございウィアさんっ!」
『っ!』
...何とか避けれた。まさかエナジーボール覚えてたなんてね...油断大敵というところか...。
「ウィアさん大丈夫ですか?」
『ギリギリ避けたから平気です。あのヨーテルさん、私に当たっていいので、全力で攻撃して下さりますか? 技は近接以外ならなんでも』
「え...でも」
『信じてますから大丈夫です。では合図の後に...電光石火っ!』
大丈夫だからと私は笑いかけて、また私は相手へと突っ込み、辺りをグルグルと走り回る。その行動に私を捉えようとリーフブレードを振り回すけど、素早さでは私には勝てないし、第一に的も小さいだろうから当たることはない。動きもほぼ一緒のところを見ると、アルゴリズムエンジンはそこまで性能は良くない...?
『なら...ヨーテルさん!』
「は、はいっ! 火炎放射!」
もし、貴方に当てようとした攻撃が私に当たった場合...どういう挙動するかしら。ごめんねヨーテルちゃん...試させてもらうわよ。