写し身
ー前書きー
今回はかなり短いです。お話的には前回と合わせて一話という感じかな?
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「ほーら! コピーなんかに負けちゃって良いのかしらオリジナル!!」
「う、うるさいわね!! ぴよぴよパンチ!!」
こ、こいつコピーの癖に私より強い...何か撃つ手を考えなきゃこのままだと負ける!!
身体の疲労具合とダメージ具合的にミミアンは勝敗を分析する。が、相手は無傷で疲労が蓄積している様子が悔しいが全くない。敵ながら凄いですねと皮肉りたい程である。
「...はぁぁぁぁあ!! くっ!?」
「だから...技が大振りだし分かりやすいのよオリジナル!!」
「ぐふぅ!? ...げほっ!!げほっ!!」
攻撃を両耳で受け止められ、そのまま身体をねじ込んでミミアンのお腹にアッパーを決めてふっ飛ばした。殴られた本人は壁までふっ飛ばされたが、壁に当たる前に空中で姿勢を変更して、直ぐに立ち上がった。けれど、クリーンヒットしたお腹が痛くて苦しいのか、崩れ落ちてしまった。
それを見てた、もう観客になっているコピーのモルクとヨーテルが、
「なーんだ、案外弱いね。もう少し耐えるか、倒しちゃうと思ってたのにねー」
「確かに期待外れですね。オリジナルよりコピーの子を連れていけばこんな事にはならなかったでしょうに」
「まぁしょうがないわよ。コピーと言っても、貴方の数倍も強くなる様に強化されてるのだから」
「だよねー。こんなへっぽこのオリジナルより、コピーの方が何倍も強いからね!」
このくらいなら耐えられた筈なのに、ミミアンの中で何かが大きな音を立ててブチ切れたような気がした。そして同時に生まれたのは...
「...あ、あなた達......人を馬鹿にするのも大概にしなさいよ...。 あんた達なんか...コピーなんかが!オリジナルなるなんかに敵うはず分けないのよっ!!」
目の前の相手を倒す...それだけだった。そんな単純な事だが、捻れた心もなく、純粋に敵を倒して勝利を勝ち取る...決してどんなに怒ろうが皮肉ろうが、はたまた殺そうなどの事も無く、敵に向き合い倒すという気持ち。
そしてミミアンは呼吸をひとつして、同じように飛び込み姿勢で殴りに行く。それを見て呆れ顔でミミアンのコピーも同じように避けようとした。が、
「変わってなぐふぅ!!? ...な、いったい今は何を...!?」
なんと、今まで一度もダメージを与えることの出来なかったコピーに始めて攻撃を加えたのである。しかも右ストレートをクリーンヒット...だが、それより何故同じように攻撃したのに攻撃が当たったか把握をしていないコピーのミミアン。けれど、その答えを導き出したのは観客になってしまっているヨーテルのコピーだった。
「...か、影分身? いま一瞬だけ、ほんとに一瞬だけ動きにディレイ(遅延/rt>)があったような気がしましたが......」
「ディレイ? 僕はそんなような気は無かったけど...」
「げほっ!! ...認めない。絶対に今のは偶然よ!私はオリジナルより強いのよっ!!」
耳を丸めてコピーは突っ込み気味でミミアンに迫る。けれど、殴る直前で左拳に力を入れて殴った...
「うぎゅ!!? ...かはっ!」
その拳の攻撃に崩れ落ちるミミアン。殴られた箇所を支えながら、痛みと苦しさに耐えながら相手を睨む。けれど睨まれた相手は涼し顔で崩れ落ちたミミアンを見下ろしていた。
そして...
「...どう...して!? どうしげほっ!!げほっ!!...どうして私がオリジナルなんかに!!?力とテクニックは数倍強くなってる筈なのに!!」
「その二つは...でしょ。でもスピードはどうかしら? もしもコピーが使えなくて、もしもオリジナルなら使える技があったらどうする?」
「っ!? ま、まさかさっきの攻撃は...」
なんと、崩れ落ちたのは又もやコピーだったのだ。そしてミミアンは見下しながらニコッと笑いながら、両拳に電気を纏うと。
「ええ、その通りよコピー...いいえ、私の写し身と言っておきましょうか。色々と勉強になったわ、ありがと。 でも今は勝負...勝たせてもらうわよっ!!」
右アッパーで浮かせたあとに、すぐ左手で攻撃をした。それを避けること無く受けて無造作に転がった後、コピーのミミアンの身体がガラスのように砕け散って、淡い光になって空中へとキラキラと消えた。
その時に、微かに「ありがとう」と聞こえたような気がしたミミアンだった...