ポケットモンスターズファンタジー〜導かれし者達の軌跡〜

















小説トップ
[3]Final Story
屋敷の仕掛け - 前編
「誰と申すか。 それはお主たちが先に名乗るものだろう?」

 そう言うと、暗闇の中で先ほど撃ち込まれた蒼い球体を両手に一個ずつ生成して放ってきた。それをレイエルは同じようにキャッチして光へと分解しながら、

「その言葉、ソックリそのままお返しするわ。さあ、早く隠れてないで出て来なさいよ。 それとも怖いのかしら?」

 クスクスと笑いながらレイエルは挑発をする。因みにレイエルには敵の姿はハッキリと見えていた。
 それは波動と覇気、不屈の心を持って戦うルカリオ。そして電気を自由に操り、地を強く駆けるレントラーである。けれどルカリオは良いとして、レントラーからは何か、よく分からないが気押されする様な感覚があった。

「我に恐怖など無い。だが、そこにお主らが居られると好都合でね。 一方的に攻撃出来るという意味での!!」

 今度は大きめな蒼い球体、波動弾を連発して放ち、今まで何もして来なかったレントラーが身体をバチバチと音と電気を纏いながら中へ入ってきた。これは明らかに不味い、逃げ道はひとつも無いし、結局素材が分からないが電気を通すものだったら触っただけでも感電である。
 だがそう思っている間も中々すぐに放たれず、身体をバチバチさせるだけで、何もアクションを起こさない。かと言って溜めているわけでもなさそうで、警戒をしながらルカリオのが放つ連続の波動弾を四人は避け続ける。

「お主ら、避けるだけでは我に勝てぬぞ? それに...」

 不意に攻撃をやめると、ルカリオはくの字に折れたドアを持ち上げ、山折になっている面を自分に向けて

「こんなの簡単に直せるわ! はっけい!!」

 ガガガガンっ!!と多段の轟音に耳と目を塞ぐ。そして、ゆっくり目を開けると目に写ったのはくの字のドアが多少まだ歪みがあるが、枠に収まっている事だった。しかも中にはレントラーが取り残され、未だにバチバチと続けていた。

「ふはは、冥土のお土産に1つ教えてしんぜよう。 その場所はかつて、拷問に使う小部屋。色々と壊れているようだが、まだ生きている機能があってだな...まあよく考えたものだ。 まさかアルトマーレの性質を生かすとはな」

「アルトマーレの...性質を生かす? 一体何を言ってい...うわっ!?」

 モルクが考えを導き出すよりも早く、天井に付いた四つの穴から大量の水が流しこまれる。しかも塩臭く、一瞬でコレは海水と判断することが出来た。けれどそんな事よりも、中央に立ち尽くしているレントラーが電気を放出し続けている為、水に触れて身体の身動きが痺れて動きが鈍くなっている事だった。
 慌ててレイエルがレントラーを止めようとしてサイコキネシスを使おうとするが、今まで攻撃して来なかったレントラーが集中的にレイエルの事を攻撃を始めた為、近づく事も出来ない。かと言って、レイエル以外が近付いても同じように攻撃を放ってくる為に同様に近づく事が出来ないでいた。
 しかも、閉じ込められた部屋は縦横高さが六メートルくらいしかない閉鎖空間である。しかもその四隅から凄い勢いで海水が流しこまれ、五分もすれば身体の半分まで余裕で貯まるほどの水量である。

「っ! 卑怯だよ!!」

「卑怯?その言葉は褒め言葉か何かか? 我なんかに善など元々あらぬ。ふふ、せいぜい死ぬまでの時間、ゆっくりともがいていれば良かろう」

 そう言うと、除き窓を閉めて更に水量を増やす。しかも轟音でお互いの声が微かしか聞こえない。そうバタバタしている間に足首は既に超え、膝辺りまで来ようとしていた。そんなことより一番不味いのは先程も言ったレントラーが放つ電気、そして水がタイプ的に駄目なヨーテルである。

「いや...いや......」

 自分の腕で自分の締め付けるような姿勢で立ち尽くし、薄っすらヨーテルの目元には涙が光る。そして身体は震え上がり、尻尾の炎も安定しなく、最初こそ赤い光で照らし出されていたが、今はレントラーの蒼い稲妻が辺りを照らしていた。

「くっ...もう一度ドアを破壊出来れば......ぴよぴよパンチ!!」

 ヨロヨロと扉の前まで来るとミミアンはドアを殴るが、ビクともしなかった。音もドスと響かなく、撓りも無いもない事から、まるで壁を殴っているような感覚だった。

「...やっぱり、助走も勢いも付けられないから威力が...。 このっ!このっ!!このぉー!!」

 左、右、左と連続でパンチを打ち込んで行くが、変わらず帰ってくる音は全て乾いた音。何度打ち付けても、血が滲もうが殴り続ける。ふと気が付けば水位は膝上を超えていて、本格的に動きに制限が掛かってくる。けれど水量が増えたせいか電気は弱まって、少しは動きやすくはなっていた。
 けれど、未だにレイエルに対して攻撃を緩める事はせず、しかも水がお腹に達しようが続けている辺り、執念深いのか、はたまた今までのように感情が無いのか...どちらにせよ異常なのは、この危機的状況でも簡単に判断は出来た。

「こ、このままじゃ不味い...ヨーテルさん、僕に捕まって!」

 水を掻き分けながらモルクはヨーテルのの頃へ向かい、そのままお姫様抱っこをした。尻尾の炎は既に消え掛かっていて、いつもではありえない程に身体も冷たく、危険な状態だった。そして、そのままミミアンの隣に密着する程に近寄ると

「...ミミアンさん、確かミミアンさんが持つポーチに恐爆の種...一個あったよね?」

「あ、あるにはあるけど...ってまさか!?」

 いままで殴って血が滲むドアを見ながら、足を動かして水をバシャバシャさせた。最初こそ分からなかったが、案外直ぐにその意味をミミアンは理解する。
 つまり恐爆の種を使ってドアを吹き飛ばそうと言うのだ。当然そんな事をすれば部屋全体が火球に巻き込まれる事になる。だが、足元にある水に潜ればダメージをある程度無効化出来るのではないかとモルクは考えたのだ。

「そう、そのまさか...けれど、今はこれしかないと思うんだ。幸いコレには丁度いい感じに置ける所があるし、爆破時に狙い撃つだけで済む。でも、その前に...レントラーを止めなきゃね。 ミミアンさん...動けそう?僕、ヨーテルさんが濡れないように持ち上げるだけで結構精一杯なんだよね...」

「...分かった、ヨーテルちゃんの事は頼んだわ。 手は使い物にならないけど、コッチならまだ動かせる」

 耳を伸び縮みさせて、まだ大丈夫とアピールした後に両方共くるっと縮ませる。

「良かった...ゴメンね、頼んだよ!!」

 腰辺りまで来た水にモルクはヨーテルを頭上に持ち上げながら頼む。けれど、言葉と反対にモルクの腕は震えていて結構辛いのがすぐ受け止められた。そして、持ち上げられているヨーテルは目をギュッと力強く瞑り、縮こまっているのをミミアンは見ながら

「ええ! アレの腹に一発、キツイのを決めてくる!!」

 っと、意気込んでレントラーの元へと潜水して向かうのであった......。



現在浸水率46%

■筆者メッセージ
2016年6月29日
 ちょっとしたミス変更
ティア ( 2016/06/29(水) 21:58 )