ポケットモンスターズファンタジー〜導かれし者達の軌跡〜

















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[3]Final Story
みんなに託すもの - 後編
ー前書きー

 やっぱり四苦八苦するの(´-﹏-`;)
 やはり戦闘より心を動かすとか、会話とか得意みたい。けど練習しなきゃなー...戦闘シーン(汗)

ーーーーー

「...ふふ、コレは予測外って感じね」

 誰が行くなどの会話をしている中、ゆっくりと前へ出ると同じように姿勢を低くして立つものが一人。その者とはシルクで、尻尾を風でなびかせるようにしながら、来る瞬間が来るまで目を瞑って瞑想をしていた。

「瞑想...やはり戦う側に使われると厄介、か」

 ポツリ、そう漏らす。瞑想は心を落ち着かせる事が第一で、その後の行動にかなり差が出る。例えば焦って物事をするより、充分に時間があるときにするとではかなりが差が出る。
 ポケモンと言う生物は案外脆い物で、心の感情で身体の動きに色々と乱れが出てしまう。技を放てない、当てられない、威力が出ない...その人によって様々な悪影響を及ぼし、またはそれらが重なってしまうことだってありえない事も無い。それを今、向き合っているシルクは知っていた。
 いや、知っていたと言うより聞いていたの方が正しいかもしれない。そして今、フィリアさんは感情的になっている。


 初めの全力とは行かないかもだけど、かなり強いはず...気を抜いたら一気にたたみかけて来るかもしれない。用心しなきゃ...よし。


「...終わったわね。 氷の礫っ!」
「お、多いっ!? シャドーボールっ!!」

 瞬間的に礫を周囲に生成し、一斉にシルクに向かって打ち出す。その量に驚きにがら、シルクはとっさにシャドーボールを核分裂の方式で同じく無数に生成して攻撃をなるべく相殺する。けれど、お互い相殺はし切れずにダメージが入る。
 そして、ダメージが大きかったのはやはり後出しになったシルクで、案外氷の礫が鋭かったため、切り傷のように細長い傷が刻まれる。

「っ...サ、サイコキネシス! シャドーボール! 目覚めるパワー!」

 少し焦りながらシルクは地面に落ちている氷の礫を拾い上げて氷属性、シャドーボールの霊属性、目覚めるパワーの竜属性を手に入れ、身体の周りに浮遊させる。だが水属性だけは落ちている物だけを拾っているので、他に比べてエネルギー球の大きさが一回り程小さかった。
 改めてシルクの戦い方を補足すると、シルクは特殊技を属性へと分解し、その属性による様々な反応を組み合わせて戦うなどをするテクニシャンである。そして物理技は首元でなびくスカーフにより使えなくなる代わりに、戦闘に関してでは技の威力の向上と速度上昇が乗っかる。
 話しを戻すと、今ある属性は氷、霊、竜の3つ。各効果は扇拡散、飛散数増加、膨張。そして相性は氷と竜の相性で弱い属性を核として螺旋運動後に強い属性が消滅する。そして、同じ属性の場合だと合わさった反応となり、同じ属性でも小さい物に大きい物をぶつける事により、核分裂の用に分裂していく。それが先ほど氷の礫を相殺しようとした時に使った方法である。
 因みに2種しか基本的には混合する事は不可能な為、3種類ある今のパターンだと6通りの混合しか無い。だが、さっきも書いた通り同じ属性と大小で色々と変わってくるので、かなりバリエーションは豊かではある。その中でシルクが選び出したのは。

「コレで...行かせてもらうわ!」
「どんな技か分からないけど...冷凍ビーム!!」

 灰色に近い色である龍属性をコアとし、そのコアを巻き取るような形で濃い青色である氷属性のビームをフィリア目がけて一直線に放ち、その対抗で冷凍ビームを発射する。衝突すると、やはり威力はフィリアが放つ冷凍ビームが強いらしく、シルクが放つビームが押し返されそうになっていた。が、それよりも...


 余裕な顔をしてる...一体どうして?


 シルクはその状況でもまだ余裕とでも取れる顔をしていた。なぜ?その言葉だけが頭の中で何度もグルグルとループする。まさか、押し切られそうなのにまだ秘策があるというのだろうか?それとも...余裕とでも見られている?
 ありえない。それに喘息が何?それくらいじゃ私は弱らないわよ!!


「ひゃっ!?」

 急にぐいっと押され、シルクの技が弾け飛ぶ。そして押すものが無くなった冷凍ビームは、反応の遅れたシルクの身体の後ろ足を捉え、そのままバランスを崩して倒れた。それと同時に集めていた属性の球体も光の泡となって無くなる。

「...ま、まさか押し返すどころか発散させられるとは...予想外ね......」
「さ、さっきの...はぁ、はぁ...余裕の顔は...どうしたの...よ? や、やばい呼吸が...」

 ふらっと、苦しそうにフィリアは肩から大きく呼吸を繰り返し始める。それを見てギラファは試合中断をしようとするか、いつの間に横に居た旅館の女将がそれを静止した。何だと思いながら見上げると、



「止めるんじゃないよ。あのくらいの娘なら自分の事を一番分かってるはず。 この道30年のあたいが言うんだからね」
「そ、そうか...。あ、改めて言うが...確かに破損はしていないが、ココまで暴れても...良かったのか?」
「ダメならダメと初めに言ってるわ。けど、心と心のぶつかり合いが出来るのは案外短い物。 それをあたいは見届けたいだけの事よ」

 二人をまっすぐと見つめながらそう答えた。しかもその目は真剣そのものだった。

「...分かった。そこまで言うなら後で何かあっても対処してくれよ。大女将さんよ」
「大は余計。 それに対処は当然するし、どんな事にも柔軟に対応するのが旅館の勤めよ。それに、貴方達だけを貸し切る前にお客は居たけど、全キャンセルして貴方達を受け入れてるし、居る間は全面的にお世話するつもりよ」
「...そ、そうか......」

 胸にドンと手を当てながら言われ、ギラファは苦笑いする。それに、他の客が居たなんて初耳だった為、少々申し訳ないという気持ちと、凄いと思う気持ちが丁度半分の天秤でメモリが釣り合っていた。



「はぁ...はぁ......わ、わたしは...こんなんじゃ、ない! 氷の...礫!」

 肩でまだ呼吸をしながらも、フィリアは動けないシルクに向かって発射する。だか最初のような量は無く、距離も足らなく、尖ってもいなく、身体に当たっても全く痛みなどはなかった。これ以上無理をさせてはならない。シルクの中にある危険センサーが敏感に反応し、後ろ足を引きずりながら前足だけで前へ進んでいく。それも、優しい笑顔で...。
 その笑顔は先程と同じ笑顔で、フィリアはまだ余裕なのか、そしてその笑顔の先は何を考えているのか、今度は疑問へと変わった。なら、その疑問の答えを知りたい。その目の光の先に何があるのかを、知りたい。でも、今している事は対決...確かにかなり動けないという事は分かった。分かってしまった。戦う意味があるのかと思いが片隅にあるのも分かった。
 そうこうしているうちに、2人の距離は1mまで縮まってもう目と鼻の先になりつつあり、この距離なら技を当てれば確実に当てることが出来る。そう思って口にエネルギーを貯め始めるが、息苦しさが先に来て溜め込むのは困難に等しかった。しかも、溜めようとするごとに肺が圧迫されるような息苦しさに見舞われ、満足に技が発動出来ない。


 ...そう、やっぱりあたし...もう戦えないんだ......。


 そう判断するしかフィリアには選択肢は無かった。でも、そうしたら私は何に貢献すればいい?ただのオペレーターで良いの?確かに前、ナルトシティーの親方の一件から確実に身体に異変を感じ始めているのは確かである。たまに悪夢でうなされる夜もある。夜中に、自分の意思なく身体が少し動く事もあれば、普段考え付かないような考えが思い浮かぶ事だってある。
 まるで自分の中に誰かが居るように...でも、

「...ふう、中々辛いわね前足だけって。 じゃあ、ゆっくり...深く...身体に空気を染み込ませるように吸い込んで」


 シルクの様な真正面に向かってくれる人が居るならば、私は大丈夫。今までちゃんと全てを話しを聞いてくれ、過去なども全て受け入れてくれたのリファルだけだったけど...この子達なら話せるかもしれない。
 私が誰で、どんな人物で、何者だったのかを......。


「え、ええ...。 シ、シルクさん...」
「ん、なにかしら?」
「そ、その...ありがと/// あなた達なら私の過去、未練を...託せるかも」


 そんな気がした。でも、


「...くすっ」
「なっ!? なんでごほっごほっ...笑うのよ!?」
「いえ、ふふ...悪い意味があってじゃないわ。そんな顔をするフィリアさんを見るのが初めてだったから、つい」


 笑われるような事をした覚えはない。けれど...このやり取りも新鮮な気がする。リファルだと出来ないこの至近距離、そして...女だから出せる魅力......。そっか、


「...えっ? 氷が......」
「自分が出した氷は自分で後始末しなきゃでしょ。 立てる?」
「...ええ、大丈夫みたい。やっぱりフィリアさんには敵わないわね...負けを認めるわ」


 わたし、こういう人に憧れてたんだ。どんな人だろうが真正面から受け止めて、受け入れることが出来る人を...ありがと、シルク。


「...いいえ、私の負けよ。シルクの言う通り、私は行動を控えるそのかわりに私の夢、この世界を元に戻す事...その事を改めてみんなに託すわ。 ありがとシルク、そのことに気が付かせてくれて。これはちょっとしたお礼」


 なるべく控えめの力で私は冷凍ビームに少し細工をしてとあるモノを作り出した。感謝と願いを込めた、私が死ぬまで溶けない氷で作るアクセサリー...。


「...はい、クリスタルのイヤリングよ」
「...綺麗。私にくれるの...?」


 渡されたものはフィリアの頭部と同じ形をした菱形の小さなイヤリングだった。それはフィリアのように淡い水色でヒンヤリしていたが、溶けるような素振りが全くなかった。


「コ、コレは...どうやって?」
「詳しくは言えないけれど、私の欠片みたいな感じなのかしら。 だからそれを...付けて欲しいの。この戦いが終わるまで、ずっと」
「...分かった、大事に付けるわ。 ありがとうフィリアさん」

 手と手が触れ合った瞬間、二人を軸としてフワッと一瞬だけ風が起こる。それがなんなのか分からないが、アーシアにはフィリア冷たさとシルクの暖かさで心地良い温かい風が自分達にも流れた...。

ティア ( 2016/06/07(火) 14:10 )