旅館にて
ー前書きー
やっぱり旅行って楽しいよね。そんな事がイメージ出来るような執筆をして、その思いが読者側に伝わり空想が出てくれれば幸いですん。
前回に続いて今回も会話がメインかな?
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しばらくして、三つのチームは色々とありながらも全員戻り、それぞれの部屋へと戻った。ちなみに各チームがやったことを話すと。
まずアーシアチームはSecretGardenに迷い込み、伝説と呼ばれるラティアスとラティオス達に出会った。そして帰る途中にドリームメイカーズの人達四人に待ち伏せされたがラティ達の援護もあってなんとか勝利して戻ってきた。
シルクチームはループしてしまう不思議な空間に閉じ込められ、アルトマーレ地下経由で脱出。途中で心囚われし者と戦闘があって苦戦はしたが誰もやられずに帰ることが出来た。
レイエルチームは東エリアを担当し、メンバーはレイエル、モルク、ミミアン、ヨーテルっというちょっと変わった?構成になっていて、まさかの男女利率3:1という割り振りである。かと言ってモルクは別に気もしていないよう。
その事はともかく、レイエル達が調べたことは西地区の工場地帯の反対、食べ物に関する方の加工所や市場などが集まる南地区の次に人口が多いエリア。ココで調べることは住民に聞き込み調査をし、最近変わった事が無いか、疑問、不安に思うことがあるか、そんな事だった。
何故こんな事になったかと言うと、全員人と話すことに関して何も躊躇いも無く行けるため、諜報班としては一番適しているのではないかという全員からの意見である。それに、もし何かあったとしても相手への十分な隠し玉は持っているのも、指名された理由でもあったりする。
「ふぅー、なんかどっと疲れちゃった...ご飯前にお風呂でも行こうかな...?」
「アーちゃん、そしたらボクも行くっ! マコトさんとリファルさんはどうする?」
「行こうかな。それと、男湯と女湯に別れてるだろうから一緒は無理だと思うけどね」
「あぁ?男湯女湯? 何だそっちの世界はわざわざ風呂を分けてるのか?」
「「「えっ...?」」」
「...冗談じゃないみたいだな。因みに分けられてるとしたら高級な、星が付くほどの高ランクのホテルだ。こんな感じの宿は別れてなどいない。 あと俺はパスだ。後でゆっくりと入りてぇからな」
「そう、なら行こっかアーちゃんにマコトさん。そうだ、どうせなら他の人も呼ぼっか?」
そうですね。マートル君やモルク君やウォルタさん、あとまさかのライトさんとか」
「ならこっちはレイエルさんとミミアンさん、レミさん、シルクさん、あとフィリアさんかな?」
「なっ...」
「うん?なにか言いました?」
「...いや、何も言ってない。早く行ってこい」
「うん? じゃ、行ってきますね」
「いってくるナノ!」
「行ってくるナリー!」
アーシアとスイレンとマコトは部屋を出た後に別れてそれぞれ呼びに行った。けれど、声を掛けてみると案外揃わないもので、結局来たのはシルクとマートルだけだった。どうやらまだやらなきゃならない事があったり、何か話し込んでいたり、色々していたから仕方ない感があるが、残念である。
「ところで、お風呂一緒に行こうと言われて来たのは良いけど...こっちの世界に来てからお風呂に浸かるのは初めてよ私。前の世界だとユウキ...私のご主人が洗ってくれたから」
「私はトレーニング後に入ってました。それに、この前はスイちゃんとマートル君とですね。 なかなか楽しかったです。くすぐられるのはゴリゴリですが」
「うっ...まだ身に持ってる......」
「えっ? マートル君、スイレンさん何したのの...?」
「うーんとね、アーシアおねーちゃんがグッタリするくらいくすぐったんだー。スイレンおねーちゃんがやっちゃってもイイよっていったから」
「あ、それで暫く二人に背中を見せないようにしていたわけねアーシアちゃんは...」
その言葉に二人を見ながら相槌を返す。アーシアはシルクの言う通り、しばらくの間だけ背中を見せないようにしていた。理由としてくすぐりがいがあるとかで、気を抜いたら本当に二人からくすぐられていたからである。
「話を出しておきながら、今はされてないですね。良かったと言えば良かったのですが...いきなり無くなって、終わった後から話し出す雑談とかもスパーンと無くなってしまったので...なんか複雑というか...寂しいと言うか......」
「...アーシアちゃんて、もしかしてマゾヒスト?」
「っ!? なっ、なにいきなり言い出すのですかシルクさんっ!!? わたしはそんな人じゃないしSでもMでもありませんからねっ!!?」
「えっ、てっきりアタシはそっちだと思ってた」
「スイちゃんっ!!?」
「し、静かにしましょっ! ボク達以外に宿泊してるとか、特に女将さんとかに怒られますからっ!」
「...そうですね。ふふ、スイちゃん後でお仕置きさせてもらうからね?」
「アーちゃん...顔が笑ってないよ......」
「ねーねー、おふろってココじゃないの?」
ふと声で全員立ち止まって振り返ると、マートルが『ゆ』と書かれた幕が場所で立っていた。どうやら話に夢中で行き過ぎてしまっていたらしい。
すぐに戻り中へ入ってみると、至って普通の銭湯のように棚が複数設置してあって、その棚には荷物を入れる為のカゴが置いてあった。あとはお馴染みのドライヤー、体重計、そして牛乳等が入れられた冷蔵庫。因みにラベルには、ミルタンクであろうポケモンがデフォルメされて瓶に付けられていた。
「へぇー...見た目は完全に僕達が居た世界の銭湯と一緒なんだね。違いを言うなら、少し低く設定していることくらいかな?」
「あれ? マコトさん使ってた事あるのです?」
「何度かね。帰り道にあるからついでに入ってちゃうんだよね。 そうすればお風呂洗わずに済むし、ご飯食べたらすぐに寝れるしねー」
「なるほど。 じゃ、みんな用意出来たみたいだから...開けますね?」
横開きの扉を二本足で立ち上がってアーシアは引き開けると...
「おー、割と本格的ナノ!」
「なんかヒノキと同じ木の匂いがする」
「おんせんおおきいー!」
中は十人くらいでもまだ余裕がありそうなの広さを持つそこそこ広めな浴場だった。床は滑って怪我をすることの防止なのか、表面はボコボコしていて、そして水捌けが良いのか少しくらいしか濡れて無かった。それとも一番風呂か。
少し違うところと言えば、シャンプーとリンス、そしてボディソープ、桶などが棚に綺麗に並べられていて、自分で取っていく様なスタイルだった。椅子だけはシャワー前に並べて置いてあった。
それと身体の大きいポケモン向けなのか、高い位置に設定されたシャワーとサイズが大きめの椅子や桶、各種ボトル、そして注意書きされた深めの浴槽。それくらいだった。
「やっぱりどこも銭湯...と言うかこういう所は同じ感じになるんだね」
「みたいですね。私も連れられて行ったことありましたけど、やっぱり同じ感じでしたね」
「私はギルドに居る時入ってたわ。少し忘れてたけ...熱っ!?」
「っ...設定が高めかな? 水は...あったあった」
「僕は熱いのが好きだけど...流石に高いかな。マートル君は大丈夫?」
「うん? ぼくはさいしょからおみずのほうひねったよー。おゆよりやっぱり、おみずがいいから」
「熱っ!? 私も水の方に多めに捻よ...このくらいなら良いかな...」
全員水多めに捻り、自分に合う適度な温度に調整したのちシャンプーやリンス、ボディソープ等を持っていく。けれど、やっぱり四足歩行であるアーシア、シルク、スイレンは背中は届かないので洗ってもらう事となる。マートルとマコトに対しては背中にタオルを回して動かせば洗えるし、頭の後ろ側も普通に届く。そう言いつつ、シルクの場合はサイコキネシスで、手の届かない頭の後ろ以外は洗えることが自分で出来るらしい。
「...痒いところない?」
「あ、大丈夫ですよシルクさん。とっても気持ちいいです...」
「ふふ、なら良かった。 私ね、アーシアちゃん達と出会ってから初めての体験だらけ。不謹慎だけど凄く楽しいし、わくわくしてるわ」
「わたしもかな...? まず私達の場合ポケモンになった所からわくわくは凄いです。技がどんどん使えるようになって、動けるようになって、強くなって、そして様々な出会いと仲間...どれも私の一生の宝物ですっ」
「ふふ、私も初心に帰って何かしてみようかしら。 あ、流すわよ」
「うん.........」
熱くないか自分の手で確認を取ってからシルクはゆっくりとお湯を掛けていく。この時、口でシャワーの取っ手をくわえ、コントロールしやすいように水量は弱めで洗い流していく...
「...ひゃっ!」
「...あ、耳に入っちゃった?」
「な、なんか耳が変な感じに...」
「ごめんねアーシアちゃん...えっと、頭を下ろして少し姿勢を前に出来る?」
「こ、こう?」
「ええ、そのまま私に頭預けて? ...どう?」
「...無くなった、ありがとシルクさん。 次はシルクさんですね。」
「お願いするわ」
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「うぅーん、気持ちよかったぁー...。 けれど、まさか少し寝ちゃうとは思ってなかったです」
「私も少し寝ちゃった。なんか久しぶりにリフレッシュ出来た様な気がする!」
「ぼくもー」
「私もそんな感じがするわ。船の中のお風呂も入ったけど、揺れて気持ち悪かったから浴びただけで出てたし、ライトさんの家のお風呂を借りた時もシャワーだけで浴槽には浸からなかったから」
「僕も基本シャワーでしたね。船の中のでは浴槽に使ってましたけど」
アーシアと続き、スイレン、マートル、シルク、マコトと続く。因みにアーシアに至っては四足歩行ではなく、二足歩行で歩いていた。因みにこれと言って理由は無いもよう。
そして五人達はそれぞれ自分達の部屋に一度戻ると、暫くのあいだ話をした。何も変哲もない、ありがちな世間話...まるで仲の良い友達とのお泊り会のような......。
ー後書きー
ティアです。なんか長くなったけど、時間的には全然進んでいないという(
えっと、次のお話は...まだちょっと未定だったりする。