災難
ー前書きー
進行できちゃってる...。
それに、執筆したはいいけどアーシアが可哀想なことになってる...;
ーーーーー
「...ふふ、やっぱり貴方の考えは予測不可能ね。けれど、どうやってそれを達成するつもり?」
「...脅せば良いのではないかと。ちょっと手荒ですが私が貴方にやられた事にして、立ち去るから攻撃しないでと。 ウィアさん、暴走による爆破や破損は可能ですか?」
〈えっ!?ちょ、ちょっと待って下さい調べますので...うん、可能です! サーバーに流れ込む電流のコントローラーを暴走させ、非常用バッテリーにリミッターを超えて充電させ続ければ...まるで爆弾のように爆発させることも容易です。が、爆発リミットは8分程しか...。 今まで来た道をノンストップで駆け抜けたとしても確実に足りません...〉
「じゃ、じゃあどうすれば...」
「...一つだけあるわ。出来れば使いたくなかったけど、ココに送電をしているエネルギーラインを使えば......これがデータよ」
〈データの読み込み開始...マップ情報再生成...完了です。 こ、これは...いくらなんでも危険過ぎます!〉
「確かに危険よ。だって、まさに爆発させるバッテリーに対してエネルギーを送っているラインを通るのだから。しかも所々破損しているエリアがあって、うっかりそっちのエリアに飛び込んでもアウト。複雑で一つでも道を間違えてもアウト。流れ出ている液体に触ってもアウト。 けれど、抜けられればそのまま浄水場方向に抜けられるから、そこから上空へ逃げる事も可能...」
〈た、確かにそのようですね。道は間違えないとして、破損エリアまではこのデータには載っていないですし、液体も更に分からない。しかも行き方によっては最悪は行き止まりという可能性も。 それに、コチラの場合の成功確率は30を下回ります...。言い方が悪いですが、ココはアーシアさんがやられたフリをして、向かって来た人を欺いてから考えた方が良いかと〉
「あ、欺くっと言ったって...一体どうすれば? って!?もう来ちゃった!!?」
外からガンガンとトビラを激しく叩く音と、大勢の声が聞こてきた。もう考えている暇すらもう彼女達には無かった。
結局導き出した答えは...
「くっ! ...ライリアさん、私を足で動かない様に踏み潰して! 早く!!」
「っ! わ、分かったわ...」
そう言うと、少々乱暴に巻き付けていた包帯を破り取り、なるべく控えめでアーシアを踏み潰すと、翼を羽ばたかせて部屋中をグチャグチャにする。その直後にドアが破壊され、広さが6帖半程の部屋に雪崩込んだ。
けれど、そこにはライリアがアーシアを足で踏み潰して動けなくなっている状況、そして乱れた部屋の中...流れ込んだ人は目を丸くしてライリアの事を見つめながら、
「ラ、ライリア...この状況を説明してくれ」
「え、えっとー...侵入者が居たから押さえ込んだの。コレ、注意人物のアーシアでしょ」
「そ、そうだ。それにしても良く仕留められたな...」
「ふ、不意打ちに不意打ちで返しただけよ。ここを任せられてる人として甘く見ないで欲しいわ」
「そう、だったな。が、何故お前は通信に出なかった?」
「出れるわけ無いじゃない。この子を仕留めるので必死だったんだから」
「...それもそうか、ならご苦労だった。 そいつの身柄を受け取ろう。生け捕りまでしてくれて大助かりだ。後で褒美を貰えるように上へ申告しよう」
「いいえ、今もらう。この子を私のペットとして、モノとして私に協力してもらう」
「なっ...何を言い出すと思ったらそんな事を要求するのか。 はぁ、分かった...日頃の行いと成果に免じて好きにするが良い。ただし、こちらが要求する時は引き渡せ。それ以外はライリア、お前にコイツの管理を任せる。だが...何故だ?」
「...聞きたい?」
「いっぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!?」
ギロッと睨んだ後、アーシアから耳を劈くほどの悲鳴が聞こえて慌てて距離を取った。それを見て足をどかしながら。
「まだ、聞きたい?」
「い、いいえ結構。失礼するよ...」
「ええ、来てと呼んだら来てちょうだい。それと、出来ればこの娘分の食べ物とタオル、そして治療セット持ってきてほしい。 流石に...ね?」
「ああ、わかった...用意しよう...。 じゃあ行くが...やり過ぎるんじゃないぞ...?」
「わかってる」
そう言い残し、雪崩れ込んできた者はゾロゾロと帰っていく。途中に「おっかねぇ...」や「噂とぜんぜん違う...」等と色々聞こえてきたが、あえて突っ込まずに出て行くまで背中を見続けた。
そして、厚くて頑丈だった扉が閉まる音が聞こえると...
「ア、アーシアさんだ、大丈夫...ですか? ちょっと強く踏み過ぎちゃったけど...」
「...ぐすっ...ぐすっ......うぅ...うわぁぁぁぁん!」
「へっ!? あ、え、えーと...ご、ごめんなさい!! まさか、骨とか折れて...無いわよね...?」
顔が青ざめながらライリアはアーシアの身体をゆっくりと、力を入れずに触って確かめていく。すると、下にしていた右前足の反対、左前脚の肘関節を触った瞬間に大きの悲鳴を上げたため、やってしまったと後悔をする。
直ぐに自分の腕に巻いていた包帯を取り、定規を取り出して動かないように固定し、その上からちょっとキツめに包帯を手早く巻き上げていく...。その間も痛みで泣きっぱなしで、劈く鳴き声に気が飛びそうながらもなんとか巻き終えて、ベットの上に寝かす。そして冷蔵庫から氷を取り出し、袋に入れ、患部を冷やし始めた。
そんな時に、
「...なかなかに凄い悲鳴だったが、って腕折ったのか!?」
「折れちゃってたが...正しいわ。けどそれも全部私がやるから。 それ置いて、出て行って下さい」
「あのなぁ...はぁ。分かった、分かったよ...出て行くよ...」
立ち去るのをまた見届け、完全に居なくなると持ってきたやけに大きい救急箱を机の上に置き、木の実は冷蔵庫へと入れこむ。
そして入れ替えで、なにやらオレンジ色をしている液体が入った三角フラスコを取り出し、アーシアをゆっくりと持ち上げて奥のドアを開ける。そこは綺麗に掃除されたお風呂場であった......。