シークレットロード
ー前書きー
初っ端なのでちょっと説明が色々多いのは許してね。
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二日後。ライトの通達通り全員、総勢18人の少年少女達は水の都と呼ばれるアルトマーレへと訪れた。ちなみにこの町は古くからラティアスとラティオスと呼ばれる伝説のポケモンが守っているとされ、昔の書物にはラティアスとラティオスが町の消滅を救ったとか、津波から町を救ったとか色々と書かれており、どれが本当のことか分からないがどちらにせよ町を救った神として崇められていて、町の中央部には二人を象った像がある。
町並みは緑に囲まれ、季節を通して温暖な機構で、木の実などは一年中実り、古き良き伝統的な建て方で統一して建てられた建物たちは、この町そのものを観光名所として、まるで迷路のような町中は訪れたものを不思議な場所と、他では感じられないゆったりとした時間を過ごすことの出来る...。しかも、万が一迷っていても不思議と目的の場所があるなら到着し、観光ならば気が付くと分かる場所へと戻ってくるので、これは町に隠れ居るラティ達が案内しているのではないかと言われている。
そして毎年夏になると水上スキーと言われるフェスタが行われ、ドゥアダと呼ばれる円形を三日月の物の中を抉り、立って乗れるようにした乗り物で、一人がその上に乗り、もう一人が水に入って紐を引っ張るか、飛んで引っ張るかして決められたコースを二周して勝敗を決めるレースである。見事優勝したものには守り神の二人が描かれたクリスタル製のメダルが送られる事となっている。
だが今は真冬の12月に入ったばかりの季節...水は冷たく、いくら温暖と言えど一枚羽織らないと寒いと思う気温である。流石にこの季節観光客は居ないだろうと思うだろうが、実はそんなことはない。なぜかのこの町はこの季節になるとオーロラが見えるとか、はたまたラティー達を見ることの出来たとか、ちょっとしたイベントのような事があって、二年前から冬フェスタとして町特定通路と広場や場所をイルミネーションで飾ることをしだしたのだ。その事があってか冬も夏よりは少ないものの、観光客が居て宿はほとんど満席状態なのだ。が、それをココミはあっさりと18人同じ場所で泊まれる宿を見つけてきたのである。凄い事この上ない...。
ともかく、そんなアルトマーレという町からこの物語は始まるのである。この美しい町である水の都アルトマーレで、おそらくドリームメイカーズとの対面が。船の三日間の旅では皆んなくつろいでいたり、遊んだり、喋ったり、馬鹿騒ぎしたり、いろいろ考え事に耽っている者も居た。けれど、到着前となると皆んなの顔は引き締まり、まるで「さあ、やるぞ」と言いたげな感じで船から降りて、宿に訪れてるのだった。
「ふう...まさか部屋割りまで決めてたなんてビックリだよ僕」
「決めておかないと色々面倒だからだろ。ほら、さっさと用意して行くぞ」
「もう行くの? 少しゆっくり用意させてナノ」
「ですよリファルさん。 スイレンさんは僕達の手足とは違って色々大変なんだから」
「ああ...わかった。けど、なるべく急げ。 時間がもったいない」
さてコチラはアーシアとスイレン、マコト、リファルの宿部屋。三人はリファルの指導の元?このアルトマーレを調査することになっている。他に調査するチームはレイエルとモルクとミミアンにヨーテルにギラファが加わったチーム。シルクとウォルタとマートルにリトが加わったチームになっていて、やはり平均的に年が若い子が多いので責任者として一人、大人か任しても大丈夫な人を割り振っている。
因みに他の人達、ライト、レミ、フィリア、リーフ、ココミはネットワークを使った情報収集と探索するチームのサポートや、自分の足で調べに行ったりと色々する事になっている。
そうそう。今この場にアーシアは居なく、三人が出る前より前に「少し一人で考え事したいから、宿前の椅子で座ってますね」と言って、先に行ってしまった。因みにスイレンとマコトは理由を聞こうとしたが、リファルの制止で聞かなかった。それにアーシアも言うときは普通に言って、特に疑問に思うことなく部屋を出て行ったので、これから起こることを考えるのだと思ったからである。
「...うん、コレで大丈夫の筈」
「大丈夫?」
「うん、ばっちり。 えっと、お待たせしましたリファルさん...」
「お、出来たか。じゃ、アーシア連れて行くぞ。 俺たちが担当するのは北エリアだから遠いぞ。何せ反対側だからな」
「あっ、それで早くと言ったんだ...」
「そうだ、だから少し早歩きで行くからな。向かって調べ、暗くなる前にはココに戻りたいしな。ココは俺たちが居た諸島では...いや、基本的に当たり前に成りつつある街灯が無くて、頼れるのは月明かりだけだからな。いや、景観かもしれない。 まぁそれはともかく、もしおまえ達に何かあったら責任者として俺が困る」
「...なんか、ゴメンナサイ」
「いいや、マコトに言われてから確かにそうだと思ったからな。こちらこそスマンなスイレン。 ...よし、じゃあ行くぞ」
いくぞ、そう言いながらリファルは部屋を出ていき、マコトが出て、その後にスイレンが続いて部屋を出て扉を閉めて駆け足で追う。外に出ると既にアーシアはリファルと話をしていて、内容は当然今から行く場所の事だろうとスイレンは察した。
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場所と時間が変わって北エリア。時刻は午後一時過ぎを示しており、向かう前大体正午だったので、何事もなければ午後三時過ぎた当たりくらいで帰れば宿の近くで太陽が沈むちょっと前に帰れるだろうとリファルは考えていた。
因みに北エリアは宿のある南エリアと比べて人は殆ど見られなく、所々の家の窓が割れてたり、風化したり、木や植物が好き放題に生え、苔も生え、更に石造りなのもあって森の奥地にありそうな神殿のような見た目をしている。けれど、荒れているわけではなく多少は整備してあって、エリア全体をそのまま大きな観光地みたいな感じにしていると言われれば納得しそうな感じだった。
だから最初に人はあまり見られないと言ったが、今ココに居る人達は単なる物好きか、このような雰囲気が好きな人だと推測していいかもしれない。けれど、リファル以外の全員は違う雰囲気を感じ取っていた。何かに見られているような、見据えられているような...ともかく強い視線を。
「さてと、調べるとするか。にしてもコッチ側は南側と違って人が全然居なくて、まるでゴーストタウンじゃねーか。こんなとこ調べる必要あるのか?」
「...調べる必要あると思う。さっきから視線を感じる...」
「視線?そんなもん俺は全く感じねぇけど」
「いえ、私も感じるのでスイちゃんの言った通り警戒しながら調べた方がよいかと。そもそもココには調べるために訪れたのですから」
「だがよ、俺たちにはあんまり時間はねぇーんだ。無駄な時間は取れない」
「それはボク達全員把握してますよ。だからこそ、怪しいと思うことがあったら調べないと」
「...はぁ、もう分かった分かった。 で、どこが気になるんだ。片っ端から歩くから案内しろ」
やれやれと言いたげにリファルは先頭から後列に回って、首で行けと指示する。そしてアーシアとマコトは「はい」相づちと言って気になるところを調べていく。調べた場所は廃墟内だったり、倒壊した家の残骸の場所だったり、ちょっと広めの十字路だったりと、特にコレと言って気になるような物は見当たらなかった。けど一つだけ、他の場所とは違う雰囲気と感覚を感じ取れた場所があった。
木の根っこで作られた自然とは思えないトンネルを越えて、一面石で作られた床じゃなくてびっしり苔が張り付き、その上に土が積もって出来たような地面を抜けた先にある行き止まりだった。
「...ここ、他と違ってなんか不思議な感じを僕は感じる。それに風が行き止まりの壁に向かって流れてますし」
「そうだな...この風の流れは流石におかしい。しかもココは日が当たらないエリアだ。ちょっとこの辺りを手分けで探すぞ。 マコト、付いて来い」
「あ、はい」
「...えっと、アタシはアーちゃんとかな?」
「うん、宜しく。じゃあまずココの広場から調べよ? 見た感じは何も無さそうだけど」
「そっかな? アタシならココの橋の下とか、噴水のとことか、そんな場所に仕込むかな」
「いや、まさかそんな子供だましみたいなとこには...」
「た・え・ばナノ! 本気にしないでよアーちゃん!」
「う、うん...。 えーと、探そっ?」
距離をぐいっと詰め寄られ、ちょっとたじろぎながら本題を言いながら離れる。けれど本人はその事に対して納得はしていないらしく、顔を膨らませながら再接近してきた。が、しばらくじーっと顔を見て納得したのか、アーシアから離れ、例えばで言っていない場所を探し始める。
それをぼーっと少々眺めてからアーシアも付近を探し始める。噴水の脚部や階段、壁、床の石畳の配置、広場に入る前に通った木の根のトンネル...コレと言って気になる物は見つからな......いや、あった。一つだけ、全員で見たから調べた気になっていた風の流れの先...行き止まりである。
改めてアーシアはその前に立ち、風を感じてみる...やはり風は行き止まりへと向かって流れており、その行き止まりの壁は黒と言うよりも何も混じりっけもない純粋の真っ黒な色をしていた。
けど、見て改めて気が付いたことがある。それはその色、真っ黒と言うこと。幾ら太陽が当たらない日陰でも今の時刻はまだ太陽が高い時間で、ましてや建物の中なら分かるけれど、ココは外だからココまで真っ黒になるはずもないし、黒く塗られたわけでもない。
なら、今度は触った感触はどうだろうか。壁なら冷たく、材質は石の筈だからザラ付いているはず...
「...え? な、何コレ...」
恐る恐る触ってみた...いや、正しくは触れなかった。どういう事かと言うと、今の状態はアーシアが出した右前足は壁に貫通していて、引っこ抜いても何もなっていなく、感覚としては上から流れ落ちる水のカーテンに手を入れて、引っこ抜いたときの感触に似ていた。
思い切って首を突っ込んでみると、奥に通じる建物内の長い廊下のようになっていた。言い替えると、壁と思っていた場所は壁ではなくて通り抜けが可能で、何処かに通じる通路を隠していたのだ。
「隠し通路...リファルさんとライトさんに連絡しにゃあっ!?」
急に後ろから衝撃が来て、アーシアは前に吹っ飛ばされて固い地面に頭を打つ。暫く抑え悶え苦しんでいると少しずつ痛みが引いていき、落ち着くと目の前にはスイレンの姿があった。
「ね、ねえアーちゃん大丈夫!?」
「ちょっとまだ頭が痛むけど...うん、立てるし問題ないかと」
「よ、よかったぁ...。見当たらないと思って見渡してみたらアーシアの首が壁に埋まってて、慌てて駆け寄ったら段差に引っかかって体当たりしちゃった...ホントにごめんナノ......」
「...大丈夫、気にしなくて。スイちゃんこそ大丈夫?」
「うん、平気。 ...ところで、ココ何処?」
「分からない...取り敢えず、今リファルさんやライトさんに連絡しよ。 ...リファルさん、ソッチはどうですか?」
通常販売されている腕時計型のウェアラブル端末のオリジナルであるPギアを、ライトが作り替えたカスタム端末のジェネラルギア(GeneralGear)と言う通称Gギアを操作して、空中に映し出されるホログラムディスプレイを操作する。
そして連絡リストからリファルの名前を見つけて映像通話ボタンを押すと、暫く経ったうちにリファルとマコトの姿が映し出される。
『...特に収穫無しだ。お前の方はどうだ?』
「コッチは隠し通路を見つけました。場所はさっきの壁の奥で、壁であって壁では無かったみたいです」
『壁じゃない? ...とりあえずそこに居ろ。ライトには俺が連絡入れておく』
「あ、分かりました。 では切りますね」
『ああ』
少ししてディスプレイに映し出された二人の顔が消え、ディスプレイ自体も消滅する。それを確認すると、アーシアは壁なような物に近づいて外に出る。それに続いてスイレンも外に出て、二人が来るのを待つのであった。
ー後書きー
R.Wでも書きましたが、あけおめことよろ!
まず一つ目は、投稿遅れて申し訳な...え?いつも通り?ソンナコトナイデスヨー
...ごほっん。今回は上記前書き通り少々説明多めでお送りしています。理由として導入部分がちゃんとしているかしてないかでかなり作品のレベルや読者側の頭のイメージを膨らますことの出来る...そう思い知らされた作品があったため、参考にさせて貰いました。
それと、今回はアーシアが敬語使わないでフレンドリーにしゃべるシーンが多かったですねー。スイレンもアーシアと居るときは生き生きしているような、ニコニコしているような、そんな想像が浮かべは執筆側としては嬉しいかな?
さて、次の更新内容をちょっと前書きをしますね。あ、でもまた妄想の爆発執筆するとココにある予定吹っ飛ばす可能性が高いので、ふーん程度で(笑)
次は先に宿を出たアーシアのお話をちょこっと出して、シルク達のシナリオです。因みに残念ながら、ちゃんとお話として登場するのはこの二つチーム(アーシアとシルク)だけなのです。時間掛かっちゃうからね、しょうがないね^ q ^