彼女の選択
Warning
Detects errors due to external factors to link with the world.
Repeat
Detects errors due to external factors to link with the world.
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Side フィリア
「私からも一言。落ち込んでた私を元気付けてくれてありがと。二人の言葉が無かったら、私は今もリファルの事を無理に探し回って...ごめん、なんかこのタイミングで電話が。ちょっとだけ出るわね...どうしたのライト。私はアーシアちゃんを送り出す前なんだけど」
『どうしたのじゃないよ! 早くアーシアを元の世界に行かせて!』
「...はい? それってどういう意味よ。流石に喧嘩売ってる?」
『冗談なんて言ってる暇なんかないの! いま、リンクに外的要因であっちの世界がこっちの世界のリンクを拒絶を始めたんだ! だからアーシアちゃん、早くゲートを潜らせて! これ以上リンクが乱れると帰れなくなる!!』
「なんですって!?」
ライトが放った言葉に、流石の私も驚いて大声を上げた。その声にアーシアちゃんの身体がびくっとしたのを見て謝罪しながら、ライトの次の言葉を待った。にしても、外的要因でリンクを拒絶し始めたって...な、なんで?
『いい、よく聞いて。原因は不明だけれど、何かしらの外的要因で急激にあちらの世界とこっちの世界の繋がりを絶とうとしているんだ。このリンクがもし千切れたら、めぐり合わせが未来にあったとしても再接続は不可能今は何故かその乱れというかリンク切断の進行度は止まったけど、またいつ始まるか分からない!』
「と、ともかく今のうちにってことね。分かった」
『ごめん頼んだよ!』
それだけ言い残して、ライトは通信を切断した。私が持つギアのディスプレイには通話終了の文字...あっちから切ったのね。でも、そんな事より。
「フィ、フィリアさんどうしたの?」
「どうやら装置が持たないらしいわ。だからもう...アーシアちゃん、わたしはアーシアちゃんが居て本当に心が救われたわ。ありがと」
「フィリアさん...こちらこそありがとうです。フィリアさん、シルクさん、ウォルタさん、それにモルクさん、半年間お世話になりました。 でもアタシ...帰りたくない。だって、私達が来ちゃったからこの世界に歪みが発生したり、不思議のダンジョン、まだ闇に捕われし者は大勢居る、行方不明だって。当初目的のドリームメイカーズを止めて世界の崩壊を止めたけど...根本的な問題は解決して無い! 私はここに残って、この世界のあるべき姿に戻したいの!」
「正気なのアーシア!? これを逃したらいつ戻れるか分からないんだよ!?」
「.........はい、私は正気です! だから私は...戻らない! 戻りたくない!!」
「アーシアちゃん...そこまきゃっ!? な、なに!?」
急な爆発音に私はその方向を向くと...見たくないものを見てしまった。それは、さっきまでみんなが潜ったゲート装置から煙が上がって、画面には大きくエラーの文字が赤く点滅していた。私は直ぐに駆け込んで、備え付けのキーボードを叩いて原因を探った。そうしているうちにウィアちゃんが猛スピードで私の横に来て、私のタイピング結果をディスプレイで見ている。
急な出来事にシルク達も驚いていて、アーシアちゃんも驚いた顔をしていた。
「な、なにがあったのよ!? 装置は!? アーシアちゃんは戻れるのよね!?」
「ちょって待ってシルク! ...ダメ、今の爆発で完全に壊れた。でもどうして...こんな筈じゃなかったのに...」
『...フィリアさんコントロール貰います!』
私はそう言われてコンソールから離れ、ウィアちゃんがキーボードのキーを叩いて結果がディスプレイが次々と切り替わる。でも、その内容に私は疑問を浮かべた。
私が調べていた事はハードウェアと言う物理的な事を調べていたけれど、ウィアちゃんの方はソフトウェアと言う内部的なプログラムの方を調べていた。いや、もっと根本的のプログラム中枢的な場所を...。
なんでそんな場所を調べるか分からなかったけど、感の良さはリファルを超えていて、ライトと匹敵するかそれ以上の良さを持っている。つまりウィアちゃんなりの考えがあるんだと、私は自己解釈してウィアちゃんが弾き出す結果を待った。その間に爆発を聞いたみんなや、リーフやギラファとライトが現れて、ウィアの結果を待ったり、アーシアちゃんに対して大丈夫とか、心配していた。
それから一分程経った時、急にウィアのタイピングが止まっていて、何かと思いディスプレイを改めて見てみると、なにやら二つのグラフが画面中央に大きく描画されていた。一つ目のグラフは赤と青の二本で描かれていて、最初は赤が圧倒的に青を追い抜かしていたけれど、途中で逆転をして赤が無くなって青だけのグラフになっていた。二つ目のグラフは黄色一本だけで、メモリから見て90パーセント辺りを推移していたけれど、途中で急降下をしてコチラも赤と同じように無くなってしまっていた。
こ、このグラフは一体...
「ウィアちゃん、このグラフは...?」
『...このグラフはリンクの強さと、簡単に言い換えるなら帰りたい思いと帰りたくないをグラフ化したものと言った感じです。黄色のグラフに赤と青のグラフを合わせ、更に時間帯などのデータを合わせると......』
「...一致した。つまり、原因はそれにあるって言うこと?」
『はい、つまり.........どうやら原因はアーシアさん自身にあるようです』
「わたし、自身...」
『アーシアさん、さっきこの世界に残りたい、元の世界に戻りたくないと強く願いましたね? その思いにコチラの世界が答えた結果、リンクの強制遮断と動かしていたエネルギーの行き場が無くなって爆発を引き起こした。だから、アーシアさん...貴方はもう、あの世界に帰れません』
「そ、そんな!? 確かにアーシアは帰りたくないって言ってたけど、たったそんな事だけで!?」
『そんな事だけじゃないですよモルクさん。時に思いや希望や決意など、その思いがとても強いのなら困難な事であろうと成し遂げてしまう場合がある恐ろしい力...』
思いの力...確かに恐ろしい力ね...。
『...でもアーシアさん。それほど強く願ったという事は、そこまでしてやりたい事があったということですよね? 法則を捻じ曲げる程にやらなきゃと思った事が』
「はい。私はまだ苦しんでいる人が居るのに帰る事なんかしたく無かった。先に帰った皆さんに悪いとは思っていますが、ドリームメイカーズが残した爪痕はまだ沢山残ってる。それを直さない限り私は戻りたくない」
『...なる程。アーシアさんは導かれし者達が来たことによる影響を見逃せなかった...そうですね?』
「はい。苦しんでいる人がいるのに見逃せない」
『では、手を出してくれますか? どちらの手でも構いません』
「っとと、コレで良いですか?」
『はい。ではそのままで.........』
そう言いながらウィアちゃんは立ち上がって差し出されたアーシアちゃんの手を掴んで、目を瞑った。いったい何しているのかしら...。
『まずは結論から言いましょう...貴方はもう導かれし者では無く、この世界の住民という存在にシフトされています。つまり、あなたがこの世界へ居続けても乱れや歪みが発生することが無くなりました。ただし、このような存在になってしまった以上...一生この世界で暮らす事となります。後悔はありませんね?』
「...はい、これで良かったんです。どうせあの世界に戻ってもアタシは一人なのですから。でもこの世界なら皆が居る。私を大切に思ってくれる人、私自身が大切と思っている人やこの世界を」
『それじゃ...この言葉を言わなきゃですね』
「この...言葉?」
『はい。その言葉とは...』
『アーシアちゃん、今日から宜しくね?』