The boy who flaps in the night sky
side―リーフ―
時間帯はすでに夕方から夜中―午後十一時へと変わり移った頃…。
私とメイはトウヤ達と合流し、トキワシティに逃げ込んで来た野生のポケモン達を疑問に思ったジュンサーさんが火事に気付いて駆けつけて来る。
私達は火事が生じた原因や彼ら―ポケモン密猟団『ファンタシア』についての説明などをしていき、彼此四時間以上は経っていた。
そのヘッドである女性とエレブー達はジュンサーさんに連れて行かれ、アオさんとヒトカゲはもう追われなくて済む事にホッとして緊張感から解放されていく。
私達は今再び大空に飛び立とうとするアオさん達を見送る為に起きていた。
「眠いよぅ…」
でも、私の隣では眠くて仕方ないメイが現実と夢の狭間を彷徨っていた。
そんなメイの様子にクスッと小さく笑ってしまうも、八歳の彼女にとってみればこの時間帯まで起きているのは無理な話だろう…と一瞬思う。
「これはもう半分寝てるかな…。だから、あれ程早く寝なさいって言ってあげたのに…」
その眠くてウトウトしている様子に「絶対にアオさんの見送りをするんだ…」と小さな意地を張り続けて睡魔と懸命に闘っていたメイの姿を思い出し、また小さな笑みが零れてしまう。
そして、倒れないように彼女の小さな背中を片手で支えて上げる。
「行くんですね、アオさん…」
トウヤは寂しそうな表情をするも、確りとした声音を出していく。
「はい、彼らを倒した今はもう此処に居る理由は何もありませんから…。それに静かに飛び廻りたいんです…あの自由で無窮に広がる空の中を…」
アオさんも一瞬小さな影を表情に宿すも、それを振り払うかのように無限大に広がる漆黒の空を見上げるとフッと表情が和らいだ。
彼のポケモンであるヒトカゲとピジョットも同じように星空を見上げる。
「アオさん、お元気で…。メイはもう……完全に寝てますね。でも、彼女も同じ事を伝えたくてさっきまで睡魔と闘っていたと思うんです」
「有り難う御座います、リーフさん…それにメイさんも…。後、トウヤ君…これを」
私の言葉にお礼を述べるとトウヤに向かって一つの小さなリュックを投げ飛ばす。
「はいっ…重っ!」
それをなんとかキャッチするも、余りの重さに表情を顰めてしまう。
何が入っているんだろう…?
「あの、アオさん…このリュックの中に入っている物は…」
気になって本人に問い掛けるも、
「それは開けてからのお楽しみですよ。―それではまたどこかで…!」
アオさんは満面の笑みを浮かべて返答してくる。
それと同時に彼とヒトカゲを乗せたピジョットが再び上空を見据えて大きく両羽を羽ばたかせていった。
暗闇に包まれた無窮に広がる航路へと向かって…。
そして、夜空に浮かぶ幾つ物星達が彼らを盛大に照らしていく。まるで自由に大空を飛び立てるようになった彼らの再出発を祝福するかのように…。
私達は夜空を羽ばたく少年達の姿をずっと眺めていた―見えなくなるまで…。
ずっと…。
―to be continued―