SUN年MOON組 ルザミネ先生
SUNねーん!MOONぐみーー!
るーざみーねーせんせぇーーい!
「はぁーい!エーテル財団から派遣されてきましたー!エーテ・ルザミネ先生17歳でぇーす!」
「おいおい!ってぇ……嘘つけぇ!」
ここはエーテル財団所有エーテル財団代表直轄エーテル学園立エーテル高校付属エーテル……以下エーテルが続く。
とにもかくにもエーテルづくしのこの学園に、40超えの子供が二人いるという噂が立つとは思えないほどに若くて超美人だが残念ながら胸はまな板だった美人先生が転入する……という指令を代表圧力から引き受けてしまったビッケちゃんは自分の担当となった保健室でウルトラホールよりも深い葛藤を強いられていた。
「ウルトラボールがさんじゅうよっつ、ウルトラボールがさんじゅういつつ、ウルトラボールが……」
「ビッケさん!急患です!カミツルギ君が持病のぎっくり腰に!って、どうして先生がベットで寝てるんですか!?」
「ザオボーしぶちょ……いえザオボー教頭、今私はこのどこまでも沈んでいきそうなベットで大宇宙の真理について考えていたところです。ウルトラホールが99個、ウルトラホールが100個……」
「だ、だめだ、完全に心が逃避している。開発部の人間がホールとボールを誤字るなんて。文字打ちにとってこれほど面倒な引用があっただろうか。パチン!」
ザオボーしぶちょ……教頭の合図と共に、どこからか出現した防護スーツ姿の大量のエーテル財団員により、抱えていたカミツルギ君の腰に湿布が貼られていくも、すぐにバラバラになる。
「しぶちょ……いえ、教頭だめです!湿布の湿気を恐れてカミツルギ君がすぐに切り刻んでしまいます!」
「くぅーこいつこの攻撃馬鹿の紙耐久おばけめ!このままでは生徒の危機的生還を利用した私の校長兼財団代表になるという鮮やかな出世の道が!」
「すくっ……スタスタスタ」
突然ベットから立ち上がったビッケは戸棚の奥から取り出したその小さな、どう見ても液体スプレーをひんしのカミツルギに向けた。
「くらえ!エーテル財団特製!市販対象外、ウルトラすごいきずぐすりーー!!」
ぶしゅーーーーー!
「グェェー!」というあまり聞いたことのない声をあげたカミツルギ君はそのまま数回ビクビクした後で動かなくなった。
「うわぁー!生徒が死んでしまったー!」
「ただの応急処置です。そのうち眼を覚ますでしょうから、そこの床に寝かせておきなさい。貴重なベッドを真っ二つにされたくありませんから。」
「あっ、ハイ。」
べちゃっ、というぬるっぽい音と共に床に投げ出されたカミツルギ君はお休みになった。
あらかじめ言っておくと、これはウルトラビースト達の生態を隅々まで知り尽くしたウルトラ保険室のビッケ先生であるからして可能なウルトラゴッドハンド医療技術である。決して素人目で判断してはいけない。
「こそこそ、こそこそ」
「誰ですか!窓の外からこそこそ様子を伺うのは!」
「びくっ……ビューン!!」
光の速さでカーテン裏から逃げていったクラゲのような生徒。
を、みたビッケ先生が思わず「しまった……生徒に見られたか」と小声で呟いたのをザオボーの注意深い地獄耳は聞き逃さなかった。
だがザオボーは今教頭の身。例え生徒全員がウルトラビーストなこの学校でも、生徒には暖かな眼差しで接せねばならない。
「ふぅーむ、あれはウツロイドちゃんですね。カミツルギ君の事が気がかりで部屋を覗くなど、なんとも愛らしい……ビッケ先生、ウルトラビーストは奥が深いですね。」
「あの子はとくべつ噂好きで有名な新聞部員よ。このままでは教頭も私も生徒からの嘲笑の目をかいくぐって日々の学園生活を過ごすことになる確率100%」
「ぎゃあ!急いで奴を捕まえろ!」
ザオボー教頭の運命やいかに!
続く?