取材
〜14:00、取材開始〜
現在バンギラスギルド前…既に撮影スタッフのポケモン達が準備を進めてくれている…アブソルは今回のプランを見直しながら緊張と闘っていた…こういう焦りや緊張で身体が熱くなっている時に限って風は吹いてこない…自然は今日だけ意地悪だ……。
フワライド「アブソルさん!取材の引き受けありがとうございます!今日はギルドのことについて隅から隅まで調べたいので半日、よろしくお願いしますね!」
アブソル「あ、はい…よろしくです……。」
フワライド「所で…キルリアさんとデンリュウは何処に……。」
アブソル「あ、二人は先に中で他のメンバーと取材の準備をしています…最初は自分だけで何とか……。」
フワライド「なるほど!備えあればなんとやらですね!流石アブソルさんです!考えることに抜かりなし!」
アブソル(実はキングドラさんがデンリュウさんの説得を終えるまでの時間稼ぎなんだけど…まぁ…番組のプランが崩れることはない…よね?)
キャモメ「フワライドさーん!そろそろ本番入りたいのですが大丈夫ですかー!?」
フワライド「アブソルさん、どうやら時間見たいです!行けますか!?」
アブソル「問題ありません!が、頑張ります!」
アブソルから了承を得るとスタッフ達は指定の位置に付きカメラの用意を開始した…アブソルとフワライドも急いでギルド入口前に立ちカメラが回るのを待つ。
キャモメ「それでは行きます!3……2……1…。」
0の所でキャモメの右翼が無言で下ろされる、遂に取材が開始された。
フワライド「皆さんこんにちは!お昼のメディア番組、スカイライブキャスターの時間でーす!進行は毎度おなじみ、フワライドのパローネがお送りしまーす!」
アブソル(パローネ?あぁ…確かイタリア語で風船の意味か…本で読んだことある、外見からしてぴったりの名前だな……そう言えばフィオーレもちゃんと名前あるよな…バンギラスさん達の本名…なんて言うんだろう……。)
アブソルが名前について疑問を思う中、パローネの進行はどんどん進んでいく。
フワライド「さて、今回最初から私達と番組を進めてくれるゲストさんはー?…はい!あの事件に終止符を打った探検隊の一人、アブソルさんです!」
アブソル「え!?あ、えっと皆さんこんにちは…今日はよろしくお願いします……です。」
フワライド「さぁ今回はそんなアブソルさん達が活動するギルド、バンギラスギルドの取材に入ろうと思います!では早速中に入りましょう!いざ突入です!」
キャモメ「………はい!第一部終了です!完璧に撮れてますよー!」
アブソル「そ、そうですか……良かった…。」
フワライド「ではこの調子でガンガン進めちゃいましょう!アブソルさん!」
アブソル(このまま順調に行ければ良いんだけど…デンリュウさん大丈夫かな……?)
〜バンギラスギルド地下1階〜
フワライド「バンギラスギルド、遂に中に突入です!ご覧ください!コンクリートなどで固めていることは少なく、ほとんど土そのもので囲まれた空間です!いやー自然を感じますねー!」
キルリア「ありのままの状態を出来るだけ表してみたいという親方、バンギラスさんの意見が通されています!因みになんと地下1階から4階まではバンギラスさんが自ら掘っているのです!」
フワライド「なんと!?ギルドの設計から親方さんがされているのですか!?これはとてつもない気力で必要でしたでしょうね…。」
キルリア「また、あらゆる所で食物を育てられると言うメリットがあり、更には地熱によった室温の調整も…………。」
ギルドに入った所からキルリアさんと合流し、他のメンバーの生活スタイルを映しながらギルドの設計について話していく…これが第2部の内容だ…3部で食堂とトレーニングルームがある地下3階に降り、デンリュウさん中心で別内容を取材する…という流れになっている……そろそろキングドラさんの説得は終わったかな?
キルリア「アブソル君……アブソル君!」
アブソル「あ、はい!なんでしょう…?」
キルリア「第2部の撮影終わったよ?今から15分の休憩だって、はい麦茶!」
アブソル「あ、どうも…。」
キルリアからコップを受け取ると一気に麦茶を飲み干す…喉に気持ちの良い冷たい感覚が流れ込み、身体の熱を冷ましてくれた。
キルリア「どうしたのかなボーッとして?恋の悩みかな?」
アブソル「流石に取材中に恋の事は考えませんよ…デンリュウさん大丈夫かな…って。」
キルリア「あぁ、それならとっくにキングドラさんが解決したよ!」
アブソル「え?」
キルリア「まぁ3階に降りたら分かるよ!さ、移動移動!フィオーレちゃんの紹介もするんでしょ!?」
アブソル「キルリアさん!フィオーレの事は……。」
キルリア「おっと…そうだった…キュウコンって暫くの間は呼ぶんだったね…危ない危ない……。」
今はフィオーレの事はギルドの皆だけの内密として通しており、周りには普通のキュウコンとして伝えてもらっている…お嬢様が家を出てギルドで生活しているなんて知られたら問題になりかねないからね……。
〜ギルド地下3階、トレーニングルーム〜
フワライド「さて、ここからはデンリュウさんにも話を聞こうと思います!」
デンリュウ「えっと……よ、よろしくお願いします……。」
アブソル「良かった…デンリュウさん来てくれたんですね…。」
デンリュウ「うん…キングドラが今度オボンのパフェ奢ってくれるって言うから…釣られちゃって……。」
〜ちょっと撮影場から離れた所〜
フィオーレ(食べ物で釣れたの!?)
キングドラ(女の子にはやはり甘い物だからな!)
バンギラス(あの手ってパフェのことか…危なくない手段でよかった……。)
デンリュウ「えっと…ここ、トレーニングルームでは広く作られた空間の中で思い切った動きが出来るスペースが確保されています…ご覧の通り、今はコジョンドとリオルが近接格闘術を練習しています……。」
フワライド「練習も出来るのですね…素晴らしいです!、因みにデンリュウさんとアブソルさん、キルリアさんもここで鍛錬を?」
アブソル「はい、自分はここで技の練習をすることが多いですね…はじめての技、きりさくもここで習得しました。」
キルリア「私はリフレクター等のサポート技が中心ですから一人集中できる所で精神統一等をしていますね。」
デンリュウ「私は…その…実践…かな?」
フワライド「実践…というとダンジョンのポケモンを相手に…ですかね?」
デンリュウ「はい…そっちの方が緊張感もあって身体で覚えやすいので…。」
ボスゴドラ(身体で覚えるだと!?)
ヘラクロス(ボスゴドラちょっと黙るッス!)
フワライド「それではトレーニングルームの紹介が終わった所でCMに入ります!この後は事件の内容について聞いていきます!」
アブソル(いよいよか…どう話すべきか……。)
フィオーレ「アブソル…大丈夫?」
アブソル「うん…平気…ありがとうフィオーレ、もう少ししたら出番来ちゃうけど…フィオーレの方はどうかな?」
フィオーレ「問題なし!アブソルがどう私を紹介するか楽しみにしてるね!」
アブソル「き、期待に答えれるように…頑張りますね。」
〜ギルド4階、「ラスト、事件の内容」〜
フワライド「ではTVの前の皆さんも気になるでしょう…事件の内容について聞いていきます!尚、ここからはアブソルさんの最愛のパートナー、キュウコンさんにも加わってもらっています!」
フィオーレ「さいあ……っ!こ、コホンっ!えっと、よろしくお願いします!」
フワライド「ではバンギラスさんから聞いても?」
バンギラス「はい、まずは犯人のヘルガーについて話そうかと、彼は一度海岸洞窟でも事件を引き起こしています…そこへたまたま私が加入したばかりのアブソル君達に依頼を渡したのが始まりです。」
フワライド「アブソルさんはその時まだ入ってまもなかったのですね…。」
アブソル「確か3日くらい…でしたかね、始めての依頼に向かった僕達の前にあったのは…惨劇でした。」
フワライド「ヘルガーに殺されたポケモン達を見たときいています。」
フィオーレ「運良く生きてくれていた救助対象のポケモンを助けた後、アブソルは一人でヘルガーに立ち向かいました…私はギルドへ戻されて……。」
フワライド「何故アブソルさん1人で!?」
アブソル「効率を考えた上での判断です…あと…キュウコンがこれ以上傷つくのは見たくなくて……。」
バンギラス「しかしアブソル君のこの判断はこの先の私達の行動効率を大きく変えてくれました、ヘルガーには逃げられてしまったものの、得た情報は多く、潜伏場所の特定が出来たんです。」
フワライド「そこでアブソルさんは再度ヘルガーの元へ向かったのですね。」
アブソル「はい、最初は決まったメンバーで行くことになっていましたが自分は夜中に単身で抜け出しました、今度こそ捕らえると…しかしそこで……。」
フワライド「そこで……?」
キルリア「考えを先読みしたデンリュウが私を連れて追いかけたんだよね!」
デンリュウ(コクコク)
アブソル「二人の心強いサポートのお陰で僕達はヘルガーの捕獲に成功しました…しかし…自らの楽しみということ以外の理由は…未だに分からないままです。」
フワライド「そうでしたか…元人間のアブソルさんだからこそ、因縁あるヘルガーに対して思うことは沢山あったんですね……。」
アブソル「そうですね……ってえっ!?」
フワライド「な、何かおかしい事を言ってしまいましたか!?」
アブソル「い、いえ…なんで僕が元人間だって……。」
キルリア「あ、ごめん、第2部のメンバー紹介の所で私が話しちゃった……。」
アブソル「そ、そうでしたか…前置きがあったなら良かったです。」
フワライド「アブソルさん、今後はどうするか考えていますか?」
バンギラス「その質問は私が代わりに…近々遠征を予定しています、そこでは警備隊の協力も貰い、ヘルガーの仲間がいないかを探すことも目的として出発するつもりです!」
キルリア(え!?親方それ遠征に入れちゃうの!?)
デンリュウ(緊張感あるから…良いと思う。)
キルリア(デンリュウ最近危ない事好きだね…。)
アブソル「今回の事件は自分がポケモンになったことに大きく関わっていることを知りました…それに絶望し挫折することもありましたが…パートナー、隣のキュウコンやギルドの皆さんが支えてくれたお陰で成長し、今この地に立っています…これ以上の被害は増やしたくない…必ず全貌を暴いて止めて見せます!」
シルヴァ(考えは変わらず…ですか、まぁマスターの事ですし当然でしょう…。)
フワライド「これから先事件はどう動くのか…他のギルドはどうするのかが鍵になりそうですね…バンギラスギルドの皆さん、今日はありがとうございました!TVの前の皆さん、次回のスカイライブキャスターでまた会いましょう!」
アブソル「どうしよう…勢いで沢山の綺麗事を…!」
デンリュウ「……?」
〜撮影、終了〜
〜その後のギルド〜
バンギラス「クッキング…出来なかったなぁ……。」
キングドラ「まぁ内容が内容だからな、特に大きな問題もなく終わったから良いじゃないか…。(ぐだぐだな気がしたが……)」
バンギラス「でもねぇ…私の出番…もう少し欲しかったなぁ…って…。」
キングドラ「いや…かといってあのクッキングをやったらそれこそ放送事故だからな?」
バンギラス「え!そうなの!?」
キングドラ(自覚ないのかい!)
アブソル「あの…皆さんにも今日のフワライドさんみたいに名前があるのですか?今日少し気になってしまって。」
バンギラス「あ、うん、まぁ…あるんだけど……ね。」
キングドラ「本名で語ったら居場所を特定される恐れがあるからな…俺たちはここでは出来るだけ種族名で呼ぶようにしてるぞ。」
アブソル「な、なるほど……!」
エーフィ「あ、でも私はアブソルさんになら教えてあげても良いですよ!信用出来ますから!」
アブソル「ほ、本当ですか!?是非知りたいです!」
エーフィ「ふっふっふー、それはですね〜……。」
アブソル「……(; ・`д・´)ゴクリ」
エーフィ「……やっぱり教えません!」
アブソル「え!?エーフィさん!それはないですよ!」
フィオーレ&キングドラ(やると思った……。)
エーフィ「女の子は秘密があればあるほど魅力的になれますからね!」
リオル「取材後も騒がしいですね!師匠!」(リンゴジュースを飲みながら)
シルヴァ「それがここの良い所です……。」(お茶をすすりながら)