第7話 裏切り
ダイル森を抜けた
野原の先には大きなダイル城があるが、その城のてっぺんにはあの時森で見た得体の知れない黒い大きな影が城にへばりついていた。
その黒い大きな影には1つ、国旗がついていた。
ぺダンの国旗…。
どういうことだ?偵察任務のはずなのに…。
そしてあの黒い大きな影は何だ?
とりあえず城を目指そう。しかし…、
「お出迎えのようですね…」
グラエナ、後さまざまなポケモンの大軍に一斉に目を向けられる。
「祭りの始まりだな」
そう言ったとき、シアルは早速何匹かのポケモンを殺していた。
「それじゃ僕は見物しとくよ〜」
勝手にしとけ。ウィルにそう言いたくなる。シエルは放電を放ちながら前進している。
「シエルは本当強いな…」
俺も負けてはいけない。襲い掛かってくるハッサムの腕を切り、グラエナの足を切断。2匹とも叫び声を上げる。
「ガンバ〜…、うわ!!」
ウィルに数匹のグラエナに襲い掛かられた。
「僕の休みを邪魔しないでよ…」
地面に小さな手を当てた。そこの近くの地面にひびが現れる。
「マジックプラント!!」
地面から大きな根っこのようなものが出てくる。それはたちまちグラエナ達をとき囲み、包み込み、叫び声を上げるグラエナ達をゆっくりと地面の中に飲み込んだ。
「は〜、ウザかった…」
ウィルは何もなくなった地面に座り込んだ。俺は「ハハ…」と苦笑いしてやった。こいついつの間にか強くなってるな…。そう思っていた。
俺も負けてられない。
俺にすさまじい勢いで襲い掛かってくるグラエナ3匹に先手を仕掛けることにした。
体の姿勢を低く、右手と左手でいつしかない牙をしっかり持つ。足をダッシュの姿勢をとる。
「トリプル…」
俺なりには早く、3匹のグラエナの横をすばやく潜り抜ける。
「チョップ!!」
3匹のグラエナの背中、足、首元から大量の血が噴水のように噴出す。
3匹のグラエナは白目をむき、倒れた。
「キュカ、強くなってる。なかなかやるな〜」
ウィルは自分が力でキュカに抜かれるのではないかと少し心配になった。
「きりがありません!!城に行きましょう!!」
シエルはまた森の中から現れたグラエナの集団を見て叫んだ。
城に向かって走り始める。途中で血まみれのヤルキモノを踏みながら城を進んだ。
不気味な、大きな城の門を潜り抜けた。
ペダン軍に勘違いされ、襲撃を受けたキュカたち。
城に入るが、広間のような所は全てヤルキモノの死体であふれていた。時々ハッサムやらグラエナなどの死体が見えた。
「容赦ないですね…。皆殺しですね…。
「…」
「クソ!!なにが偵察任務だ!!これじゃあまるでこれは…」
「そう…、戦争だ…」
俺たちに影がしゃべっていた。しかしシアルはそこに10万ボルトを放った。
影は軽々と10万ボルトをかわし、俺の10メートル先の所までその影は進み、そこで影は自分の正体を見せた
「…!?バジリオス将軍!!」
俺は叫ぶ。影の正体、バジリオスは不気味に微笑む。
「フッ…、任務ご苦労、諸君。」
「やはりあなたでしたか」
シアルは全て知っていたかのように言った。
「指揮官が先人切手敵地に乗り込むのはどうかと思いますよ」
バジリオスは頭をかいた。
「そういう性分だ。気にするな」
やれやれ、とシアルは首を振った。
「どうせ今回の作戦の目的ははなからダイルへの侵略だったんでしょ〜?」
ウィルが微笑みながらバジリオスに訊いた。
「それもあるが…、君達は選ばれたんだよ…」
選ばれた?
「私が将軍になったいじょう、私は国のために全力を尽くさなければならない。もちろん、多少の生贄は必要…」
まさか?そのまさかであった。バジリオスは無表情で答えた。
「人員削減だ。使えない物を置いておいても邪魔なだけだからな」
そんな…!?シアルが驚き、ウィルが切れる。
「人員削減?ふざけんな!!」
バジリオスに飛び掛ろうとした。それを俺が止める。バジリオスはウィルを汚らわしいものを見るかのように冷たく見つめた。ウィルの顔がさらに怒りのあふれた顔になる。
「さて、いつまでも君達と遊んでいるわけにはいかぬ…。これよりダイルを我が国ペダンの占領下におかれる!!」
バジリオスがそう叫ぶ。右手を天高く上げた。
空に浮く、黒い物体から大きな石の塊のようなものが降ってきた。
「あの物体は何なんだ?」
俺が聞いた。降ってくる石の塊を見つめたまま答えた。
「ウ゛ェル・ウ゛ィナーレ。我が刻の国民の税金によって作った新型超弩級(どきゅう)戦艦さ」
「あわれな!!、国民の血と汗で稼いだ税金をこんなものを造ることに使ったんですか?!」
シアルが批判した。しかしバジリオスはそれを無視した。
落下してくる石は地面すれすれのところでピタリと落下を止めた。
「アザゼル…」
バジリオスが呟いた。直径1メートルぐらいの長さはある。なんといっても、そのアザゼルという石には無数の顔があった。泣き叫ぶ顔、笑顔、孤独…。そんなものが映し出されていた。
俺は顔がついた石に驚く。
「いまここに、ぺダン国王アナイスの名をもとに、アザゼル計画が発動された!!ダイル制圧はその第一歩に過ぎない。やがて全世界は、栄光の国ペダンの足元にひれ伏し、新たな時代が幕を開けるだろう!!」
バジリオスは両手を広げ満足そうに叫んだ。
「アザゼル…、計画?」
何だかめんどくさい事になってきたな。
「我々には、比較なき力と、鋼の意志がある。そして偉大なるアザゼルの導きが…!」
バジリオスはさらに満足に大きく叫んだ。
「まさか、世界相手に戦争をしかけるつもりですか?!」
シアルは驚きと同時に無謀を悟った
「残念だが、君達削減たち諸君にはここで退場してもらおう。ダイルの国の住民とともに…。」
グラエナたちが門を破壊して潜り抜けてきた。
2、3歩後ろに引いた。威嚇しながらしながら近づいてくる。
「絶対絶命って奴かな〜?」
その時、5匹のグラエナが門の近くで吹き飛ばされ、壁に激突した。
「何だこいつ?!」
「ダイルの王…、うわああ!!」
また4匹吹き飛ばされる。
「お前は…」
俺は血まみれになり歩く1体のケッキング。
「ちっ!、堕ちた王が!!まだくたばっていなかったのか?この死にぞこないが!!」
「うるさい!!どけどけい!!」
ケッキングが右手を振り上げ、グラエナ達を吹き飛ばした。
「いそげっ!こっちだッ!!」
俺たちを手招きした。素直に俺たちは付いていく。
「…逃げたか。まぁよい、…またいずれ…」
バジリオスが小さく呟いた。
必死にはじめに来た草原を走る。ダイル城に火が上がる。
「ダイル城が…、落ちる…。我らのダイル城が…」
後ろを振り向きながら、ケッキングは叫ぶ。
「アザゼル計画…。いったい何がどうなっているんだ?」
俺は走りながら叫んだ。
「本当に、大陸の大国全てを相手に戦争を仕掛けているのですか?」
シアルが疑問に思った。
「いずれにしろ、この状況ではぺダンに帰れそうではとてもないな…。」
俺は悲しく思った。
「おそらく、ペダン軍はイルダに向かったでしょう。今ならイルダの住民も救うことができるかもしれません。先を急ぎましょう!!」
シアルは足のスピードを高める。
「…何故俺の手助けをする?俺たちは縄でお前らを縛り付けたんだぞ」
ケッキングが疑問に思い問いた。
「広間から逃げるときにあなたがいなければ逃げることができなかったでしょう…。いくら我々でも死んでいたかもしれませんね」
「ありがとう〜。この恩は永遠に〜」
シアルとウィルはケッキングに感謝した。
「フン…、俺の名はブライ。お前たちは?」
「えっとね〜、僕がウィルで、この黒いのがシアル、あの変なのがキュカ!!」
あとであいつを殺す。俺はそう誓った。