第6話始まりし戦い
夜空に1人寂しく美しく輝く満月。
その光に照らされたダイルは今、ぺダンの魔の手が近づいていた。
うっそうと木々が茂るダイルの深い森を3匹のポケモンが北を目指し走っていた。
だたひたすら走る3匹の前で4足歩行のポケモンと思われる者の体が見える。
走る3匹のポケモンの1匹シアルがその影の正体が分かった。
「グラエナ…!!グラエナ部隊の者です!!事情を聞きましょう」
シアルはそう叫ぶとグラエナ達の所へ、俺、ウィルより早く駆けつけた。
「おい、貴様ら何者だ!!」
1匹のグラエナが大きく叫び、牙をむき出す。それを見て俺があわてて止めに入った。
「待て!、味方だ!俺たちもペダン軍だ!!将軍からの命令で偵察任務で…」
「偵察任務?そんな話、聞いていないぞ。…怪しい奴らだな。なぜ、こんな所をうろついている?」
「聞いてない訳ないだろ!?僕達だって苦労して…」
ウィルが長旅の疲れで少々切れた。シアルがそれを止めた。
「ぺダン正規軍以外のものは全員抹殺!!との将軍からの命令だ!!…悪く思うな」
3匹のグラエナが身構える。
「おい!!待…」
1匹のグラエナが俺にゆっくり近づく。俺とほぼ1メートルと差がないとき、口を大きく開け、俺の顔に噛み付きに襲い掛かってきた。噛み殺す気なのか?
1つしかない牙を器用に使い、顔に噛み付こうとした瞬間、それをかわしグラエナの首元に、
「きりさく!!」
…首は一瞬で胴体から離れ、大きく口を開けたままのグラエナの生首が転がった。
「うわ!!」
「コイツよくも…」
2体目のグラエナもキュカを襲ってきた。次の奴は思い切り突進してきた。
「やれやれ、油断は禁物ですよ」
シアルが襲い掛かってきたグラエナの前に、俺の前に突然現れる。グラエナがそれに驚き突進を止める。
「戦場で、行動を途中で止めるのは…」
不気味に微笑むシアルが突進を止めたグラエナの後ろにいた。
「死ぬのと同じ。これ、大切ですよ」
スパークを放ち、グラエナを一瞬で丸焦げにした。
「隊長さすが!」
つるのむちで最後の1匹のグラエナをむち打ちしているウィルがシアルに言った。「止めてください!止めてください!」と叫ぶグラエナを完全に無視しているようだ。
「全員抹殺?無理無理。ここで君達は僕に抹殺さ♪」
十分いたぶって、グラエナとしてのプライドをズタズタにしたウィルがつるで空高く上げ、そこでグラエナの首を絞めた。
「ウィル…、やりすぎだぞ?」
俺が止めに入る
3つの遺体を木の横に置いた。
「全員抹殺…。クソ、何故仲間同士で戦う必要があるんだ?そしてウィル!!お前こいつら仲間なのにどんだけいたぶってるんだ?!」
「ごめんよ〜、ただ久しぶりに戦闘となるとつい血が騒いで…」
「どうやら、私達以外のこの周辺にいる奴らは全員的と考えたほうがいいですね…」
ウィルが話してる途中、シエルが割り込んできた。
「どうやら、いつの間にか巨大な渦に巻き込まれてしまったようだな」
俺は呟く。
「僕達どうすればいいのかな?」
ウィルが辺りを見回しそう言った。
「この作戦の指揮官を見つけて、事情を説明させてもらおうか?」
俺がそう言った。
「そうですね、ただし、ここはもう戦場です。急いだほうがいいですね」
俺たちは月明かりに光る、大きな城を目指し歩き始めた。