第5話 黒き影
「何でこうなったんだよ〜」
「いったい誰のせいで私達がこうなったか…君には分かりますよね」
縄で縛り付けられたウィルとシアルが縄で縛り付けられた俺を見つめた。
「くしゃみしそうになったウィルに言われたくないな」
俺はウィルを見つめた。ウィルは木の葉で見えない空を見つめ始めた。
「生きていたらするもんだよ。くしゃみとゆうのは」
シアルが俺を改めて見つめた。
「何故、ウィルのくしゃみを止めに行くのに木を倒したんですか?」
目の前で倒れる大木に目をやった。
確かにそうだ。時間が空けば大体牙を磨いている。1本しかない牙を大切に、強く育てるために俺はわざわざ質の良い水を買ってよく磨いていた。
木が折れるのも仕方がない。確かに俺のせいではある。
「やれやれ、強くなりたいのはいいんですが、こうゆう事起きてもいいように考えて訓練して欲しいですね」
シアルの言うとおりだ。少しは反省してやろうか?
そんな話をしながらダイルの王が来るのを待っていた。
大きな影が近づいてくる。俺はその正体が分かる。
「ご苦労」
ケッキングは俺たちを囲んでいたヤルキモノに礼を言った。
俺はそのケッキングを見つめた。
ケッキングは俺たちを見つめると挨拶もなしに話しかけてきた。
「お前たちがここに来ることは知っていたよ。理由もな…」
ケッキング
別名「カビゴンの意志を継ぐもの」
半端ない攻撃力が自慢なパワフルな奴。しかしそのデメリットにすさまじい怠け者。ケッキングを見つめているとすさまじい脱力感に襲われる、らしい。
しかし今そんなこと考えているときではない
「どう言う事だ?ここに来ることがわかってたって?何故ここまで物騒なんだ?」
俺は疑問に思った。
困った顔でケッキングはヤルキモノたちを見つめ、ヤルキモノ達は呆れ顔で「何を言ってるんでしょうね」と言った
「何でって…、お前たちの国は戦…うわ?」
目の前が真っ暗になる。暗かった森は更に暗くなる。
何だアレは?
真っ黒な、大きな物体が空を覆いつくしていた。
大きな物体はダイルの城目指して飛行していた。
「今のは…!!」
ケッキングはダイル目指して飛ぶ飛行船を眺めていた。
「国王!国王!!」
物体が飛んできた所からヤルキモノが傷だらけになりながら走ってきた。
「ダイルの城に…、ペダン軍が!」
ぺダン?何故攻めてきたんだ?
「何?こいつらわまさか…。全員撤退!!ダイルに戻るぞ!!」
どういう事だ、今日ダイルを攻めるなんて言ってなかったのに。ていうより攻めるなんて話は聞いた事がなかったのに
「騙された…、と言う事でしょう」
まさか…、俺は四方八方に撤退するヤルキモノたちに中心で考え込んだ。その時、1匹のヤルキモノがこっちを見つめた。
「国王!こいつらもうやっちゃいましょうぜ!!」
「おとりは後で面倒になるかもしれません!ここで殺したほうが…」
ヤルキモノ達ががケッキングに質問する。ケッキングは俺を見つめた。
「しかし今は城の安否が重要だ。雑魚はほっとけ!」
雑魚だと?俺は少し怒った。
「とりあえず城に向かいましょう」
シアル辺りを見回しそう言った。