第8話 イルダ
満月が消えたり隠れたりする。さっきより雲が多くなった。あのアザゼルとかいう人面石のせいだろうか?
ダイルの城からは不気味な紫の閃光がでていた。一直線に、雲を目指して放っていた。
月明かりの村 イルダ
ダイルの城の北東に位置する、小さな集落である。
ここではおもに、ナマケロ、ヤルキモノ達が住んでいる。
他のポケモンとの争いを好まない、気性の穏やか彼らが、のどかな暮らしを営んでいた。
しかし今そこには、戦火のだいる上から命からがら逃げ出したヤルキモノ達が、傷付いた体をよせあっていた。
そして彼らを追って、ぺダン軍が死神のように姿を現したのであった。
ブライと分かれた俺たちは、行くところもないのでイルダに行くことにした。
早速付いた俺たちが目にしたのは、村を取り囲むグラエナ部隊であった。
ブライと2〜30匹ぐらいのヤルキモノ達がそのグラエナ部隊とにらみ合いをしている。
グラエナ部隊のリーダーだろうか?1体、他のグラエナと少し姿が違うグラエナがいた。
「ゴホン、あー。いいかー、怠けどもー。よぉく聞けよー」
「怠けどもだと?!」ブライが怒った。リーダーらしきものは2、3歩後ろに下がった。いきなり襲い掛かってくるのを防ぐためだろ。リーダーがもう1度口を開いた。
「よぉく聞けよー。全面降伏して、我が群の奴隷になるかー、あーるーいーわー我がグラエナ部隊と戦って犬死するか、どっちでも俺は構わーーーん!!」
ブライ達に、そうさけんだ。
「たとえ何度聞かれたとしても、答えは同じだ。誰が貴様らの奴隷になど!」
「ヒィ…!!」リーダーはブライの叫び声に驚いた。しかし、もう1度きを落ち着かせるとまたしゃべりだした
「ゴ、ゴホン…。あ、あーいいだろう、バカな怠けどもめ。交渉決裂って奴だ。総員、戦闘配置!!アリアント1ぴっっっぴきたりともイルダから出すなよー!!」
そうさけぶと大きく遠吠えをした。たいまつを持ったグラエナがコクリと頷く。
たいまつを藁でできた家に放り込んだ。その時ブライは俺に気づいたようだ。
「おい、キュカ!!お前たちは、すぐここを離れろ。お前たちなら奴らの目を盗んで逃げ出すことも可能だろう。」
どうしよう…。シアルを見つめたがシエルはすぐ目線を逸らした。
「どうする〜?ホントにぺダンを、自分の国を相手に戦うって言うの〜?」
たいまつが藁を燃やし、だんだん勢いが激しくなる。リーダーがそこに駆けつけた。
「いぶりだされたてくるは決して見逃すなよー。見逃した奴はお仕置きだからなー!!」
「はっ!!」と大きな返事がリーダーの耳元に返ってくる。勢いはさらに強まりる。そこから1匹のナマケロがのっそり、のっそりと現れた。
そこを1匹のグラエナが噛み付き、放り投げ、近くにいたグラエナたちに放り投げた。一斉リンチがはじまる。
「ムフフフ…。ほれ、君たちも見なさい。あの飛び散る血を!。いいねっ!!もっと燃えろ!燃え上がれ!全部焼き尽くせ!1匹残らず殺せ!!」
「我慢できね…」
俺はそう呟き、1歩前に出た。
「それじゃノリで行かせてもらうね!!」
ウィルが1歩前に出る。
「やれやれ、身勝手な部下を持つと苦労しますね。いいでしょう。最後までおつきあいしますよ。