その1
朝だった。
そりゃもう、とても朝だった。
東の山から太陽が顔を出し、夜のうちに冷やされた地面をあたためはじめている。
「はーい、みんなのアイドルシャルルファーズでーす!」
そんなすがすがしさとは無縁のような真似をする僕は、とても混乱していた。どこぞのアイドルを真似するほどに混乱していた。
どうやら僕は混乱すると混乱するらしい。あ、まちがいなく混乱してる、僕。
と、ピースを作っている手は茶色。
可愛くたれているのは耳。横に、ではなく上に。
ふわふわしている白いモノは首回りの毛。
どっからどーみても、あのポケモンのイーブイです!実在してたんですねイーブイって!
オーキド博士、否定してたごめん!
そしてなんと、僕記憶無くしてるみたい!
これで混乱しなかったら、僕はヤドンかなにかだと思う。イーブイでなくて。
「シャルルファーズ・・・かあ。長ったらしい名前だなー。思い出すなら、名前じゃなくてどうしてポケモンになっちゃったのかがよかったなぁ・・・。」
そう、僕はもともと人間である。
まあ記憶がないからそれも確かじゃないんだけど。
・・・。うん、すこし落ち着いた。
歩いてみようか。誰かに会えるかもしれない。