第三章 光と闇
第十話 大蓮池の鉄骨とモグラ(前編)
ティラに釣られたシラヌイ達はラミナスの部屋に入ると、そこには同じ探検隊のチーム『ブレイヴ』と『サハラ』の四人が待っていた。八人に言い渡されたのは睡蓮峠という新たなダンジョンの調査任務であった。八匹はダンジョンの中に入って進んでいったが―――?







 ――睡蓮峠 8F――



ドテッコツとドリュウズが奥地で作業を進めている一方で、睡蓮峠の中に入っていったシラヌイ達は

「砂かけ!!」

コルムがワタッコに向けて砂かけを放ち目眩ましをしている間にフィスナが自身の頭をワタッコにぶつけた。

「アイアンヘッド!!」

「ッ!!」

ワタッコはフィスナのアイアンヘッドを直撃して小さな悲鳴を上げると地面に落ちて倒れた。
そして、もう片一方では

「手助け!!」

メイルはアビスを手助けで強化していると

「バブル光線!!」

「よっと!切り裂く!!」

アビスはマリルのバブル光線を余裕で躱(かわ)すと懐に潜り込んで鋭い爪で切り裂いた。

「終わったぜ!」

「こっちも終わったよ〜!」

アビスは親指を立ててシラヌイに向けて、コルムは右手をシラヌイに振った。

「よし、進むか」

七人を指揮っているシラヌイは敵がいなくなった事を確認すると先に進んだ。

ここまで見てきた野生のポケモンはクサイハナ、マリル、ワタッコ、ポポッコ、コラッタ、ハスボーといった感じで強いポケモンはそこまでいなかった。しかし、この八人の中で一つの疑問を持っている者が二人いた。

それは

「静かだな……」

「ええ……」

『エクストリーム』のリーダー、シラヌイと『サハラ』の一員、フィスナであった。

「どうかしたの?」

「気付かないか?敵をあまり見掛けない事に……」

「そういえば……」

シラヌイは自分に訊ねてきたクルスに右手の人指し指で、周りを指し示すとシリアは異変に気付きミレイナもあっ、と声を上げて気付いた。
8Fまで来ていたシラヌイは周りの様子を警戒と観察を怠らずにいたが、これほどまでに静かなダンジョンはなかったために少し不思議に思っていた。

「でもそれって、ある意味良いことなんじゃないかな?敵と戦わずに先に進めるって」

「そうだな!特に何もないからラッキーってことだよな!」

敵が少ない事で好機だと思っているコルムとアビスは、喜んではしゃいでいた。

「ハァ、どうしてこういう男どもは単純な考えを浮かべて馬鹿みたいにはしゃぐのかしら……」

完全に警戒心を解きまくってはしゃいでいる二人にフィスナが毒を吐くと「それ酷くない!?/そりゃ酷くないか!?」鋭いツッコミが当たるが、彼女は「あんたらが単調なのよ………」と二人に対して止めの一言を言うとアビスとコルムは膝を付いてがっくりと肩を落とした。
すると、二人の後ろからメイルとクルスが手を肩にぽんと置いて慰めた。その様子をミレイナは苦笑いしてシリアはハァとため息を付いた。

「(特に何も、か……ホントにそうだといいんだが……)」

この後、(二分の一)立ち直った二人と共に先へと進んだらイガグリスイッチを三、四回踏んでパニックになりかけたのは別の話。








 ――睡蓮峠 奥地――



ダンジョンを抜け、睡蓮峠の奥地にたどり着いたシラヌイ一行は衝撃的な光景を目にしていた。
その視線の先には―――

「な、なんなのこれ!?」

思わぬ光景を目の当たりにしたミレイナは声を上げた
一行の目の前に広がる光景は、十匹ほどいるサメハダーがそこらじゅうに転がっていて中には水面に浮かんでいる者もおり、一番視野の中で目立ったのが池の奥で凶悪ポケモンのギャラドスが倒れている事だった。
八人はギャラドスの下へ走り、声をかけた。

「おい、しっかりしろ!」

「生きてるなら返事して!」

「……う……ぐっ……」

幸いにも気を失っているだけなので、八人は安心した。

「でも、これっていったい……」

シリアは周りを見渡して他のサメハダー達を見ると、ギャラドス同様気を失っていた。
あまりにも不足の事態に、八人はどうしていいか分からずに奥地全体を見ていると

「(……何か、来る……!)」

シラヌイは森の奥の方から誰かが来るのを感じた。

「みんな、今すぐ茂みに隠れろ!」

シラヌイは七人にすぐ近くの茂みに隠れるように催促すると「え?どうしたの、シラヌイ?」とクルスが彼に訊ねたが「すぐにわかるから隠れろ」と言って茂みに導かせた。
七人が茂みの中に隠れると自分もその中に隠れた。
じっと森の奥を見ているとその気配の元が姿を表した。
森の奥から現れたのは二匹のポケモンで、一方は大きな鉄骨を肩に担いでいるポケモン――ドテッコツであり、もう一方は両方の手に鋼鉄の三本の爪を持っているモグラのようなポケモン――ドリュウズであった。

「やれやれ、やっと作業が終わった」

「やれやれとか言ってるけどよ、お前仮にも大工なんだから手先が器用じゃねぇのか」

「大工だから手先が器用っていう決まりなんかねぇよ。てか何でそんな手で作業が出来るんだよ」

ドテッコツとドリュウズはそれぞれあーだのこーだの色々と言い合っていた。

「(何だぁあの二人……)」

「(探検隊かな?)」

「(いや、見たところバッジを持っていないから違うわ)」

アビスはやりとりを見ながらバカにしているかのように言って、コルムは彼らの正体を例えたがフィスナが証拠となる物を持っていない所を見てそれを否定した。

「(保安官っていう可能性もあるよ)」

「(それなら、部下であるコイル達を連れている筈だから違うわね……)」

クルスは保安官という例えを出したが、シリア達が知っているジバコイル保安官の事を思い返すとそれも否定した。

そうこう話していると、二人はギャラドスの目の前で止まった。

「さて、馬鹿みたいにぶつかり合うのはやめだ。とっと回収するぞ」

「(回収だと、どういう事だ……?)」

「(ねぇ、何か持ってるよ)」

シラヌイはドリュウズの言う回収の意味を考えようとしたら、ミレイナは二人が動き出した事を示すとドリュウズが懐から片手で持てるくらいの箱を取り出した。
ドリュウズがギャラドスの前に箱を置こうとした時、彼の背後にいるドテッコツが持っている鉄骨を地面に刺した。

「どうした?」

ドリュウズはドテッコツに訊ねるが、彼は何も言わずに茂みの方を向いた。その先には――

「(何をするつもりだ……?)」

シラヌイ達であった。

「岩落とし!!」

「(!まさか!?)」

ドテッコツの岩落としを合図に、シラヌイは真上を見上げると多数の岩がこちらに落ちてくるのが見えた。
アビス、メイル、フィスナ、コルム、シリアの五人はすぐにその場を飛び出して退いた。
しかし、反応に一歩遅れたクルスとミレイナは反射的に動く事ができなかった。

「二人共許せ!」

「「えっ?」」

シラヌイは二人にそれだけ告げるとクルスを掴んで五人が退いた方向に向けて思いっきり投げて、ミレイナを両手で抱えるとその場から飛び出した。

「うわあぁあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーー!!」

「ちょっ、ちょっと待っ―――ぐほぉっ!!」

クルスは曲線を描きながらアビスにぶつかった。
その横ではミレイナを抱えたシラヌイが綺麗に着地して、彼女をそっと下ろした。

「いったたたたたぁ〜……何するだよシラヌイ!」

「何って……投げ飛ばして助けただろ」

思いっきりアビスに強打したクルスはシラヌイに起こるが、彼は軽く流した。

「助けてくれたのは嬉しいけど何で僕は飛ばされて、ミレイナは抱えられているのさ!」

「そうだぜ!おかげで俺にまで被害を被ったじゃねぇか!!」

クルスに合わせて二次被害を被ったアビスもシラヌイに怒るが、関心のない彼は準備運動をしていた。

「それよりミレイナはどうなの!?」

「え……わたし?」

「だってさ。僕を投げ飛ばした挙げ句、アビスにまで被害を被らせたんだよ!許せないでしょ!?」

「う、うん……そうだね」

「………ミレイナ?」

曖昧な返事をするミレイナの様子がおかしいと思ったクルスは、彼女に訊ねようとした。

「お前ら、話し合っている暇はないらしいぞ」

シラヌイに止められた。
理由は簡単だ。彼の視線の先には何かをしようとしていたドリュウズとドテッコツがこちらを警戒しているからである。

「どうやら、鼠が迷い込んだみたいだな………」

「はぁ?鼠ぃ……?」

アビスはドリュウズの言ってる言葉の意味が分からず首を傾げた。その隣にいるクルスも首を傾げているが、他の六人は二人を警戒し始めた。
そんな中で口を開いてシラヌイに質問したのはのはドリュウズであった。

「お前ら、一体何者だ?」

「何者でもないさ。ただの通りすがりの探検隊だ」

ドリュウズはシラヌイに質問すると彼は素直に答えた。
のだが―――

「探検隊………そうか」

ドリュウズは手に持っている箱を懐に入れると八人に向かって技を繰り出した。

「メタルクロー!!」

「おっと!」

「「うわあっ!?」」

「「ひゃあ!?」」

「きゃあっ!?」

「あぶね!?」

「っ!?」

八人は突然の事で驚いたものの、間一髪で両サイドに四人ずつ避けた。

「い、いきなり何すんだよ!!」

「何をする?簡単だ。お前達を始末するんだ」

アビスの問い掛けに答えたドリュウズの一言に、八人は肝を抜かれた。

「ちょっ、ちょっと待て!俺らはただの通りすがりの探検隊だって―――」

「探検隊なら尚更だ。俺らを見たからには始末しなければならない!」

ドリュウズはアビスに最後まで言わせようとせず、自分達の主張を押し掛けた。
シラヌイは彼らの様子を伺った上で二人に問い掛けた。

「あんたらがそこまで俺達を始末しなければならない理由としたら………あんたらはお尋ね者、って事か?」

それに対して答えたドリュウズは

「さぁな、それは自分達で考えてみな」

シラヌイそれを聞くと仲間達に言った。

「みんな、聞いての通りだ!この場を切り抜けるには戦わなければならない!大げさかもしれないが、絶対に勝つぞ!」

「うん!」

「「ええ!」」

「「おー!」」

「任せとけ!」

「頑張るよ!」

シラヌイの言葉を合図にミレイナ、シリアとフィスナ、クルスとコルム、アビス、メイルの順に声を上げた。

そして、ディザスターの探検隊3チームと謎の二人組との戦いが始まった。


■筆者メッセージ
更新遅れてすいませんm(__)m

ここ二ヶ月間、文化祭やら部活の大会やらテストやらで小説の制作に集中できませんでした。ここから早めに更新していきたいです。

とは言っても年末は忙しくなりそうですので遅くなりそうです。

頑張っていきますのでよろしくお願いしますm(__)m
Nazelu ( 2013/12/12(木) 22:20 )